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この度初めての御影・香雪美術館訪問・観覧

“政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会・会長は、東京五輪・パラリンピックの開催に伴う新型コロナの感染拡大リスクに関する提言を政府と大会組織委員会に提出した。現在の感染状況では、条件を付けずに無観客開催とすることが、「会場内の感染拡大リスクが最も低いので、望ましい」と提言に明記した。”
だがその前日には、次のような報道が流れている。“首相は緊急事態宣言の解除を発表した17日の記者会見で、東京五輪・パラリンピックについて、国内の観客を入れての開催に意欲を示した。”

オリパラ開催の是非の議論は、既にどこかへ飛んでしまい、開催が前提で“無観客か否か”の議論になってしまっている。首相のG7でのオリパラ開催宣言があったからだという。ここまでは政権・政府の思惑通り。ところが、政権・政府に提言する立場の新型コロナウイルス感染症対策分科会は無観客開催としなければ感染拡大リスクは高くなると公言し、文書にした。それでも政権・政府は国内の観客を入れてのオリパラ開催を強行するのであろうか。

“何でヤー?”“オイシィからや!”
フト、昔流行ったギャグを思い出した。無観客では、折角、人集めに精を出すP社等“手配師”稼業の連中に金を支払う名目が無くなるからではないのか。そうなると、P社等からの“オイシィ”キックバックも無くなるからや!

専門家からの提言に対し、政権・政府は何らかの見解を示さねばならなくなったはずだ。それも専門家を納得させられる理詰めの合理的説明がないと、このやり取りは成立しない。対策分科会・会長は、差し当たりオリパラ組織委員会がどう決断するかが問題だとの見解を示している。
折角、無理矢理、16日に国会を閉じて理詰めの議論しなくても良い環境を作ったのに、・・・が首相の気持ちだろう。

そうなのだ。国会は国難の中審議する事項多数にもかかわらず、閉じてしまった。これを黙過することできぬ、という野党が内閣不信任を突きつけた。野党の動きは当然であろう。ところが実際にそれが提出されると、“内閣不信任ならば、国会解散だ!”と息巻いた与党幹事長が、急におとなしく風見鶏。今、解散総選挙で政権・与党は勝てるはずがない!
野党もそれを見透かしての“内閣不信任案提出!”の猿芝居。政権与党の政治家にはまともに国難に立ち向かう気構えが、全くないことが分かる。
頭にあるのは利権の追求ばかりなのだろう。先にも言ったように、利権保守のため、オリパラ強行開催なのだ。新型コロナ・ウィルスの感染がどうなろうと、自分たちはワクチンの先行接種で持ち応えるつもり!

あるテレビ報道を見たところ、大会組織委員会の現役職員への匿名インタビューによれば、毎日開催の問題点を認識し協議しているが解決策を見いだせず、日時だけが無為に過ぎているという証言を聞いた。プレイブックに記載された事項もほぼ確実な実行不可能なことばかりのようだ。どうやら希望的楽観と妄想に基づいた、“安心・安全”開催のようだ。これはあのノモンハン作戦と全く同じ心理構造である。これは完膚なきまでに失敗する計画である。相手は忖度のないウィルスなのである。

この国はかつて、満州国という巨大な利権とそれにともなう膨大に膨れ上がるアブク銭の夢を見て滅んだ。満鉄、満映等の国策会社を中心に、そこから上がる利権が、軍人、政治家を毒して、国家は滅びた。“この道は、いつか来た道”今、また同じ道を行くのだ。だが今度の“アブク銭”には壮大な夢はなく、規模もそれほど大きくはなくメメッチイのだが!
“始めたことは、止められない”という論理にもならない怠惰な精神・思考停止と惰性で強行突破しようとしているのだ。その背景にはこの国の上層部幹部いわば上級国民に手放したくない利権があった。そしてまた、同じように強行しようとしている。そしてコロナ敗戦となるのであろうか。ミミッチイ・アホの極みなのだ!!

トミファが内部矛盾で7月のイベントを乗りこえられない可能性が高いようだ。トミファとは、“都民ファーストの会”のこと。オリパラ開催前にある都議選で、そのオリパラ開催をめぐって都民世論が開催延期・中止を求める中、知事を支援する目的で集まった烏合の衆では、オロオロするばかり。その中心だった肝心の知事は政権与党の動向ばかり気にしていて、あっち向いてホイ!トミファ結成時の野党的気質は霧消し、改革は頓挫?昔日の夢と化した。
政治的原理・原則があいまいなまま、内実は目玉になりそうな政治家を支援して一旗揚げようという有象無象の集まりでは、右往左往するのが当たり前!オオサカの変な会派と同じ運命か?
個人の欲得損得で政治はやってはならない!それは国を亡ぼすモトなのだ!

