まず初めに。今お気に入りのハープでは試さないで下さい。
使い古し、もしくは失敗してもなんとか気を取り戻せるような値段のハープで試して下さい。
お気に入りのハープを調整するまでは暫く修行してみて下さい。
■アーチング
リベットの根元から先端までできるだけ真っ直ぐにします。
リードの底がスロットにギリギリ沈まない位を維持し、先端1/3から1/4程度の所から僅かに頭を出し始めるようにします。
1/3位から急に曲げるのではなく、リード全長に渡って円弧をつけるのが私の好みです。
一発でアーチさせてはいけません。
やさしく、根気づよく様子をみながらマッサージしてあげます。
ヘラを差し込むときやマッサージする時はリードを捻らないように気をつけましょう(ヘラを傾けて入れて作業するとなりがちです、多少ならリカバリできます)。
また、リードはバネの性質があります。アーチを付けても振幅させると元の形に戻ろうとしますので、
・アーチを優しく付ける
・plinkingをする。
リード先端をReedLifterやヘラで持ち上げ離すと「べいーん」と音がします。これでリードは今あるべき姿にリセットされます。
これを繰り返す事で少しずつ、リードの形が落ち着いてきます。
Plinkingをしないと吹いている最中にリードが今あるべき姿に戻ろうとしてしまいますので、作業中に自分の姿を認識させておくわけです。
ちなみにPlinnkingの時の「べいーん」という音から、リードを調整することを「べいんべいん」と言うのは有名で東横線車内では「昨日べいんべいんしたんだけどさぁ」という会話がよく聞かれます。。はい。嘘です。
●アーチのつけ方
見ての通りです。
リード先端からヘラを入れ、リード根元を親指で押さえながら全長方向に優しくマッサージします。
同じ所をずーっとマッサージしたり、力を入れ過ぎたり、ヘラを立て過ぎたりすると、リードに折り目が付いてしまいますので、適当に動かしながら行います。
リードによって固さも違いますし「何回」やれば良いということは明確に言えません。
言えるのは「優しく、何回もかけて」行う事です。
ヘラを入れて
爪でマッサージ。ヘラとリード間に出来ている隙間の所は強く押すと簡単に折り目がついてしまいますからね
これは道具を使って行う場合です。道具を使う場合はピンポイントで攻められますが、慣れないとこれまた折り目をつけてしまいます。最初は指で始める事をお奨めします。
また、アーチを付け過ぎた時も慌てて修正を始めないように。
Plinkingすることで現在の姿を確認してからで遅くはありません。
アーチによって出来るGapは音程が低い方が高く、音程が高い方に向かって徐々に低くなるようにしましょう(あくまでも基本です。目的によっては基本から外れる事も必要でしょう)。
ちなみに、全部のリード(つまり20本)に対して行います。1-2時間はみとくとよいでしょう。
「えーっ」という方(私もそうでした)は#1-6の穴、それも「えーっ」という方は#2-3(4)から始めて見て下さい。
大切なのは「吹吸い両方のリードを調整する」です!
●アーチの取り方
これも、一カ所をネチッこく攻めないように全体に渡って行って下さい。
SuzukiのReedLifterはこういう作業の時に都合がよいのでおすすめです(LeeOscarのは尖っているので向きません)。
無い場合は、ネイルアート用の木製ウッドスティックであれば尖っていてもリードを痛める事はありません(Kinyaさんのページで知りました)。
TinusさんのYouTube(over.comのページで見られます)にこの作業が出ています。慣れていらっしゃる方なのでサクサク進められていますが、これから始められる方はもう少しビクビクしながら進められると良いでしょう。
これもマッサージする度にPlinkingしましょう。
普通にPlinkingしても良いのですが、私は爪でリード先端をスロット内に入れて、スロット裏面からヘラを入れて逆アーチ状態にしてベイーンとやる事が多いです(アーチを取るる、Gapを微妙に減らしたい時など)。
このテクニック(という程ではないですが)はテンションの掛け方によってはGapを少しずつ減らしたりという事もできますので頭の片隅にでも入れておいて下さい。
これも折り目を付けずに、山にしてしまわないように気をつけましょう。
■Gap調整
適切にアーチを付けたらGapは既に調整されていますが、なかなか上手くいかない事もあります。
実際にハープを仮組して実際に音を出してみましょう。
仮組にあたってはクリップバイス等(洗濯バサミの強いやつ)で固定してもよいですが、ネジを全部ではなくてよいですから数本軽く締めましょう。カバーは手で押し付けながらもてば良いです(うんちくは後述)。
・ストレート音は詰まる事無くでますか?
