The Rest Room of ISO Management
ISO休戦
震災対策技術展大阪2017のセミナー受講
安倍政権の専横の限界が見え始めた。文科省内の“怪文書”を追加調査するという。再調査した結果をどう公表するつもりだろうか。“怪文書”と断定したものを、“在った”と言うのか、“やっぱり無かった”と言うのか。それとも“在るには在ったが、やはり出所不明の偽文書だった”というのか。公表内容にはこの3つの選択肢があるが、いずれも“それで良し”とはなるまい。いずれを取っても必ずその次があり、その次によって結局政権は追いつめられることになる。その点で、官房長官はダメージ・コントロールを誤ってしまったと言える。
いかな軟なマスコミであろうと、ここで政権を追いつめられなければ、世界的に見ても低レベルのマスコミだと批判され、日本の報道の自由度はさらに低いものと評価される羽目になるだろう。政権が追いつめられるか、報道が死ぬかいずれかの局面に至ったことになる。
先週の“サンデー毎日”は、こうしたことを考えるのに適切な話題を提供してくれている。
安倍政権が共謀罪法案に地道を上げている背景を青木理氏が解説した記事も、“サンデー毎日”に載せている。公安警察には、既存の組織を死守する奇妙な癖がある。それこそ、どこの馬の骨とも分からない一般市民を守るのではなく、既存の組織の方に味方し、肩入れする組織の癖があることを一般市民は知るべきだ。それは、例えば60年代の公害反対の一般市民を警察が弾圧する側に立ったことを見ても良くわかる。たとえその企業が法令違反のブラック企業であったとしても、警察は一般市民の側を拘引することがあるのだ。後からそういった公害関連の数々の事件を客観的に分析しても悪いのは公害企業だったにもかかわらずなのだ。最近でも、岐阜での風力発電の勉強会を呼びかけた一般市民が警察に監視されていた事実がある。警察には“強きを扶け、弱きを挫く”側面が強いことを肝に銘じるべきだ。その正義感には、何故か不健全で歪んだ部分が連綿としてあるのだ。
そういえば、この共謀罪に公明党は推進派のようだ。この政党に戦前の貴重な経験は残っていないのだろうか。公明党と密接な関係を持つ創価学会の会員の中には、この公明党幹部の血迷いに激しく反対する人々がいるようだが、それが何故か大きな力になっていない。公明党組織の上部は腐敗している。
ところで、北朝鮮情勢が非常に気懸りだが、米軍の動きの確かな報道が少ないのが私の不安感を一層募らせる。例えば、あるテレビ番組で辺真一氏が6月6~9日に在韓米軍の非戦闘員1万7千人以上の規模で避難訓練を実施したと指摘していた。しかし、これをネット上で確認しようとしたが、確実に実施したという記事はなく、いずれも“6月初めに実施の予定”または、“計画”というものばかりで、“実施した”というのはなかった。つまりは、避難訓練実施が事実ならばかなり隠密裏に実施されたものだ。或いは、訓練と称して実際に避難してしまったとも考えられる。以前言ったように米原潜は隠密裏に近海に相当数集結していると思われ、ここに3個空母打撃群が近海に揃えば、北への攻撃準備が完全に整ったということである。辺氏は8月に攻撃があり得ると言っていたが、4月時点で米軍は“北はレッド・ラインを越えた”と考えていると森本敏氏は指摘していたので、北の田植えシーズンの最中の今ではないだろうか。
米軍の攻撃があるとすれば、古今の開戦は早朝だった。北のミサイル降下から数分の内(アラートがあってからでは5分以内)に避難する場所を確保しておく必要がある。しかしそうなれば、安倍政権は学園危機から当面逃れられる。
さて、また前置きが長くなってしまった。今回の本題は、先々週大阪・梅田で開催された“震災対策技術展大阪2017”に出かけ、若干の展示視察とセミナー聴講したので、ここで報告したい。
毎回、河田惠昭氏の講演を聞きたいと思っているが、気付いて登録しようとするといつも満席になっていた。前年はこの時期多忙で赴かず、今回は5月が多忙だったので直前に思い立ち参加予約をしようとした。河田惠昭氏の講演予約は今回も勿論不可。いつもすぐに満席になるのならば主催者ももっと広い会場を用意する等対応を講じるべきだが、いつものように運営されている。