政治家よりも官界・経産省にも問題行動があったとされる。“東芝と経産省が一体で「物言う株主」を抑え込み、株主総会運営で公正さ欠く”という新聞記事がにぎわった。経産省の官僚に法的グレー行為が認められるというものだ。

東芝の2020年7月の株主総会に経済産業省が介入したとする弁護士の調査報告書を巡り、梶山経産相は18日の閣議後の記者会見で改めて反論した。改正外為法の趣旨を逸脱するとの指摘に対し「(運用に)問題はない」と強調した。同省元参与に外国株主への働きかけを依頼した事実はないとし、同省幹部による守秘義務違反や事務の逸脱も否定した。
これに、司法当局の動きが鈍いようだが、一体どういうことか。日本の司法当局は日産自動車には過剰介入して問題を大きくしてしまったようだが、これに懲りて東芝には手を付けないのだろうか。これが日本の経済取引全般の国際信用問題に発展することはないのだろうか。エコノミストも言及を避けている印象がある。暗い深い闇が潜んででもいるのだろうか。日本の司法の恣意性も又問題とはならないのだろうか。いずれにせよ日本の官界の質の劣化による事態ではないことを祈りたい。この国は既に芯から腐敗してはいないだろうか。


さて、前回同様医者通いの話が続いて恐縮だが、先週も耳鼻科に鼻水の薬を貰いに出かけた。どうもこの数年、食事時に異様に鼻水が出るようになって、QOLが低下するので診てもらったのだが、何らかのアレルギーだとのことで、その薬を貰いに定期的に通っているのだ。齢を取るというのはこういうことなのだと気付く次第である。
その耳鼻科医院は阪急御影の近くにあり、その東隣には、あの羽生結弦選手が参拝に来た弓弦羽神社がある。実は、そのまた東隣に香雪美術館という、小さな美術館がある。そのHPに次のように説明している。

“朝日新聞社の創業者・村山龍平(むらやま りょうへい、1850年 - 1933年)が蒐集した日本、東洋の古美術コレクションなどを収藏する美術館として、昭和48年(1973)に開館しました。古美術の優品と時を刻む近代建築の保存・調査を進めるとともに、広く文化的体験の機会を提供する公益活動を通して、かけがえのない文化財を未来へ引き継ぐ事業を進めています。重要文化財19点、重要美術品33点を筆頭とする所蔵品は、仏教美術、書跡、近世絵画から茶道具、漆工芸、武具に至るまで、幅広く各ジャンルを網羅しています。”

Wikipediaにも次のような案内がある。
“館名の「香雪」は村山の号である。
村山は伊勢国(現在の三重県度会郡)の出身で、上野理一とともに朝日新聞の創設者である。高橋健三、岡倉覚三(天心)らが中心になって1889年に創刊された美術雑誌「国華」(2018年現在、引き続き刊行中)は創刊後まもなく経営難に陥っていたが、その苦境を救うため、朝日新聞社が同誌の発行元となったことが、村山が古美術に関心を持つきっかけになったという。収集は刀剣武具から始まり、仏教美術、茶道具へと広がっていった。
所蔵作品数は、重要文化財19点、重要美術品23点を含む422点(2018年3月現在)。更に村山家より約1600点が寄託されている。なお、香雪美術館の収蔵品のなかには、村山の娘婿で、のちに朝日新聞社長となった村山長挙(むらやま ながたか、1894年 - 1977年)の収集品5点や、開館後の購入・受贈品7点も含まれている。
運営主体である公益財団法人香雪美術館は、株式会社朝日新聞社の発行済み株式の10%(2008年9月時点)を保有する第5位の、また朝日放送の同7.0%(2010年6月時点)を保有する第3位の、テレビ朝日の同5.00%(2010年9月時点)を保有する第3位の大株主である。”

要は、美術館とは村山龍平等、村山家の人々が収集した美術品等をその私邸の広大な敷地(宅地及び山林16,850.59㎡:約5100坪)の一部に展示場を建てて美術館とし、展示したことなのである。先ほど“小さな美術館”と言ったが、私邸の敷地は広大であり、その北側は殆ど森と化している。阪急電車御影駅から電車で梅田方面へ向かう時、海側にまるで弓弦羽神社の杜のように見えるが、実はこの私邸の森なのだ。そしてこの森の周囲には丸い石を積み上げた特徴的なの立派な塀が取り囲んでいる。敷地面積は地図で見ると弓弦羽神社の10倍近くあるように思える。