詰まるようならヘラをリードの根元から全長20%程度まで入れてGapをあげます(そしてPulinking)。アーチは崩さないように行います(場合によっては付け直すことも)。
ヘラを差し込んでGapを高くします。
逆にスーカスーカしている場合アーチが適正ならばGapを下げます。リードの根元を少し押して下さい(そしてPlinking)これで先端が沈む事は無いはず(リードが山になっていた場合は除いて)ですが、必要ならアーチを見直しましょう。
リードをアーチさせているようで、あまりよくない写真ですがリードの根元を親指でプッシュしています。一気にやらないでね。
・ベンド音のつながりはどうですか?
滑らかに音が繋がらない、空気がシューシューもれる場合はアーチ量が多い事が多いです。また、同じ穴の別のGap,アーチを見直しましょう。それでも漏れる場合リードとスリットの隙間が大きいようでしたらエンボスが必要になるかもしれませんが出来る限りの事はやってみましょう。
・音の粒はそろっていますか?
和音で音量やレスポンスを確かめます。がこれが中々難しい、吹き方が出来ていないと正しく判断できませんので、単音レベルでゆっくりグリッサンドして確かめてみて下さい。滑らかに音が出ない場合、隣あうリードとのGap,アーチ量が滑らかに変化していないか、同じ穴のもう一方のリードに原因があります。
■最終調整
仮組でそこそこGap調整を行ったら、今度はきちんとネジを締めて組み立てます(カバーは相変わらず手で押し付けるのでOKです)。
さて、どうですか?
ネジを締めすぎるとプレートが歪みリードの開き具合も結構変わってしまいます。
元から反っているリードプレートは更に厄介です(Heringがこのタイプ)。
仮組のときと変わらないようであれば良いのですが、違うようなら微調整をします。
ReedLifterを使いながらハープの前前後からリードのあげみを調整していきます。目で見えない作業ですし、間違えて隣のリードを調整してしまう事もありますので注意しましょう。
吹きリードは大変。マイナスドライバがリード根元を押さえてLifterでリードの裏からアーチを付けています(後からアーチと命名。。どうでもよいか)。
吹きリードのGap、アーチをあげたときはPlinkingが表面から行えないので、根気が続けば一旦バラしてPlinkingのみをしてあげると良いでしょう(もしくは僅かにGapを高くしてくみ上げ後に微調整しやすいようにするというのも手ですね)
チェックは極力カバーを付けた状態で行いましょう。カバーのあり/なしは結構影響あるのです。
さて、以上がGap,ReadProfileの調整でした。
いかがでしたか?
最初から上手くできるものではありませんので、慣れが必要です。また演奏技術の向上に伴いベストなセッティングも徐々に変わってきます。
「ほぇ~こんなにメンドクサイのぉ~?」はい。正直面倒です。首にファイテン巻いて、クリームでも付けていないと首痛くなります(ファイテンって良く効きますねぇ)。
でも、自分にしっくりくるハープを一度でも体験してしまうと、この面倒を乗り越えてでもセッティングしたくなるのです。
「普通こんなことするの?」とかみさんが聞きます。
「うん。女子高生は普通にしてるジャン」と開きなおっています(数少ないハープ人口のうち本当に数%でしょうね)。
JasonRicciさんの素晴らしい演奏も卓越したテクニックと夢のように調整されたハープから生み出されています(あとはとんでもない量の練習と努力ですね)。
#海外ではカスタムハープは日本よりは一般的なようです。
書ききれていない事や、誤解を招くような表現があるかと思いますが、あればご指摘願います(追記や修正があればタイムスタンプを変えて更新しますね)。質問等もあればお気軽にどうぞ。英語圏では活発におこなわれていますね(適切にお答えできるかは定かではござんせんが)。
何度も言いますが、時間もかかり、繊細な作業なので邪魔の入らないときに(かみさんが寝ていたり外出中とか)ゆっくり焦らず、根気よくやる事が大切です(遊ぶときは遊ぶとっ!)。
もしハープの調整によって、新たな演奏の自由を手に入れられるたら、これに勝よろこびはありません。書いた甲斐があるってもんです。
ガンガンチャレンジして素敵な楽器と音楽をつくり出していって下さい!