このように既に満席になっている講演を避けて受講登録したのは下の通り。特に、私が期待したのは6月1日の室崎氏と6月2日の巽氏の講演だった。室崎氏は兵庫県では防災を専門にする著名な学者であり、巽氏は巨大カルデラ研究の第一人者である。巨大カルデラ噴火は究極のテール・リスクでありリスクに興味があれば避けて通れないテーマであろう。
6月1日(木)
◎熊本地震が提起した減災の課題(11:45~12:30)
公立大学法人兵庫県立大学大学院減災復興政策研究科 科長 室﨑 益輝 氏
○多組織連携によるジオパークを活用した防災教育プログラム(13:00~13:45)
阪神・淡路大震災記念人と防災未来センター研究部 主任研究員 本塚 智貴 氏
○津波荷重の考え方とその体系化(14:15~15:00)
公益社団法人日本地震工学会 有川太郎 氏/電力中央研究所地球工学研究所 木原直人 氏
6月2日(金)
○わが国の共助体制の現状と課題(11:45~12:30)
関西大学社会安全学部准教授 永田 尚三 氏
○農林水産省の災害対策と災害時の食料の確保について(13:15~14:00)
農林水産省 大臣官房文書課災害総合対策室課長補佐(防災危機管理担当)羽石 洋平 氏
◎鬼界海底カルデラ探査速報:活動的巨大溶岩ドームを確認(14:30~15:15)
神戸大学 海洋底探査センター 教授・センター長 巽 好幸 氏
○活断層の長期評価・地域評価について(15:45~16:30)
文部科学省 研究開発局地震・防災研究課地震調査研究企画官 和田 弘人 氏
実際に聴講して見ると予約したにもかかわらず、受付で事前のレジュメ配付はなく、一々予約確認した返信のE-mailを渡さなければならないことになっていた。さもなければ名刺を求められる。最初に総合受付で一旦名刺を差し出したにも拘わらずである。このIT時代に何たるアナログ対応。壮大な紙または名刺の無駄遣いだ。受付もPCやパッドを使っての対応ではないため、一々参加者の人数を数えているようだった。紙対応でも整理の仕方で数える手間は省けるものだろうと思うが・・・。
中には予約したにもかかわらず受付のリストに私の名前がなく、揉めていると後ろから“変だよネ”と同調する人が現れると慌てて中へ入って良しとなり、いい加減な対応が明らかになり、不快感だけが残った。
この技術展を開催しているのは、エグジビションテクノロジーズ株式会社という会社のようだが、私が関西在住であることを認識していないのか、横浜や仙台での催物の開催案内の連絡がしつこくやってくる。E-mailでなら未だ許せるのだが、中にはFAXで連絡してくるので、ここでも紙の無駄遣いとなる。この会社には“環境”の概念は無いのではないか。こういう会社の展示する最新情報は、どういうものだろうか。
講演の事前のレジュメ配付がないので講師の画像による説明を、受講者は皆カメラ撮影していた。これは著作権上問題ある行為と思われ、通常主催者側からの制止もなく黙認しているので、私も急遽撮影することにした。
広くもない会場ではあるが、一寸座る場所もなく不快感もあったので、1日目は2つの講演を残して帰ることとした。所詮、知りたいテーマでもなく興味本位であったので、参加意欲喪失では帰るのが最良の選択だった。
さて、先ず注目した室崎氏の講演“熊本地震が提起した減災の課題”について。
印象は熊本の震災に関する語り部であった、というものだ。室崎氏の講演は、これまで3度受講のような気がするが 初めての時にも強い主張の印象はなく、2回目は5月に報告した“ひょうご震災記念21世紀研究機構・「研究戦略センター」発足記念シンポジウムを聴講して”であったが、饒舌さが印象に残っただけだった。結局今回の講演でも、あれがあった、これが問題と饒舌なのだが結局のところ、減災につながる根本的提言はなかったように思われる。これでは防災・減災について科学的見解を提言することはできないのではないだろうか。
せいぜい指摘があったのは、他の人も言っていたことだが、現地要請を待たずに支援を押込むプッシュ型支援は良かったがラスト1マイルの整備がなかったので、物資が滞貨し必要な被災者に長期間届かなかった、というものだった。
この講演の表題から期待したのは、阪神の震災以降、広域震災が何度も起きたが、その都度復旧・復興の救援・援助や減災・防災の体制が進化しているのか、進化していなければ何が問題なのか、新たな問題が生じたのなら何が問題だったのかを、分かり易く科学的に解説し、政策提言するのが、防災・減災の学者の仕事だと思われる。しかし、そういう分析はなく、エピソードの羅列・紹介であり、大きく期待が外れてしまった。
