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地球温暖化対応の特別講演会の聴講

06.2.6.
先週、大阪大学中之島センターで開催された“「環境リスク管理のための人材養成”プログラム」 特別講演会”に参加しました。講演内容は以下の通りでした。

①“地球温暖化影響と長期温暖化抑制目標のあり方”
・・・・・・(財)地球環境産業技術研究機構 主任研究員 秋元圭吾氏

②“地球温暖化対策による企業財務へのリスクと企業の戦略的行動”
・・・・・・日本政策投資銀行 調査役 饗場崇夫氏

①は温暖化の影響を 多くの調査研究文献から概観したり、シミュレーションしたりする試み等の紹介でした。ここで、温暖化の気温の“気候システムへの危険な干渉を避ける(気温の)閾値(安全な範囲)”は2℃以内であるとの主張が紹介されていました。しかし、講師自身は、“「危険なレベル」は科学では決定できないとの議論がある”とし、また “温暖化影響と対策コストを評価” するための研究や目標値の設定には懐疑的でした。つまり 科学的知見と価値判断の混在を避けるアプローチが必要と主張されていました。
②は 端的に言って、ヨーロッパで実施されている排出権の経済的取引制度の現状についての紹介でした。印象的だったのは、例えばドイツの電力会社が棚ボタ利益を 得るなどという思わぬ影響が出ているとの紹介でした。制度として、もう少し検討の余地がありそうだとのことです。

講演会の 予定は18:00~21:00でしたが、質疑が 長引いて 私は同行者と9時半に会場を途中退場しました。開講前に2階のカフェテリア(リーガロイヤルホテル直営)で食べた150円の御握りが 有効でした。帰宅すると10時半過ぎでした。

いずれの講演も、人類にとって有益な これまでの環境を維持しようというの努力・活動の紹介でしたが、環境問題に浅薄な意識しか 持ち合わせていなかった 私は それが 実は どれほどの意味があるのだろうか、という思いに駆られてしまいました。

②の講演に関しては、少々誤解があるかも知れませんが、“「炭素価値」を所与のものとした人為性”を経済活動に持ち込むことに軽い疑念を抱きました。“労働価値”を経済活動の基本に据えた マルクス経済の破綻の二の舞ではないか、と思ったのです。価値の決定は 市場に任せないと とんでもない歪みを生むハズです。その反映が“電力会社の棚ボタ利益”ではないのか、と。

①の講演に関しては それよりも さらに 重い疑念でした。現在まで人類の生存した期間は、地球環境は偶然にも穏やかだったのですが、実は 地球上に生命が誕生した後は これでもか、これでもかという生命絶滅の危機となる環境激変が 何度と無く繰り返されて来ているというのは確かな事実のようです。(隕石の衝突やスーパープルームによる火山の超巨大爆発による気温や酸素比率の激変、それは2℃以内などという 生易しいものではなかった。)生命は その度に その激変を乗り越えて進化を遂げて来たということです。
このことは 例えば 1年前のNHKの特集番組“地球大進化”でも紹介されていました。曰く “「母なる地球」と思われてきたこの星は、大変動を繰り返す「荒ぶる父のような星」で あった。” と。

従って、これからも 穏やかな環境が維持されるという保証は全く期待できないことが 想像されます。むしろ、思いがけない要因によって激烈な環境変動が生起することが 容易に想像できます。ですから 今後の環境変化を これまでの変化の外挿によるシミュレーションで予測することに どれ程の意義があるのか 疑問だと思うのです。シミュレーション自体に こだわる研究は あまり重きを置かないほうが良いのではないかと思うのです。(南極氷床WAISの崩壊よりも 海底の膨大なメタンハイドレートの爆発を心配するべきではないのか。)

勿論、何をやっても無駄とばかりに 環境破壊することを 黙認しようと言うものでは ありません。現在の地球環境破壊の元凶は 人類の異様な増大ですので、環境への人類の関わり方について もっと深く考える必要があると思うのです。そのためには やはり地球史研究の発展と認識が 重要ではないか、と思った次第です。

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