それではレッツトラーイ!
使い古し、もしくは失敗してもなんとか気を取り戻せるような値段のハープで試して下さい。
お気に入りのハープを調整するまでは暫く修行してみて下さい。
■アーチング
リベットの根元から先端までできるだけ真っ直ぐにします。
リードの底がスロットにギリギリ沈まない位を維持し、先端1/3から1/4程度の所から僅かに頭を出し始めるようにします。
1/3位から急に曲げるのではなく、リード全長に渡って円弧をつけるのが私の好みです。
一発でアーチさせてはいけません。
やさしく、根気づよく様子をみながらマッサージしてあげます。
ヘラを差し込むときやマッサージする時はリードを捻らないように気をつけましょう(ヘラを傾けて入れて作業するとなりがちです、多少ならリカバリできます)。
また、リードはバネの性質があります。アーチを付けても振幅させると元の形に戻ろうとしますので、
・アーチを優しく付ける
・plinkingをする。
リード先端をReedLifterやヘラで持ち上げ離すと「べいーん」と音がします。これでリードは今あるべき姿にリセットされます。
これを繰り返す事で少しずつ、リードの形が落ち着いてきます。
Plinkingをしないと吹いている最中にリードが今あるべき姿に戻ろうとしてしまいますので、作業中に自分の姿を認識させておくわけです。
ちなみにPlinnkingの時の「べいーん」という音から、リードを調整することを「べいんべいん」と言うのは有名で東横線車内では「昨日べいんべいんしたんだけどさぁ」という会話がよく聞かれます。。はい。嘘です。
●アーチのつけ方
見ての通りです。
リード先端からヘラを入れ、リード根元を親指で押さえながら全長方向に優しくマッサージします。
同じ所をずーっとマッサージしたり、力を入れ過ぎたり、ヘラを立て過ぎたりすると、リードに折り目が付いてしまいますので、適当に動かしながら行います。
リードによって固さも違いますし「何回」やれば良いということは明確に言えません。
言えるのは「優しく、何回もかけて」行う事です。
ヘラを入れて
爪でマッサージ。ヘラとリード間に出来ている隙間の所は強く押すと簡単に折り目がついてしまいますからね
これは道具を使って行う場合です。道具を使う場合はピンポイントで攻められますが、慣れないとこれまた折り目をつけてしまいます。最初は指で始める事をお奨めします。
また、アーチを付け過ぎた時も慌てて修正を始めないように。
Plinkingすることで現在の姿を確認してからで遅くはありません。
アーチによって出来るGapは音程が低い方が高く、音程が高い方に向かって徐々に低くなるようにしましょう(あくまでも基本です。目的によっては基本から外れる事も必要でしょう)。
ちなみに、全部のリード(つまり20本)に対して行います。1-2時間はみとくとよいでしょう。
「えーっ」という方(私もそうでした)は#1-6の穴、それも「えーっ」という方は#2-3(4)から始めて見て下さい。
大切なのは「吹吸い両方のリードを調整する」です!
●アーチの取り方
これも、一カ所をネチッこく攻めないように全体に渡って行って下さい。
SuzukiのReedLifterはこういう作業の時に都合がよいのでおすすめです(LeeOscarのは尖っているので向きません)。
無い場合は、ネイルアート用の木製ウッドスティックであれば尖っていてもリードを痛める事はありません(Kinyaさんのページで知りました)。
TinusさんのYouTube(over.comのページで見られます)にこの作業が出ています。慣れていらっしゃる方なのでサクサク進められていますが、これから始められる方はもう少しビクビクしながら進められると良いでしょう。
これもマッサージする度にPlinkingしましょう。
普通にPlinkingしても良いのですが、私は爪でリード先端をスロット内に入れて、スロット裏面からヘラを入れて逆アーチ状態にしてベイーンとやる事が多いです(アーチを取るる、Gapを微妙に減らしたい時など)。
このテクニック(という程ではないですが)はテンションの掛け方によってはGapを少しずつ減らしたりという事もできますので頭の片隅にでも入れておいて下さい。
これも折り目を付けずに、山にしてしまわないように気をつけましょう。
■Gap調整
適切にアーチを付けたらGapは既に調整されていますが、なかなか上手くいかない事もあります。
実際にハープを仮組して実際に音を出してみましょう。
仮組にあたってはクリップバイス等(洗濯バサミの強いやつ)で固定してもよいですが、ネジを全部ではなくてよいですから数本軽く締めましょう。カバーは手で押し付けながらもてば良いです(うんちくは後述)。
・ストレート音は詰まる事無くでますか?
