第4086話 東京都同情塔

2024年06月02日 10時00分00秒 | 読む(小説・物語)

私はカタカナをデザインした人間とは

酒が飲めない。(略)

味気ない直線である上に中身はスカスカで、

そのくせどんな国の言葉も包摂しますという

厚顔でありながら、どこか一本抜いたら

たちまちただの棒切れと化す構造物に

愛着など持てるわけがない・・・

 

こういう感覚のカミングアウト、好き!

建築家の女の人・牧名沙羅(マキナ サラ)の

独白(比喩、思考、つまり言葉)が

面白くて、その他の登場人物も 可笑しくて

先の読めない斬新さ。

結末に向かって はやる気持ち。

九段理江著「東京都同情塔」。

 

人間は元来、不寛容な生き物だよ。

不寛容どころか、

関わりのない他人には

自分より損をしていてほしい

とすら願っている。

 

結末、遠くない未来に向かって

明るさだけではない様相を帯びて・・・

荒涼が広がる。

 

「推し、燃ゆ」(第4049話)、

「おいしいご飯が食べられますように」

(第4071話~第4072話)、

そして「東京都同情塔」。

ここのところ 積極的に芥川賞受賞作品を

読んで イメージを一新している。


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