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“ISOを活かす―22. アフターサービスによって、顧客の信頼を獲得する”



今回は 通信販売会社のサービスの問題です。

【組織の問題点】
昨年ISO9001認証取得した 通信販売会社のA社の ISO9001登録範囲は“○○及び△△商品の通信販売”となっていて、商品カタログを用意して、衣料品、化粧品、装飾品、電気製品などの商品を、郵便、電話、ファックス、インターネットなどで注文を受けて発送・販売しています。
最近 顧客アンケートをとったところ、“通信販売はアフターサービスが心配なので、なかなか注文する気になれない”という意見が多かったとのこと。
ISO9001の仕組を 経営に役立てて どのように業務プロセスを改善するべきか、という課題です。

【ISO活用による解決策】
この事例では 著者・岩波氏の指摘は 単純明快です。
通信販売は 最近、テレビや新聞での宣伝に加えて、インターネットの普及、宅配運送の発達で、急速に伸びていますが、やはり消費者にとっての不安要因は 購入後のアフターサービスです。
そこで、ISO9001の認証範囲にアフターサービスを追加して“○○及び△△商品の通信販売ならびにアフターサービス”とすると、“ISO9001の登録証に記載されますので、アフターサービス体制ができていて、ISOの審査でもその内容がチェックされていることが消費者にもよくわかり、安心してA社に注文できるでしょう。” と 著者は 述べています。
また、住宅建築会社でも 購入資金の銀行ローン手続きのサービスや 引渡し後の“定期点検”のアフターサービスを 実施しており、このサービスを ISO9001の認証範囲にすると、良いと言っています。

【ポイント】
あくまでも素直に、天真爛漫の 著者の総括結果です。



【磯野及泉のコメント】
さて、非常に残念なことですが、ISO9001の認証取得が それほど世間の信頼を得るキッカケになっているとは思えないのが現状です。
最近では ISO認証取得していても、ホームページに 記載しない会社も多いように思います。ですから、ISO9001認証のスコープ(範囲)に 注意を払う消費者は 全くいないのが 現在の実態ではないでしょうか。
逆に、それを良いことに 認証範囲を 実際には“拠点からの配達”に限定しておきながら、その点を曖昧にして あたかも“拠点までの集荷”、“拠点間長距離輸送”も 認証範囲に入れているようにホームページ等でPRしている運送会社もありました。

“認証取得が 世間の信頼を得るキッカケ”になっていないようなところに現在の ISO9001業界の不振原因、というか深刻な根本問題があると 思うのです。
今年に入ってJABのISO9001認証の件数が ピーク・アウトし始めているのは そういう背景があると思うのです。
要は ISO9001が 信頼されていないのです。これは ISOマネジメントのコンサルタントの質だけの問題でもないでしょう。

それは ともかく、通信販売業における顧客信頼の獲得は、しっかりした自らのポジショニングと 製品品質の確保によって顧客の期待を裏切らないことが第一でしょう。お互い 顔や商品を見ずにする通信販売ビジネスは その分コスト負担が少ないのですから、信頼を裏切らない繊細なサービスが 必要だと思われます。
顧客の期待した品質を一度でも裏切った場合、直ちに 大量の顧客喪失に繋がるでしょう。ですから、トラブルやクレームが生じた場合、アフターサービスなどというようなものではなく、顧客の損失を補填することに上回るような慰謝料付きの“誠意”を示す必要があると思われます。

こうした“サービス”については、ISO9001の1994年版では “4.19 付帯サービス”という項目がありました。2000年版では “7.5 製造及びサービス提供” に含まれてしまっています。
1994年版 “4.19 付帯サービス” では、“付帯サービスが規定要求事項である場合、供給者は付帯サービスが規定要求事項を満たすように実行する手順、及びこれを検証し報告する手順を、文書に定め維持すること。” と規定要求されていました。くだけた表現で言えば “サービスが必要なビジネスでは、そのサービスのやり方をルール化し、文書にし、その文書は 常に アップ・ツー・デイトしておくこと。” となります。
サービス・プロセスの特徴的な要求事項もなく、至極当然 当たり前で 平凡な規定となっていました。ですから “サービス”も 通常のプロセスのone of them として “製造及びサービス提供” に含まれてしまったのでしょう。その方が 合理的なのかも知れません。

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