詰まるようならヘラをリードの根元から全長20%程度まで入れてGapをあげます(そしてPulinking)。アーチは崩さないように行います(場合によっては付け直すことも)。
ヘラを差し込んでGapを高くします。
逆にスーカスーカしている場合アーチが適正ならばGapを下げます。リードの根元を少し押して下さい(そしてPlinking)これで先端が沈む事は無いはず(リードが山になっていた場合は除いて)ですが、必要ならアーチを見直しましょう。
リードをアーチさせているようで、あまりよくない写真ですがリードの根元を親指でプッシュしています。一気にやらないでね。
・ベンド音のつながりはどうですか?
滑らかに音が繋がらない、空気がシューシューもれる場合はアーチ量が多い事が多いです。また、同じ穴の別のGap,アーチを見直しましょう。それでも漏れる場合リードとスリットの隙間が大きいようでしたらエンボスが必要になるかもしれませんが出来る限りの事はやってみましょう。
・音の粒はそろっていますか?
和音で音量やレスポンスを確かめます。がこれが中々難しい、吹き方が出来ていないと正しく判断できませんので、単音レベルでゆっくりグリッサンドして確かめてみて下さい。滑らかに音が出ない場合、隣あうリードとのGap,アーチ量が滑らかに変化していないか、同じ穴のもう一方のリードに原因があります。
■最終調整
仮組でそこそこGap調整を行ったら、今度はきちんとネジを締めて組み立てます(カバーは相変わらず手で押し付けるのでOKです)。
さて、どうですか?
ネジを締めすぎるとプレートが歪みリードの開き具合も結構変わってしまいます。
元から反っているリードプレートは更に厄介です(Heringがこのタイプ)。
仮組のときと変わらないようであれば良いのですが、違うようなら微調整をします。
ReedLifterを使いながらハープの前前後からリードのあげみを調整していきます。目で見えない作業ですし、間違えて隣のリードを調整してしまう事もありますので注意しましょう。
吹きリードは大変。マイナスドライバがリード根元を押さえてLifterでリードの裏からアーチを付けています(後からアーチと命名。。どうでもよいか)。
吹きリードのGap、アーチをあげたときはPlinkingが表面から行えないので、根気が続けば一旦バラしてPlinkingのみをしてあげると良いでしょう(もしくは僅かにGapを高くしてくみ上げ後に微調整しやすいようにするというのも手ですね)
チェックは極力カバーを付けた状態で行いましょう。カバーのあり/なしは結構影響あるのです。
さて、以上がGap,ReadProfileの調整でした。
いかがでしたか?
最初から上手くできるものではありませんので、慣れが必要です。また演奏技術の向上に伴いベストなセッティングも徐々に変わってきます。
「ほぇ~こんなにメンドクサイのぉ~?」はい。正直面倒です。首にファイテン巻いて、クリームでも付けていないと首痛くなります(ファイテンって良く効きますねぇ)。
でも、自分にしっくりくるハープを一度でも体験してしまうと、この面倒を乗り越えてでもセッティングしたくなるのです。
「普通こんなことするの?」とかみさんが聞きます。
「うん。女子高生は普通にしてるジャン」と開きなおっています(数少ないハープ人口のうち本当に数%でしょうね)。
JasonRicciさんの素晴らしい演奏も卓越したテクニックと夢のように調整されたハープから生み出されています(あとはとんでもない量の練習と努力ですね)。
#海外ではカスタムハープは日本よりは一般的なようです。
書ききれていない事や、誤解を招くような表現があるかと思いますが、あればご指摘願います(追記や修正があればタイムスタンプを変えて更新しますね)。質問等もあればお気軽にどうぞ。英語圏では活発におこなわれていますね(適切にお答えできるかは定かではござんせんが)。
何度も言いますが、時間もかかり、繊細な作業なので邪魔の入らないときに(かみさんが寝ていたり外出中とか)ゆっくり焦らず、根気よくやる事が大切です(遊ぶときは遊ぶとっ!)。
もしハープの調整によって、新たな演奏の自由を手に入れられるたら、これに勝よろこびはありません。書いた甲斐があるってもんです。
ガンガンチャレンジして素敵な楽器と音楽をつくり出していって下さい!
それではレッツトラーイ!
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