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バイオ燃料と地球に優しい環境

瓦は淡路島の特産品だ。その技術が 今淡路島の重要な産品であるタイル生産に生きているという。
その昔、この淡路島では 瓦を焼成するために、木材を大量に費消したとのこと。その結果、山の木々は木炭の原料になり、山々はハゲ山になって行ったという。それが、その後 石炭から石油などの化石燃料を使用するようになって、ハゲ山が 少なくなったのだそうだ。要するに 化石燃料のお蔭で 島の森林が保護されたのだそうだ。

さて、今のバイオ燃料なるものは 化石燃料代替で “地球にやさしい” というのがウリとのこと。
これまで聞かされたロジックは “バイオ燃料は 燃やして二酸化炭素になっても、その二酸化炭素を吸って成長するから「地球にやさしい」” というもの。妙に 納得してしまう論理では ある。
ところが、地球の裏側 ブラジルでは “地球の肺” アマゾンの密林が 焼畑農法で砂糖キビ畑に転換して行っているという。これは、バイオ燃料で需要が増え 国際的に高騰した砂糖価格を見て、砂糖キビ増産で一儲けするために、行われているようだ。



私は バイオ燃料について詳しい知識は持ち合わせていないのだが、これでいいのだろうか、という感想を持っている。
“バイオ燃料” とか、耳新しい言葉で目先を変えているようだが、何やら 昔の薪炭をエネルギー源にしていた時代に逆戻りしただけではないのか、という気がする。
淡路島のようなハゲ山の話は 19世紀の産業革命時代、蒸気機関が原動力の源泉であった時代には 薪炭が重要なエネルギー源であった。このため、産業革命の先頭を走ったイギリスの森林は ほとんど悲惨な状態になったという。米国が 幕末に日本に強く開国を迫ったのは、捕鯨や中国貿易のための蒸気船の薪炭を確保するのが 真の目的だったという。19世紀には薪炭は それほど重要だったのだ。
その後、薪炭より 熱量の高い石炭が 多量に採掘されるようになり、今 二酸化炭素ガス増大の元凶とされる化石燃料の登場となった訳だ。
日本でも つい最近まで 淡路島のような話が全国にあり、戦後の野山は荒廃していたという。そこで、戦後 日本政府は政策の一つとして植林を推進し、さらに石炭から石油にエネルギー源が転換推移してようやく ハゲ山は少なくなってきたのだ。
ハゲ山の 増大は 何も良い結果をもたらさないことは明白だ。水害は増加し、河川に土砂が流出し、その周辺の海域も荒廃し、そのため水産資源も 減少してしまう。
同じような森林伐採が バイオ燃料の普及のために 世界最大のアマゾン川流域で実行されているのである。しかし、これが バイオ燃料生産のため、行われているので、あたかも良いことであるかのように報道しているテレビ番組を 見かける。
これで いいのだろうか。

では、バイオ燃料の何が問題なのか。要するに エネルギ-を費消する速度が、バイオ燃料の原料である植物の生育の速度と見合っていないのが問題なのである。バイオ燃料の原料の植物から取れるエネルギーの量を、消費する速度に比べて、植物の生育の速度が圧倒的に遅いからである。見る見る生育するような植物を発見・発明することでもなければ、現存する森林を直接、間接に費消する必要が有り、そうしなければ燃料の原料としては 成立しないのである。

バイオ燃料の利点は、ムダに過剰生産されたり、廃棄物となった 木材等の有機物質から アルコールを採取し、有効利用するところにしかない。もし その有効利用が経済的に成立しないなら、バイオ燃料を生産する意義は無い。そのリサイクル利用が 経済的に成立しないからと言って、“バイオ燃料のために 森林を伐採する” というのであれば 全く本末転倒である。

かように 現状流布している“バイオ燃料”は、その作用原理は薪炭と全く同じであるにもかかわらず、“バイオ”などという言葉で論理の誤魔化しや歪曲があり、逆に地球環境を 大きく破壊する原因となる恐れがある。これは非常に筋の悪い国際的商品である、と私は思っている。
誰も指摘しないが、ここには、国際的で黒くて巨大な ウラが あるような気もするのだ。


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