第4113話 予期せぬ密着

2024年06月29日 10時00分00秒 | Weblog

いまだかつて

スーツ姿の男性の上腕二頭筋を

これほど 間近に

これほど 長く見つめたことは、ない。

 

遅延による満員電車内。

私の前には サラリーマン。

私の貧乳を押しつけるのもご迷惑なので

バックを持つ左手と右手をうまく使って

隙間作り。先方は 私の脂肪ではなく、

骨しか感じられないゴツゴツ接点。

目の前のサラリーマンも 私に

あらぬ疑い をかけられてはならぬと

頑なに両手でかばんを持って身を守る。

(男性の方が大変だ。申し訳ない)

 

一刻も早く帰りたい方々が発する熱気。

このぬくもりが ちょっと・・・

流動を起こせる次の駅が

果てしなく遠い。

 

車内に流れる これから揺れるよ忠告。

吊革を持てないゾーンの我々全員が

押しつ押されつした大きな波のあと、

私の口からもれた まさかの「うっ。」

 

げ、変な声、出た!!

「あっ」じゃなくてよかった

とはいえ、なんて声で「うっ。」

これは 恥ずかしすぎる。

(のに、逃げ場なし)


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