前置きが長くなり、恐縮だが私の思いを文字にして説明し始めるとこうなってしまた。
兎に角、この美術館が阪急御影にあるのは学業を終えて、神戸に就職した時から知ってはいたが、その後も近くにあり過ぎて、中々赴く気にはならなかった。春には桜がきれいに咲いていて、いつかは訪れてみたいと思っていて、これまで果たせなかった訳だ。そこで今回耳鼻科医院に行くついでに行ってみようと思い立った次第だ。だが、展示があって開館していなければ、行っても空振りとなる。今回はコロナ禍ではあるが、5月22日(土)~7月4日(日)の期間で、“佛・祈りのかたち”という特集展示を開催していたので、行って見ることにした。

休館日:月曜日
開館:午前10時~午後5時 ※入館午後4時30分まで
観覧料:一般 700 円

当日はウィークディ火曜日。実は月曜にしようと思っていてのが、休館と分かったのでワザワザ火曜に延期。そして習慣化しているNHK・BSプレミアムの午後一BSシネマを鑑賞し終わってから出かけた。するとどういう因縁かは知らぬが、当日映画は“市民ケーン(Citizen Kane)”だった。これは新聞王チャールズ・フォスター・ケーンの生涯を追う内容。それを見終わって、朝日新聞社の創業者・村山龍平の収集美術品を納めた香雪美術館に行くこととなったのだ。市民ケーンはザナドゥを築いて住んだとされるが、村山氏も広大な私邸に住んだのだ。新聞王は儲かる商売だったのだ!
映画が終わったのが午後3時。出かける準備を10分で終え、阪急御影駅に着いたのが午後4時15分前。十分“入館午後4時30分まで”には間に合った。午後4時前には入館可能。鑑賞も1時間あれば十分可能。

駅前ロータリー広場から東進して、弓弦羽神社の杜の北側をさらに進んで突き当たった所に特徴的な石積みの塀がある。そこが村山家私邸で、そこに美術館の案内看板が掲げてある。そこから右手に神社境内の杜を見ながら案内通り南下する。敷石が敷き詰められ、道路内に大木が4,5本林立していて、いかにも風情あり。散歩には絶好の場、これは公道であろうか私道であろうか。やがて、香雪美術館の門に至る。



初めて中に入る。中の前庭は意外に狭かった。百坪もないかもしれない広さだ。だが緑は豊富で、そのため明るいとは言えない。勝手に広くて明るい庭を想像していたのだ。左手北に美術館の建物、右手には茶室のような東屋らしきものあり、これで私邸部分と隔てている。中央北寄りに赤い毛氈を敷いた腰掛と上に日よけの大きな赤い和傘がしつらえてあった。20~30名のパーティは十分にやれる。パリピ垂涎だろう。美術館にいたる通路は回遊式になっている。



高床の鉄筋コンクリートの美術館に入る。コロナ対策として、署名・連絡先を記入し、手指消毒の後、観覧料を支払う。館内は撮影禁止。
展示室に入ると、村山龍平氏の胸像等があり来歴の若干の紹介展示があった。それ以外は“佛・祈りのかたち”の特集展示。
図画、絵巻、神像、鈷杵、鈷鈴、鰐口等、計28点。残念ながら超一級の作品展示はなかったが、先ずは愛染明王の像なのだが、暗く不鮮明の図からスタート。
2階には伝・狩野探幽“三十三観音図”33幅の展示。これは下には地獄図があるが観音がそれから救う様子を示し、上にはそれに対応する観音の肖像が描かれている。
木像である神像は10点。平安時代のものとある。京都・松尾大社で見た神像とよく似ている。従い、平安時代前期の9世紀のものであろう。日本古来の神の像は、仏像の影響があるような説明があった。本地垂迹説への神仏混交へ移行する前段現象であろうか。

鈷杵には細密な造りのものが展示されていた。鋳造後削り出しであろうか。複雑な形態なので、別々に部品を作って組み合わせたのであろう。

密教図が多いので、密教真言を思い出す。
羯諦羯諦 波羅羯諦 波羅僧羯諦 菩提薩婆訶(ぎゃていぎゃてい はらぎゃてい はらそうぎゃてい ぼじそわか)

観覧者は私一人だったが、係の女性が必ず離れた場所で展示のガラスを拭いて回っていた。不都合が無いように監視していたのであろう。丁寧に見て回ったつもりだが、1時間強で全て見終えることができ、ほぼ予定通り。



外へ出て、道路を美術館敷地沿いに東へ回り込むと、私邸の門があった。表札等の表示は全くない。さらに東へ回り込むと木造の二階屋の洋館が見える。この部分は今も私邸として使用されている印象だった。

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