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“7つのS”とISO9001

前回  “マッキンゼーの7つのS”を ご紹介しました。
さて、ところで この企業診断のための“7つのS”の思考フレーム・ワークは ISO9001の規定要求事項とどのように対応しているのか気になります。それを 下の図の右側に示しました。



“7つのS”の内、“System(社内の仕組)” が正に ISO9001の受け持ち範囲です。そして その会社の製品の “品質” に関わる仕組が対象となります。ですが その“品質に関わる仕組”は 会社のコア部分ということになります。従って ISO9001は 会社の極めて重要な部分を評価する基準と考えるべきです。

“Staff(人材)”については “採用と育成のやり方は/経営陣の特性は/どの部門に最も強いリーダーがいるか;弱い部門はどこか” などが テーマのようですが、ISO9001では 特に そこまで言及していません。しかし、“品質”という会社のコア・コンピタンス(力量) に関わる人材の管理つまり教育・訓練とその方向性について規定しています。

“Structure(組織)”に関しても “基本的な組織形態はどうあるべきか/組織の集権(分権)の度合いは/組織の部門間の地位やパワーはどうなっているか” などが “7つのS”のテーマのようですが、 ISO9001 ではそこまで言及していません。直接的には、品質マネジメント・システムの運用に メンバーの“責任と権限”を明確にし、“管理責任者”の設置を求めている程度です。そして“内部コミュニケーション”を確実にすることを求めています。
あとは それぞれの要求事項に該当する業務プロセスで 要求事項を満足するように どのように業務が遂行されているかを “プロセス・アプローチ”で評価するように求めています。これを厳密にしたのが カメの分析(タートル分析)になります。
つまりISO9001では “Structure(組織)”に関しては 期待されているような形での要求事項は 見当たらず プロセス毎に どのように運営されているかを “見つめる” という巧妙なやりかたで 評価しています。この方が 診断者の予断と偏見を排除した 客観的な 評価が 可能なように思います。
会社という組織経営でのパワーポリティックス分析は ISO9001の埒外となっています。要は組織の機能の有効性を ISO9001は 客観的に 淡々と評価しようとしています。
“組織の集権(分権)の度合い”を見るよりは その機能性を見る方が重要な気がします。組織構造は 機能性を極めた結果として決まるものなのでしょう。ということで “組織は戦略に従う” という有名な言葉が 生まれたのでしょうか。

ISO9001では “品質方針”や“品質目標”の策定を求めています。この 方針や目標の背景には、“Shared Values(価値観)” や “Strategy(戦略)”,“Style(経営スタイル)” が しっかり定まっていないと 確かな方針や目標は 持てません。つまり、ISO9001のこの要求事項を 本当に満たそうとすれば しっかりした“Shared Values(価値観)” や “Strategy(戦略)”,“Style(経営スタイル)”が 必要ということです。

“7つのS”の分析で 期待する レベルが どの程度なのか、診断する人によって異なる可能性が大きいのでしょうが、ISO9001は 会社の コア部分の機能性を 基準を設けて客観的に評価しようとしており、結果として、プロセスと それが要素となっているシステムの機能性を評価しようとしています。これは 組織にとっては 極めて重要なことだと思うのです。
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