本塚智貴氏の“多組織連携によるジオパークを活用した防災教育プログラム”では、防災・減災の意識を一般人に広げるために、ジオパークを使って広報するという発想で和歌山を地盤として活動していることの実績報告であった。ジオパークを単に観光資源として使うのではなくて、防災・減災のためのツールの一つとするというのは意義あることだと感じた。
有川太郎氏と木原直人氏の“津波荷重の考え方とその体系化”の講演では、これも主催者の運営管理の障害か講演プログラムには有川氏だけの名前が挙がっていたのだった。内容は、津波の威力をどのように予想し見積もっているのかの概要についてのもので、印象では端緒についたばかりの分野であるというものだった。海底の構造や震源の状況、被災地の地形等々、考慮するべき要因があまりにも多すぎるので的確な予測が困難のようだったが、それでもかなり予測の精度は上がっているように感じる。今後の予測精度の検証が必要なのだろう。
これ以降2日目に入るが、まず永田尚三氏の“わが国の共助体制の現状と課題”について。講師は実は消防行政の専門家とのこと。ここでは共助とは消防団を想定してのことだが、それは共助と公助の中間にある。その現状についての解説であった。戦前は消防行政は国が主体で、消防団を中心にした体制だったが、戦後は基礎自治体に移管した。その際に、自治体による消防本部を中心とするのか、消防団を中心にするのかの選択制になったという。多くの都市部の自治体は常備消防団を核に専門的な本部制を採用したが、郡部や山間部では消防団に頼る形で現在に至っているという。ここでの問題は、新入団員の減少と高齢化だという。地元大阪市には消防団はなく、逆に海抜0メートルの沿岸地域があるため津波対応の水防団というのがあり、これにも団員減少と高齢化の対策が必要だとのことであった。
羽石洋平氏による“農林水産省の災害対策と災害時の食料の確保について”では、食料の確保のため日頃の準備が重要とのことである。少なくとも3日分、できれば1週間・7日分の水と食料の備えが必要だということだった。水は1リットル/日・人の確保が必要との事。米はアルファ米があれば水で戻せて、中には調理されているのもあるので良い、とのこと、であった。
次に聞きたいと思っていたのは、神大・巽好幸氏の“鬼界海底カルデラ探査速報:活動的巨大溶岩ドームを確認”である。実は2年前のこの技術展で、巨大カルデラ噴火は究極のテール・リスクであり、例えば阿蘇山がカルデラ噴火すれば、火山灰が偏西風に乗って日本の半分を覆い、その半分の日本が機能不全を起こし、救援もままならない状態になるとの警告をしていたので気懸りだったのだ。今回は、そのカルデラ噴火の可能性のある、鹿児島県南方近海の喜界海底カルデラの現状探査の結果報告であった。
喜界海底カルデラは7300年前に噴火しており、その時に先進的縄文文化の栄えた南九州が火砕流によって壊滅したという事実が発掘調査によって明らかになっているという。40㎞の巨大噴煙柱が発生し、降灰は東北にまで及んだという。神戸六甲山にはその火山灰によるアカホヤ層が20㎝の厚みで存在しているとのこと。
今回の海底探査で、その後にできたと思われる大きな溶岩ドームの全容をとらえたという。今後もこの観測を継続して知見を深めるとのことだった。この報告では、その溶岩ドームが極めて危険な状態であるという見解は示されなかったので、ひとまず安心した次第だった。
最後は文科省の和田弘人氏による“活断層の長期評価・地域評価について”である。
要は身近な活断層の存在を知らない国民が多いので、それをPRして防災意識を高め、減災につなげたいという目的での活動だという。その典型例が阪神の震災で、関西では大きな地震が起きないという盲信が浸透していたことに対する反省だという。これまでの活断層調査の結果をベースにそれを地域毎に評価し、PRするデータを整備しているという。改めて整理してみると関西には結構大きな活断層が多数囲むように存在している、という。中四国には活断層の存在は少ないが、活断層が地表に出ない震源が存在するので、そうした震源の存在も評価する必要があるとのことだった。
展示会場にはセミナーの合間を縫って回った。私が注目したのは結構小さくて個人でも装備できる津波シェルター(写真右下/㈱光レジン工業)で、70万円程度で購入できるようだ。定員の4名にしては窮屈な大きさだ。
