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参院選に思う憂鬱

安倍首相は選挙になると“経済”を持ち出す。“憲法を変える”とは決して言わない。だが、多数を占めれば、それが信任されたと称して改憲に向かってまっしぐらに政治日程は設定されるのは間違いない。彼はいつも国民を愚弄している。
しかし、安倍政権下での“経済”アベノミクスは上手く行っているのだろうか。世論調査では、結構な人々が“上手く行っている”という意味の回答をしているようだが、現実は多くの日本人に恩恵を施している訳ではない。
それにもかかわらず、与党勢力に投票する人々は多いようだ。それで良いのか。自民改憲案は、国民の権利を制限し、国家主義が前面に出た21世紀の民主国家とは思えない内容になっている。女性活躍社会などは掛け声でしかないことが鮮明になる。
公明党は“平和の党”と自称していたが、一体何者か。現憲法9条は変える気はない!と迷言しているが、官邸から少し強く迫られれば、コロッと変わるのは目に見えている。そこへ改憲別働隊が参加すれば、3分の2議席を確保し“自主憲法”制定に向けて動き出す算段となる。立法機関が発議すれば、すでに国民の間で過半数を獲得している可能性が高いので改憲案は成立する公算は高くなる。
国民の選択なので仕方ないが、歴史を逆転させるのは私としては残念でしかたない。このまま日本はどうなるのだろう。とてつもない破綻に向かって、坂をころがり落ちるだけではないだろうか。国破れた先には何が残っているのだろうか。

果たして、政権を信任できるほど安倍氏はアベノミクス政策を実行したのであろうか。株価が上昇したのは円安によって、国内企業の収益が改善したからだ。その円安は、円高が極まってついに貿易赤字が鮮明化したので、不安に思った海外投資家が慌てて円を売ったのがきっかけになったからに過ぎない。その頃は、未だ安倍氏は組閣する前の民主党政権下であった。その後も何故か円安は継続され、マスコミは誰云うことなくアベノミクスと騒ぎ出したに過ぎない。それに悪乗りして一旗組の経済学者がリフレ政策とか称してもっともらしいことを吹聴し始めたのだった。そして、出来る範囲で金融緩和を実施していた当時の日銀総裁にも圧力を掛けてさらなる緩和を迫って、挙句に辞任させ、お気に入りの黒田氏を据えて、異次元金融緩和をやった。それによって、2年以内に経済は回復するとの目算だったが、一向に良くならない。そこで上手く行かないと見るや、マイナス金利を実行し、財政赤字をファイナンスしている。このファイナンスつまり日銀の買取り国債の総額は2018年には、GDPを上回ると計算されているようだ。つまり、後2年後には日本経済に何らかの変調が生じる可能性が高いと予測されるということだ。
就職氷河期が去って、雇用環境が良くなったのは、就業者人口が減って見掛け上人手不足になったからだ。こちらは、日本の人口減少と言う経済には超深刻な負の影響が着実に近寄っているという現実を示しているのだ。人口が減ればその分、需要は減退する。今、日本経済が回らないのは、消費つまり人々がモノを買わずに節約しているからだが、消費する人が居なくなれば消費もなくなるのだ。だから、喜ばしい話では決してなく、極めて厳しい深刻な状況の序曲に過ぎない。それを好況と勘違いするのは、おめでたい限りで、暢気にしている訳には行かないのだ。

人口減少には短期的には、女性の社会参画の促進が必要だ。中期的には生産性の向上対策が、長期的には人口そのものの減少を緩和する出生率の改善が望まれる。そのためには子育て費用の軽減、特に教育費の公費助成を促進するべきだ。子供を持てば家計が圧迫されるばかりであることが明白である間は、子供を産み育てることができないこととなる。“子供は不良債権でしかない”と言われる限りでは子を持つ気にはならない。否、その前に、非正規労働が常態化している若者は確実な収入が獲得できていないので、結婚すらできない。子供を持っても、その子供が幼児の間、働く女性が安心して託児できる態勢が整っていなければならないが、現実は“日本、死ね!”の台詞が若い母親から発せられるのが実態だ。
しかし、安倍政権はこれら全ての問題に、全く無策で時間を浪費してしまっている。ステグリッツやクルーグマンが指摘したのは、こういった政策に惜しみなく財政を開放せよと言っていたのだ。その限りで、“財政赤字を気にするな!”と言ったのだ。オールド経済に法人税減税し補助するために、積極的に援助しろとは言ってはいない。ステグリッツが“炭素税”を提案したのは、オールド経済を革新する切っ掛けの政策としての一つの案を示したのだ。ステグリッツ御当人はテレビのインタビューに苦笑いしながら、“恐らく受け入れられることは、あるまいが・・・。”と皮肉を込めた表情をしていたのは、印象的だった。ステグリッツの予想通り、安倍政権では“炭素税”はもとより、先に挙げた問題に対する政策は一つも実施されていない。やろうとする気もない。

世界の投資家は、日本のこうした実情を既に十分承知している。つまり、日本の将来に明るいものは一つもないことを知っているのだ。だから、最近聞いた話では、“安心して、日本株を売ることができる。”という状況のようだ。つまり、実際に株を持っていなくても、安心して先物等の空売りで“売ることが出来る”という意味だ。現に直近の日本の相場は弱い。
ジョージ・ソロスのように鵜の目鷹の目で、どこに弱い経済があるのか探して、タイミングを見計らっている。90年代の東南アジア経済はこれによって崩壊した。それは韓国にまで波及したのだった。それが、今度はアベノミクスで暢気にしている日本なのだ。ヒョッとして、それは不況を目前にしたこの秋の“財政出動”のタイミングなのかもしれない。つまり、増税先送りした財務余力のない日本の足元を見て、売り浴びせが始まる可能性は高い。
伊勢志摩サミットで安倍氏は暢気に、“世界経済が不安だ”と言ったのに、独メルケル首相がやんわりたしなめたのは、そういうことなのだが、アホノミクスは直接的表現で言われない限り、真意を全く理解できないままだったのだ。

そんな愚かしい政権を支持することはとても考えられないことなのだが・・・。くれぐれも日本を過たないようにするべきだが、やっぱり愚かな選択をするのだろうか。
しかし、今やオチャラケ・テレビ番組では参院選より、私達には関係のない都知事選を話題にしている。いつもある野が選挙事務所に使う党近所の空き家があるが、そこには党首のポスターしか目だ立っておらず、実際に誰が立候補しているのか良く分からなかった。候補者の演説に立ち止まって聞いてみようとする人も居ない。実に情けない状況だ。国の方向が大きく転換する切っ掛けとなるにもかかわらず、盛り上がりに欠ける参院選になっている。
自分が責任を持って投票する先がないから棄権したい。特に旧民主党が政権党だった時代に、その運営が拙かった、だから民進党に入れるのには問題がある、というのは十分理解できる。しかし、政治学的な言葉に“敵の敵は味方”というのがある。もし、現自民党政権が嫌にもかかわらず、それに替えて投票したい政治団体がないのならば、自民の最大の敵である野党第一党に取りあえず投票することが、自民に大きなダメージを与えることにつながると理解して欲しい。そう考えて、とにかく棄権だけは避けてほしい。
とにかく低投票率下で改憲発議がなされることはないようにして欲しい。日曜夕の開票速報が気になる。


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