The Rest Room of ISO Management
ISO休戦
2012・年始雑感
年末より、私の思考を捕らえているものがいくつかある。今回は その内の根拠乏しき私の妄想を紹介したい。
それは 先ず円高要因となっている円の買い手は誰なのか、という興味だ。多くの人、私自身も含めて それは狡猾な外国人であり、恐らくはその中心にハゲタカ金融マフィアがいるのだと潜在意識で思い、それ以上の疑問を差し挟まずに、思考停止させているのではないだろうか。
実は、外国為替はその取引主体がどのような類の連中なのかが判り辛くなっていて、その点で株の取引と異なり、“円の買い手は誰なのか”と、それなりの金融のプロに聞いても大抵は的確に答えてくれないのが実情である。
さて、円高になれば本来その分海外の資金が日本に集まって来ているはずだ。マネーがあればそれは運用されなければならない。ましてその買い手の中心が外国のハゲタカ金融マフィアとなれば、キャッシュで持ってそのまま安心するような連中ではないはずだ。そして運用となると、先ず株、土地、債券が考えられる。しかし、日本では急激な円高、つまりマネーの集中の割には急激な株や土地の値上がり現象は起きていない。急激な株や土地の値上がりどころか、90年代よりデフレを脱却できずにあえいでいるのが実情だ。現状では株より債券と言われるが、その中心たる日本国債の買い手は日本の機関投資家つまり銀行であることはここ何年も変わりがない。逆にその買い手は、日本国内の銀行であるから、ギリシアや南欧の諸国と異なり日本国債の暴落はない、と見られている。
*円キャリー・トレードはむしろ円売りの要素が強い。つまり低金利で円を借り、それを売ってドルや投資先通貨に換えて高金利の新興国に投資し儲けようという行動だからだ。
では、一体“円の買い手は誰なのか?!”。今、日本でキャッシュを溜め込んでいるのは90年代の4つの過剰を解消した日本の事業会社ではないだろうか。彼らの財務内容は、今や非常に良好である。ウソだと思うのなら、証券会社の窓口に聞いてもらうと良い。日本の株式市場は何故かこのような優良株が多数放置されて続けている状況が生み出されているのだ。
ここで一口に事業会社と言っても事業形態は様々である。輸出企業もあれば、内需型企業もある。輸出企業のような顔をしていても、いつの間にか海外生産の比重を高めて体質改善を進めて来て、90年代の4つの過剰を解消している。内需型企業であっても、その商品生産は海外だという企業も多い。このように生産拠点を海外に置いたり、海外との取引をすることで、つまり国際化を起点に体質改善を進めたのが 日本企業の現状実態ではないのか。
つまり最近の不安定な為替相場の中で、海外で儲けたマネーの目減りを恐れて慌てて円に切り替えた事業会社が多いのではないだろうか。これらの事業会社では 円に換えた資金を国内の投資先がなくキャッシュで手持ち資金としているのが実情であると見るのが自然な見方ではなかろうか。そういう動きにハゲタカ外人も乗ったと見るべきではないか。
日本の多くの事業会社は、“円高で苦しい、このままでは外へ出て行かねばならなくなる”などと言っているが、上記のような背景を思えば白々しく聞こえる。もう遠くの昔に日本経済は空洞化していると見るべきなのだ。特に、日産自動車のような国際企業が円高で苦しいと声高に言うのは何だか怪しい台詞と思うべきではないか。もし、本当に苦しいと言うのならば、それは今や優良会社とは言えないのではないか。
いや、円高を利用して豊富なキャッシュで海外の優良企業を買収M&Aするために物色中というところが多いのではないのか。つまり、自分達で円高にしておいて、それを利用して狡猾にも企業買収に乗り出していると結果的には見えてしまうのだ。残念なことに、こうした戦略が政府と一体になって実施されているとは見えず、何やら 全てが偶然の為せる業としか見えないことだ。だが、ヒョッとして、実はデキているのかも知れない・・・・。ならば、もう一歩踏み込んで、かつての米国のように世界のマネーを掻き集めて、金融で儲けるグランド・スキームがあっても良いのではないか。