避難所生活で口腔内が長期間不潔になると誤嚥性肺炎の原因になり、これが関連死因の多くを占めているとのこと。これには、サンスターの口腔内洗浄液ガムは有効であるとのPRがあった。私はガムの愛用者なので、被災時の避難には携行するべきであり、最低1瓶は常備するべきかとも思った。
いかな軟なマスコミであろうと、ここで政権を追いつめられなければ、世界的に見ても低レベルのマスコミだと批判され、日本の報道の自由度はさらに低いものと評価される羽目になるだろう。政権が追いつめられるか、報道が死ぬかいずれかの局面に至ったことになる。
先週の“サンデー毎日”は、こうしたことを考えるのに適切な話題を提供してくれている。
安倍政権が共謀罪法案に地道を上げている背景を青木理氏が解説した記事も、“サンデー毎日”に載せている。公安警察には、既存の組織を死守する奇妙な癖がある。それこそ、どこの馬の骨とも分からない一般市民を守るのではなく、既存の組織の方に味方し、肩入れする組織の癖があることを一般市民は知るべきだ。それは、例えば60年代の公害反対の一般市民を警察が弾圧する側に立ったことを見ても良くわかる。たとえその企業が法令違反のブラック企業であったとしても、警察は一般市民の側を拘引することがあるのだ。後からそういった公害関連の数々の事件を客観的に分析しても悪いのは公害企業だったにもかかわらずなのだ。最近でも、岐阜での風力発電の勉強会を呼びかけた一般市民が警察に監視されていた事実がある。警察には“強きを扶け、弱きを挫く”側面が強いことを肝に銘じるべきだ。その正義感には、何故か不健全で歪んだ部分が連綿としてあるのだ。
そういえば、この共謀罪に公明党は推進派のようだ。この政党に戦前の貴重な経験は残っていないのだろうか。公明党と密接な関係を持つ創価学会の会員の中には、この公明党幹部の血迷いに激しく反対する人々がいるようだが、それが何故か大きな力になっていない。公明党組織の上部は腐敗している。
ところで、北朝鮮情勢が非常に気懸りだが、米軍の動きの確かな報道が少ないのが私の不安感を一層募らせる。例えば、あるテレビ番組で辺真一氏が6月6~9日に在韓米軍の非戦闘員1万7千人以上の規模で避難訓練を実施したと指摘していた。しかし、これをネット上で確認しようとしたが、確実に実施したという記事はなく、いずれも“6月初めに実施の予定”または、“計画”というものばかりで、“実施した”というのはなかった。つまりは、避難訓練実施が事実ならばかなり隠密裏に実施されたものだ。或いは、訓練と称して実際に避難してしまったとも考えられる。以前言ったように米原潜は隠密裏に近海に相当数集結していると思われ、ここに3個空母打撃群が近海に揃えば、北への攻撃準備が完全に整ったということである。辺氏は8月に攻撃があり得ると言っていたが、4月時点で米軍は“北はレッド・ラインを越えた”と考えていると森本敏氏は指摘していたので、北の田植えシーズンの最中の今ではないだろうか。
米軍の攻撃があるとすれば、古今の開戦は早朝だった。北のミサイル降下から数分の内(アラートがあってからでは5分以内)に避難する場所を確保しておく必要がある。しかしそうなれば、安倍政権は学園危機から当面逃れられる。
さて、また前置きが長くなってしまった。今回の本題は、先々週大阪・梅田で開催された“震災対策技術展大阪2017”に出かけ、若干の展示視察とセミナー聴講したので、ここで報告したい。
毎回、河田惠昭氏の講演を聞きたいと思っているが、気付いて登録しようとするといつも満席になっていた。前年はこの時期多忙で赴かず、今回は5月が多忙だったので直前に思い立ち参加予約をしようとした。河田惠昭氏の講演予約は今回も勿論不可。いつもすぐに満席になるのならば主催者ももっと広い会場を用意する等対応を講じるべきだが、いつものように運営されている。
このように既に満席になっている講演を避けて受講登録したのは下の通り。特に、私が期待したのは6月1日の室崎氏と6月2日の巽氏の講演だった。室崎氏は兵庫県では防災を専門にする著名な学者であり、巽氏は巨大カルデラ研究の第一人者である。巨大カルデラ噴火は究極のテール・リスクでありリスクに興味があれば避けて通れないテーマであろう。
6月1日(木)
◎熊本地震が提起した減災の課題(11:45~12:30)
公立大学法人兵庫県立大学大学院減災復興政策研究科 科長 室﨑 益輝 氏
○多組織連携によるジオパークを活用した防災教育プログラム(13:00~13:45)
