The Rest Room of ISO Management
ISO休戦
“ISOを活かす―64. ISOによって、供給者の満足を達成する?”
今回は 受発注時のトラブル解消法についてです。
【組織の問題点】
プラスチック製品製造のA社では、顧客B社との間に、受注時のコミュニケーションの問題が多発していました。顧客からの注文変更が電話連絡によるもので、間違いが多かったのです。しかし、ISO9001の認証取得により、受注プロセスの内容が改善され、顧客満足度が向上したとのこと。
ところが、今度は材料供給業者C社との間の発注プロセスに問題が残っているとのことです。A社は口頭で発注していますが、ISO9001をどのように活用すればよいのか という課題です。
【磯野及泉のコメント】
受注時のトラブルが 解消できたにもかかわらず、発注時のトラブルを解消できなかったのは 私には 奇妙に感じます。
発注は 受注の裏返しですから、ほとんど 同じような手法で解消可能だと思うのです。
想像通り、著者・岩波氏は ISO9001の7.2.2(製品に関連する要求事項のレビュー)項の引用から、“顧客のB社からの口頭注文に対する確認を行うことによって、顧客トラブルをなくすことができたのです。” また7.4.2項(購買情報)から“材料を発注する際には、その注文内容をよく確認することが必要です。”と述べています。
さて、標題にあります“ISOによる供給者の満足”とは 何を意味しているのでしょう。A社がISOマネジメントを徹底させると“供給者が満足”するというのでしょうか。文脈からすると、供給業者C社の顧客のA社が“満足する”ということではないかと思われます。
A社が満足するためにA社自身も発注の際にその内容を記した文書を発行するべきでしょうし、C社も受注内容を記した文書で受注プロセスを動かすべきでしょう。7.2.4項によれば、“製品に関する情報を明確にする”ことになっていますが、何も文書により明確にする必要性はありません。しかし、文書(当然、メモのような伝票でも可)によることが一番てっとり早い方法でしょう。しかし、発注内容の変更に備えて、この文書の最新版管理の方法は注意するべきです。また、現在では インターネットを利用したIT受発注システムを採用することで、解消できる課題でもあります。
もし、そのようにしてもなお問題がC社側にあり、解消できないのであれば、7.4.2a)項の“手順・プロセス”に関する要求事項を明確にして C社に実施を迫ることも可能でしょう。この場合、7.4.2c)項の C社の品質マネジメントシステムの問題とも考えられます。
なお、この際には 著者・岩波氏が指摘していますし、私も既に言及している“品質マネジメントの8原則h)項”の“供給者との互恵関係”には留意するべきでしょう。“良い製品を作るためには 供給者の心からの協力を得られるようにするべきで、供給者の責任ばかりを追及だけでは ダメだ。”の原則です。これまで築いてきたであろう、C社との信頼関係を崩さないことが大切です。私は、“信頼・信用”こそ、品質マネジメントシステムの基礎的精神だと考えるからです。
この“信頼・信用”という言葉、以前にはよく登場した言葉なのですが、最近 あまり聞かれなくなったように思うのは、気のせいでしょうか。
コメント ( 0 ) | Trackback ( )
« 日本における... | 駅そば~播州... » |
コメント |
コメントはありません。 |
コメントを投稿する |