The Rest Room of ISO Management
ISO休戦
大阪ダブル選挙結果に思う
前回の記事“さらば維新と言おう”の続編とさせて頂く。選挙結果を見た上で投稿したいと思っていたので、いつもより半日以上遅いが祭日のこととして許して頂きたい。
さて、選挙結果だが私としては残念な結果だ。それは“さらば維新”とはならず、さらに都構想が大阪の都市政策に持ち出される結果となったことだ。これで大阪府市の官僚のマンパワーがさらに消耗されてしまうことになる。間違った政策にいつまでも貴重な時間とマンパワーが費消されることに非常に残念という思いが先に立ってしまう。
では、何が間違っているのか。それは都構想が“都市解体”を中心コンセプトにしていることだ。大阪市解体は素朴な市民感情を害するものだし、実際に行政サービスの質の低下を招来するのも確実なことだ。維新派の主張する“二重行政解消”も行政サービスの質量両面での低下を目指すものだ。背景に在るのはただただ“経済合理性”のみだ。行政体と民間企業とを同列に扱う“マネジメント発想”が、根本的に間違っている。ついでに言えば“マネジメント”の言葉づかいも間違っている。
世界の先端を行く都市政策は、都市そのものの整備・強化に在る。国家に比肩しうる行政体として大きくしていこうと言う発想である。何故ならば、それが自由な民主主義を支える主体となるからだ。21世紀の政治学はこれがテーマではないか。都市自治は住民の主体性を伸ばし、自由を保証するものにほかならない。人は主体的に自由に生きられる、それが政治学の究極で的目的ではないか。“都市は人を自由にする”のだ!
維新派は、その都市を解体すると言う。それが如何に反動的政策であるのか、だがそれが“維新”の本質である。従って、“維新”を極右の政治勢力であると欧米の報道機関が断定するのは、実に正しい見方なのである。日本の報道機関は、十分な政治的原則の発想を持ち合わせていないためか、或いは意識的か無意識的なのか、“維新”の本質を明確にして報道しようとはせず、むしろ戸惑った見方を提示している。
それは、ナチス(国民社会主義ドイツ労働者党)への当初の社会的評価と相似しているように思える。とくにその党名に“社会主義”や“労働者”が入っていることで、左派の政党と安易に勘違いしたこともあるようだ。確かに、ナチスはドイツの労働者を守る政策もやったというし、アウトバーンの建設等、当時としては社会主義的政策も実施した。今から思えば、そういう“末節”に目くらましされていたということもあったのかも知れない。だからこそ、政党に対する評価には その政治的主張をよく吟味して行う必要があるのだ。日本の報道機関には“お勉強”不足の社員や記者連中が多い。だから正鵠を得た報道をする能力に欠けるのだ。
前回、言ったようにその党名に“維新”があるのは、百年以上前の状態にあこがれることを意味し、それは保守反動そのものであるにもかかわらず、日本の報道はその本質を見抜けていないのだ。一般的には、外国の報道機関は日本語を解していないため“オバカ”な的外れ報道をしていると思うのだろうが、それこそ“オバカな的外れ”の浅薄な理解だ。欧米の報道機関の社員や記者は、日本の報道機関記者よりも“お勉強”しているし、社会を科学的に見る目を持っていると解すべきではないか。
以前言ったように、日本の社会科学の水準が世界的に見て低い弊害がこういうところに端的に現われているのが残念だが、そのこと自体をあまり一般に認識されていないのは、非常に残念だ。何故、こうなったのかについてはアカデミズム自身が自覚し、解明する必要があるのではないか。それこそが、日本の社会科学者の果たすべき重要な仕事の一つではないか。
“維新”がダメ、ならば自民の候補に投票するべきか。振り返ると、これが相変わらずの“中央とのパイプ強化”だったようだ。しかし、中央=東京頼みは大阪人には基本的に反発する気風があることを自民は忘れてしまったのか。
また、“中央頼み”自体も都市自治をないがしろにする要因だ。否、まさしくそれこそ中央集権強化に寄与することに他ならない。
ということで、心ある大阪の住民は意識的に或いは無意識的に棄権した。投票率が低下しているのはその証左だ。選択肢がない悲劇だったのだ。
そういう中で、“自民よりはまし”という意識が“維新”に流れた結果での“維新”圧勝という表面的な形になったのではないだろうか。
では、大阪をどうするのが正しいのか。基本は都市自治体の強化だ。これは“地方分権”とは基本的に異なる。中央との付き合いは、当面は中央を刺激しない程度にしておき、関西の諸都市との連携に重点を置くべきだろうと思う。特に、関西では京都、神戸との連携を強化することを第一とするべきだろう。先ずは、関西広域連合よりも濃厚で具体的な連携模索にはどういうテーマがあるのかの検討ではないか。
