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“ISOを活かす―21. レストランは料理とサービスを製品として、顧客満足度を向上させる”



今回は ファミリー・レストランの料理とサービスの問題です。

【組織の問題点】
昨年ISO9001認証取得した ファミリーレストランA店では 最近顧客満足度を調査するために、顧客アンケートをとったところ、製品である「料理」については 評判が良いという結果でしたが、接客サービスの点で問題のあることがわかりました。店長は アルバイト店員の教育・訓練について日頃から気にしていた、ということです。このA店では、ISO9001システムをどのように改善すれば よいのでしょう、という課題です。



【ISO活用による解決策】
著者・岩波氏は 次のように指摘しています。“レストランでは、顧客に提供する「料理」と、「接客サービス」の両方を製品*と考えることができます。料理(味と値段)も重要ですが、接客サービスも顧客満足のために重要であるからです。そして、料理と接客サービスの両方についての「製品の監視」(8.2.4項)をします (料理のできばえのチェックと接客サービス状況のチェック) 。 一方、料理だけを製品とし、接客サービスはプロセスと考えることもできます。この場合には、料理については「製品の監視」を行い(できばえのチェック)、接客サービスについては「プロセスの監視」(8.2.3項)を行うことになります(実施状況のチェック)。しかし、「料理」と「接客サービス」の両方を製品と考えるのがよいでしょう。”
そして、清掃会社が“清掃のできばえと接客マナーの両方を製品” としていて成功していた事例を紹介しています。
さらに “サービス”については、サービス業務の終わりに監視することができない場合があると指摘しています。“たとえば受付係の仕事は、受付業務が終了した段階では確認できません。この場合には、受付業務途中のプロセスの監視が必要です。たとえば受付係の管理者が、定期的に巡回して受付業務の状況をチェックするのです。”と言っています。

*磯野及泉注釈:ISO9001マネジメントの仕組の中で マネジメントの対象とするという意味での“製品”

【ポイント】
そして、以下が 著者による総括結果です。


【磯野及泉のコメント】
著者の指摘は 常識的ですし、当然の結論であると思います。
ですが ここで、“料理”と“サービス”が並列に議論されていることに 私には多少違和感があります。レストランにとって、“料理” が 第一義的の製品であって、 “サービス” は “料理”付属する第二義的のものであると きちんと“認識”するべきだと思うのです。

それから 自店のレストランとしての格、というか その地域でのポジショニングを明らかにするべきでしょう。
自店の作れる“料理”の品質・風味・風格によって、顧客層を特定し、それを確認するためのマーケティング調査を行い、その上でポジショニングを確定し、“サービス”の質のレベルを考えるべきでしょう。

さて、このように確定した“接客サービス”の質により、従業員のパフォーマンスのマニュアルを 作成するものだと思います。こうして 定められた基準に従い 従業員を教育し、評価するのが普通でしょう。
又、こうした“接客サービス”は “生きもの”ですので、従業員への教育は 常に繊細な配慮に基づいて実施するべきだと思います。一般的にファミリー・レストランであれば、マニュアル的サービスで “事足レリ” とするものかも知れませんが、競合との差別化を意識するならば、それで良いのか よく考えるべきでしょう。恐らく、自店の格より 1ランク上の サービスを 従業員に心得させておくことは 競合への差別化上、必要なことでしょう。

あるいは 従業員には 顧客とのコミュニケーション力を 持たせることも重要です。特に 特徴あるレシピの背景説明については 十分な教育をしておくことも チョットした PRになり、顧客の満足感も 向上させることができるでしょう。最近の多くのアルバイト店員には この点に欠けるのが目立ちます。

“接客サービス”については 管理者の“監視”が 重要だと著者・岩波氏は言っていますが、これはISO9001の言葉上での表現です。具体的には管理者の従業員へのOJTも含めて キメ細かい その場での即座の指摘による教育・訓練が 重要であると考えるべきでしょう。
ですから、A店の店長が “ISOのシステムをどのように改善”すればよいのか、などと悩まずに 直ちに行動に移すべきだと思います。特に、“接客サービス”については、管理者によるOJTが、何よりも有効だと思うからです。
“接客サービス”では 時に 機転が決め手になることがあります。自店における“接客サービス”は どうあるべきかを 全従業員で常に、留意していることが、そうした機転を生かせる要因になるものだと思います。そういう 組織内雰囲気の 醸成や、様々な局面での経営者の“率先垂範”も 重要だと思うのです。

ここまでが サービス業で普通に行われていることだろうと思うのですが、ここでISOマネジメントらしい 提案があります。
一人一人の従業員に タートル分析を実施してみては どうでしょう。つまり、従業員が 個別のプロセスを担っていて、そのプロセスを分析するという やり方です。“監視”についても、タートル分析による監査をすることも可能だと思うのです。



こうしたタートル分析により、ISO9001的意識が A店全体に 醸成されるだろうと思います。これが継続的改善の契機になるものと信じます。

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