こうなると“円高は日本の利益”とかつて米国が言っていた台詞のように聞こえてくる。何故なら、輸出で儲けている事業会社以外にとっては、円高は海外の物を安く買えるようになり圧倒的に有利だからだ。例えば、この円高の間、実は原材料、特に食糧やエネルギーは世界市場では価格高騰に悩まされていたのだ。中東の春、ジャスミン革命のきっかけは食糧価格の高騰にあると言われている。幸いなことに、我々にその実感がなかったのは、円高の恩恵だった。
ここでついでながら、欧州の経済危機について少し思いを致してみたい。この危機が最悪の場合、日本のGDPを4%押し下げると試算されているという。4%と言えば、ほぼ20兆円だ。20兆円と言えば、東北の復興に必要な額に等しいのではないか。つまり、東北の人々には気が引ける話だが、欧州危機と東北復興は その額において補完関係にあるように見える。つまり、欧州危機が最悪の事態で実際に起きたとしても、日本経済にはあまり影響しないと思って良いのかも知れない。
しかし実際には、ギリシアは救えないにしても、対策は実施され欧州全体の危機は起きないのではないかと思われているし、恐らくそうなるのであろう。そうなると東北の復興だけが 残って日本は浮上すると考えて良いのかも知れない。今朝のテレビ・報道ステーションSUNDAYでは 既に仙台を中心に復興景気で沸きあがっているという。しかし、単なる復旧では乗数効果は期待できないので、一時的なものとなる可能性も高い。
そして、その番組では浜矩子氏(同志社大)や吉崎達彦氏(双日総研)が指摘していたように、残念ながら日本政府の政策が、景気浮揚、震災復興、財政再建(増税)と社会保障の一体改革が公正で公平な所得再分配につながっていないことに問題がある。折角、優良な日本企業が儲けたマネーを日本再建に利用し、つなげるような政策も打出せていない。宇宙産業への傾斜は 乗数効果も期待でき、より好ましいとは思うが、もっと抜本的な政策が欲しい。
どうして、こうなるのか。官僚や労組、その他の既得権者の利益が それを阻んでいるのだろうか。そのメカニズムが未だ明らかにされているとは言えない。大阪の改革が それを明らかにできるのだろうか。
それは 先ず円高要因となっている円の買い手は誰なのか、という興味だ。多くの人、私自身も含めて それは狡猾な外国人であり、恐らくはその中心にハゲタカ金融マフィアがいるのだと潜在意識で思い、それ以上の疑問を差し挟まずに、思考停止させているのではないだろうか。
実は、外国為替はその取引主体がどのような類の連中なのかが判り辛くなっていて、その点で株の取引と異なり、“円の買い手は誰なのか”と、それなりの金融のプロに聞いても大抵は的確に答えてくれないのが実情である。
さて、円高になれば本来その分海外の資金が日本に集まって来ているはずだ。マネーがあればそれは運用されなければならない。ましてその買い手の中心が外国のハゲタカ金融マフィアとなれば、キャッシュで持ってそのまま安心するような連中ではないはずだ。そして運用となると、先ず株、土地、債券が考えられる。しかし、日本では急激な円高、つまりマネーの集中の割には急激な株や土地の値上がり現象は起きていない。急激な株や土地の値上がりどころか、90年代よりデフレを脱却できずにあえいでいるのが実情だ。現状では株より債券と言われるが、その中心たる日本国債の買い手は日本の機関投資家つまり銀行であることはここ何年も変わりがない。逆にその買い手は、日本国内の銀行であるから、ギリシアや南欧の諸国と異なり日本国債の暴落はない、と見られている。
*円キャリー・トレードはむしろ円売りの要素が強い。つまり低金利で円を借り、それを売ってドルや投資先通貨に換えて高金利の新興国に投資し儲けようという行動だからだ。
では、一体“円の買い手は誰なのか?!”。今、日本でキャッシュを溜め込んでいるのは90年代の4つの過剰を解消した日本の事業会社ではないだろうか。彼らの財務内容は、今や非常に良好である。ウソだと思うのなら、証券会社の窓口に聞いてもらうと良い。日本の株式市場は何故かこのような優良株が多数放置されて続けている状況が生み出されているのだ。