阪神・淡路大震災記念人と防災未来センター研究部 主任研究員 本塚 智貴 氏
○津波荷重の考え方とその体系化(14:15~15:00)
公益社団法人日本地震工学会 有川太郎 氏/電力中央研究所地球工学研究所 木原直人 氏
6月2日(金)
○わが国の共助体制の現状と課題(11:45~12:30)
関西大学社会安全学部准教授 永田 尚三 氏
○農林水産省の災害対策と災害時の食料の確保について(13:15~14:00)
農林水産省 大臣官房文書課災害総合対策室課長補佐(防災危機管理担当)羽石 洋平 氏
◎鬼界海底カルデラ探査速報:活動的巨大溶岩ドームを確認(14:30~15:15)
神戸大学 海洋底探査センター 教授・センター長 巽 好幸 氏
○活断層の長期評価・地域評価について(15:45~16:30)
文部科学省 研究開発局地震・防災研究課地震調査研究企画官 和田 弘人 氏
実際に聴講して見ると予約したにもかかわらず、受付で事前のレジュメ配付はなく、一々予約確認した返信のE-mailを渡さなければならないことになっていた。さもなければ名刺を求められる。最初に総合受付で一旦名刺を差し出したにも拘わらずである。このIT時代に何たるアナログ対応。壮大な紙または名刺の無駄遣いだ。受付もPCやパッドを使っての対応ではないため、一々参加者の人数を数えているようだった。紙対応でも整理の仕方で数える手間は省けるものだろうと思うが・・・。
中には予約したにもかかわらず受付のリストに私の名前がなく、揉めていると後ろから“変だよネ”と同調する人が現れると慌てて中へ入って良しとなり、いい加減な対応が明らかになり、不快感だけが残った。
この技術展を開催しているのは、エグジビションテクノロジーズ株式会社という会社のようだが、私が関西在住であることを認識していないのか、横浜や仙台での催物の開催案内の連絡がしつこくやってくる。E-mailでなら未だ許せるのだが、中にはFAXで連絡してくるので、ここでも紙の無駄遣いとなる。この会社には“環境”の概念は無いのではないか。こういう会社の展示する最新情報は、どういうものだろうか。
講演の事前のレジュメ配付がないので講師の画像による説明を、受講者は皆カメラ撮影していた。これは著作権上問題ある行為と思われ、通常主催者側からの制止もなく黙認しているので、私も急遽撮影することにした。
広くもない会場ではあるが、一寸座る場所もなく不快感もあったので、1日目は2つの講演を残して帰ることとした。所詮、知りたいテーマでもなく興味本位であったので、参加意欲喪失では帰るのが最良の選択だった。
さて、先ず注目した室崎氏の講演“熊本地震が提起した減災の課題”について。
印象は熊本の震災に関する語り部であった、というものだ。室崎氏の講演は、これまで3度受講のような気がするが 初めての時にも強い主張の印象はなく、2回目は5月に報告した“ひょうご震災記念21世紀研究機構・「研究戦略センター」発足記念シンポジウムを聴講して”であったが、饒舌さが印象に残っただけだった。結局今回の講演でも、あれがあった、これが問題と饒舌なのだが結局のところ、減災につながる根本的提言はなかったように思われる。これでは防災・減災について科学的見解を提言することはできないのではないだろうか。
せいぜい指摘があったのは、他の人も言っていたことだが、現地要請を待たずに支援を押込むプッシュ型支援は良かったがラスト1マイルの整備がなかったので、物資が滞貨し必要な被災者に長期間届かなかった、というものだった。
この講演の表題から期待したのは、阪神の震災以降、広域震災が何度も起きたが、その都度復旧・復興の救援・援助や減災・防災の体制が進化しているのか、進化していなければ何が問題なのか、新たな問題が生じたのなら何が問題だったのかを、分かり易く科学的に解説し、政策提言するのが、防災・減災の学者の仕事だと思われる。しかし、そういう分析はなく、エピソードの羅列・紹介であり、大きく期待が外れてしまった。
本塚智貴氏の“多組織連携によるジオパークを活用した防災教育プログラム”では、防災・減災の意識を一般人に広げるために、ジオパークを使って広報するという発想で和歌山を地盤として活動していることの実績報告であった。ジオパークを単に観光資源として使うのではなくて、防災・減災のためのツールの一つとするというのは意義あることだと感じた。
