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吉村昭の“空白の戦記”を読んで

私の東日本ツァー先で偶然に見つけた文庫本“空白の戦記”は、私には珍しく旅行中に読み終えたが、感慨深く印象に残った。 この本は、作者・吉村氏が“無意識ながら戦争の陰の部分に生きた人間を描いていることにあらためて気づいた。私の関心が、自然とその部分に注がれているからだろう”、と言っている作品群だ。また、見方によっては、“「人と物」についての物語である”とも言える。「人と物」が対をなして、人々を悲しみに導いている。特に「物」の乏しかった戦前の時代には、「人」を犠牲にしてでも「物」を維持しようとした。だが、今でもそんな風に犠牲になる人生は、恐らくそこらじゅうに転がっているのではないかと、改めて気付かされるのだ。 この作品群を読んで、これ以上、何かを語る言葉は私には見出せない。 . . . 本文を読む
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