ここで一口に事業会社と言っても事業形態は様々である。輸出企業もあれば、内需型企業もある。輸出企業のような顔をしていても、いつの間にか海外生産の比重を高めて体質改善を進めて来て、90年代の4つの過剰を解消している。内需型企業であっても、その商品生産は海外だという企業も多い。このように生産拠点を海外に置いたり、海外との取引をすることで、つまり国際化を起点に体質改善を進めたのが 日本企業の現状実態ではないのか。
つまり最近の不安定な為替相場の中で、海外で儲けたマネーの目減りを恐れて慌てて円に切り替えた事業会社が多いのではないだろうか。これらの事業会社では 円に換えた資金を国内の投資先がなくキャッシュで手持ち資金としているのが実情であると見るのが自然な見方ではなかろうか。そういう動きにハゲタカ外人も乗ったと見るべきではないか。
日本の多くの事業会社は、“円高で苦しい、このままでは外へ出て行かねばならなくなる”などと言っているが、上記のような背景を思えば白々しく聞こえる。もう遠くの昔に日本経済は空洞化していると見るべきなのだ。特に、日産自動車のような国際企業が円高で苦しいと声高に言うのは何だか怪しい台詞と思うべきではないか。もし、本当に苦しいと言うのならば、それは今や優良会社とは言えないのではないか。
いや、円高を利用して豊富なキャッシュで海外の優良企業を買収M&Aするために物色中というところが多いのではないのか。つまり、自分達で円高にしておいて、それを利用して狡猾にも企業買収に乗り出していると結果的には見えてしまうのだ。残念なことに、こうした戦略が政府と一体になって実施されているとは見えず、何やら 全てが偶然の為せる業としか見えないことだ。だが、ヒョッとして、実はデキているのかも知れない・・・・。ならば、もう一歩踏み込んで、かつての米国のように世界のマネーを掻き集めて、金融で儲けるグランド・スキームがあっても良いのではないか。
こうなると“円高は日本の利益”とかつて米国が言っていた台詞のように聞こえてくる。何故なら、輸出で儲けている事業会社以外にとっては、円高は海外の物を安く買えるようになり圧倒的に有利だからだ。例えば、この円高の間、実は原材料、特に食糧やエネルギーは世界市場では価格高騰に悩まされていたのだ。中東の春、ジャスミン革命のきっかけは食糧価格の高騰にあると言われている。幸いなことに、我々にその実感がなかったのは、円高の恩恵だった。
ここでついでながら、欧州の経済危機について少し思いを致してみたい。この危機が最悪の場合、日本のGDPを4%押し下げると試算されているという。4%と言えば、ほぼ20兆円だ。20兆円と言えば、東北の復興に必要な額に等しいのではないか。つまり、東北の人々には気が引ける話だが、欧州危機と東北復興は その額において補完関係にあるように見える。つまり、欧州危機が最悪の事態で実際に起きたとしても、日本経済にはあまり影響しないと思って良いのかも知れない。
しかし実際には、ギリシアは救えないにしても、対策は実施され欧州全体の危機は起きないのではないかと思われているし、恐らくそうなるのであろう。そうなると東北の復興だけが 残って日本は浮上すると考えて良いのかも知れない。今朝のテレビ・報道ステーションSUNDAYでは 既に仙台を中心に復興景気で沸きあがっているという。しかし、単なる復旧では乗数効果は期待できないので、一時的なものとなる可能性も高い。
そして、その番組では浜矩子氏(同志社大)や吉崎達彦氏(双日総研)が指摘していたように、残念ながら日本政府の政策が、景気浮揚、震災復興、財政再建(増税)と社会保障の一体改革が公正で公平な所得再分配につながっていないことに問題がある。折角、優良な日本企業が儲けたマネーを日本再建に利用し、つなげるような政策も打出せていない。宇宙産業への傾斜は 乗数効果も期待でき、より好ましいとは思うが、もっと抜本的な政策が欲しい。
どうして、こうなるのか。官僚や労組、その他の既得権者の利益が それを阻んでいるのだろうか。そのメカニズムが未だ明らかにされているとは言えない。大阪の改革が それを明らかにできるのだろうか。
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