有川太郎氏と木原直人氏の“津波荷重の考え方とその体系化”の講演では、これも主催者の運営管理の障害か講演プログラムには有川氏だけの名前が挙がっていたのだった。内容は、津波の威力をどのように予想し見積もっているのかの概要についてのもので、印象では端緒についたばかりの分野であるというものだった。海底の構造や震源の状況、被災地の地形等々、考慮するべき要因があまりにも多すぎるので的確な予測が困難のようだったが、それでもかなり予測の精度は上がっているように感じる。今後の予測精度の検証が必要なのだろう。
これ以降2日目に入るが、まず永田尚三氏の“わが国の共助体制の現状と課題”について。講師は実は消防行政の専門家とのこと。ここでは共助とは消防団を想定してのことだが、それは共助と公助の中間にある。その現状についての解説であった。戦前は消防行政は国が主体で、消防団を中心にした体制だったが、戦後は基礎自治体に移管した。その際に、自治体による消防本部を中心とするのか、消防団を中心にするのかの選択制になったという。多くの都市部の自治体は常備消防団を核に専門的な本部制を採用したが、郡部や山間部では消防団に頼る形で現在に至っているという。ここでの問題は、新入団員の減少と高齢化だという。地元大阪市には消防団はなく、逆に海抜0メートルの沿岸地域があるため津波対応の水防団というのがあり、これにも団員減少と高齢化の対策が必要だとのことであった。
羽石洋平氏による“農林水産省の災害対策と災害時の食料の確保について”では、食料の確保のため日頃の準備が重要とのことである。少なくとも3日分、できれば1週間・7日分の水と食料の備えが必要だということだった。水は1リットル/日・人の確保が必要との事。米はアルファ米があれば水で戻せて、中には調理されているのもあるので良い、とのこと、であった。
次に聞きたいと思っていたのは、神大・巽好幸氏の“鬼界海底カルデラ探査速報:活動的巨大溶岩ドームを確認”である。実は2年前のこの技術展で、巨大カルデラ噴火は究極のテール・リスクであり、例えば阿蘇山がカルデラ噴火すれば、火山灰が偏西風に乗って日本の半分を覆い、その半分の日本が機能不全を起こし、救援もままならない状態になるとの警告をしていたので気懸りだったのだ。今回は、そのカルデラ噴火の可能性のある、鹿児島県南方近海の喜界海底カルデラの現状探査の結果報告であった。
喜界海底カルデラは7300年前に噴火しており、その時に先進的縄文文化の栄えた南九州が火砕流によって壊滅したという事実が発掘調査によって明らかになっているという。40㎞の巨大噴煙柱が発生し、降灰は東北にまで及んだという。神戸六甲山にはその火山灰によるアカホヤ層が20㎝の厚みで存在しているとのこと。
今回の海底探査で、その後にできたと思われる大きな溶岩ドームの全容をとらえたという。今後もこの観測を継続して知見を深めるとのことだった。この報告では、その溶岩ドームが極めて危険な状態であるという見解は示されなかったので、ひとまず安心した次第だった。
最後は文科省の和田弘人氏による“活断層の長期評価・地域評価について”である。
要は身近な活断層の存在を知らない国民が多いので、それをPRして防災意識を高め、減災につなげたいという目的での活動だという。その典型例が阪神の震災で、関西では大きな地震が起きないという盲信が浸透していたことに対する反省だという。これまでの活断層調査の結果をベースにそれを地域毎に評価し、PRするデータを整備しているという。改めて整理してみると関西には結構大きな活断層が多数囲むように存在している、という。中四国には活断層の存在は少ないが、活断層が地表に出ない震源が存在するので、そうした震源の存在も評価する必要があるとのことだった。
展示会場にはセミナーの合間を縫って回った。私が注目したのは結構小さくて個人でも装備できる津波シェルター(写真右下/㈱光レジン工業)で、70万円程度で購入できるようだ。定員の4名にしては窮屈な大きさだ。
避難所生活で口腔内が長期間不潔になると誤嚥性肺炎の原因になり、これが関連死因の多くを占めているとのこと。これには、サンスターの口腔内洗浄液ガムは有効であるとのPRがあった。私はガムの愛用者なので、被災時の避難には携行するべきであり、最低1瓶は常備するべきかとも思った。
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