さらには各都市が何を中心産業として生きていくのか、競合があればどのように調整するのか、協力しつつも競争する余地はあるのかの検討ではないだろうか。勿論、製造業を中心とした古い発想は捨てて、3次産業を育成していくことを中心に、1次産業への目配りも含めてどういうあり方が最適なのか検討するべきだろう。1次産業は植物工場による近郊農業の普及育成を目玉にするべきかも知れない。
その上での3都を繋ぐ総合的な合理的交通体系を再検討し、築いて行くべきではないか。現在の空港をどのように活用し、緊急の際のヘリポートの整備は十分なのか、不十分であればどうするのか。医療機関や災害救助の組織や消防の配置は適切か。高速道路を含めて道路網はどうか。在来の鉄道網は十分か。不十分ならばどういう路線を補強・強化するべきか、各鉄道の企業形態は現状を前提にしていて問題ないのか。さらに目前に迫っているとされる南海トラフ震災への減災対応連携の強化もあるだろう。これらの問題を関西広域連合の活用でやれるのか。都市間協力には様々な課題があると思われるが、現状で満足せず協力する姿勢を相互に持つことが、中央を頼まず関西発展を期する基本であろう。こうした丁寧な前提があってはじめて新幹線の誘致があってしかるべきだ。
或いはこうした関西都市連携を核にして国=中央政府と渡り合う局面もあるかもしれない。ここにこそ“地方分権”とは基本的に異なる姿勢があるのだ。
場合によっては、最高裁判所を京阪奈丘陵のいずこかに配置するよう働きかけることはあっても良いのかも知れない。行政や場合によっては立法をチェックする機能を持つ司法の頂点が関西に来れば、行政の司法関連部門も自ずと移転して来るだろう。“副首都”計画には具体的にこうしたイメージが無ければならないのではないか。
“維新”は道州制を目指しているようだが、大阪を関西州・州都としようとするのであれば、それはミニ中央集権の発想でしかなく、大阪以外の有力都市からの協力は得られまい。同格の都市の連合体を形成しない限り、中央との力関係で有利な状況を作り出すことは不可能であろう。これでは永遠に大阪の繁栄は望めないであろう。まして大阪市を解体してはそんなエネルギーすらおぼつかないであろう。
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さて、選挙結果だが私としては残念な結果だ。それは“さらば維新”とはならず、さらに都構想が大阪の都市政策に持ち出される結果となったことだ。これで大阪府市の官僚のマンパワーがさらに消耗されてしまうことになる。間違った政策にいつまでも貴重な時間とマンパワーが費消されることに非常に残念という思いが先に立ってしまう。
では、何が間違っているのか。それは都構想が“都市解体”を中心コンセプトにしていることだ。大阪市解体は素朴な市民感情を害するものだし、実際に行政サービスの質の低下を招来するのも確実なことだ。維新派の主張する“二重行政解消”も行政サービスの質量両面での低下を目指すものだ。背景に在るのはただただ“経済合理性”のみだ。行政体と民間企業とを同列に扱う“マネジメント発想”が、根本的に間違っている。ついでに言えば“マネジメント”の言葉づかいも間違っている。
世界の先端を行く都市政策は、都市そのものの整備・強化に在る。国家に比肩しうる行政体として大きくしていこうと言う発想である。何故ならば、それが自由な民主主義を支える主体となるからだ。21世紀の政治学はこれがテーマではないか。都市自治は住民の主体性を伸ばし、自由を保証するものにほかならない。人は主体的に自由に生きられる、それが政治学の究極で的目的ではないか。“都市は人を自由にする”のだ!
維新派は、その都市を解体すると言う。それが如何に反動的政策であるのか、だがそれが“維新”の本質である。従って、“維新”を極右の政治勢力であると欧米の報道機関が断定するのは、実に正しい見方なのである。日本の報道機関は、十分な政治的原則の発想を持ち合わせていないためか、或いは意識的か無意識的なのか、“維新”の本質を明確にして報道しようとはせず、むしろ戸惑った見方を提示している。
それは、ナチス(国民社会主義ドイツ労働者党)への当初の社会的評価と相似しているように思える。とくにその党名に“社会主義”や“労働者”が入っていることで、左派の政党と安易に勘違いしたこともあるようだ。確かに、ナチスはドイツの労働者を守る政策もやったというし、アウトバーンの建設等、当時としては社会主義的政策も実施した。今から思えば、そういう“末節”に目くらましされていたということもあったのかも知れない。だからこそ、政党に対する評価には その政治的主張をよく吟味して行う必要があるのだ。日本の報道機関には“お勉強”不足の社員や記者連中が多い。だから正鵠を得た報道をする能力に欠けるのだ。
前回、言ったようにその党名に“維新”があるのは、百年以上前の状態にあこがれることを意味し、それは保守反動そのものであるにもかかわらず、日本の報道はその本質を見抜けていないのだ。一般的には、外国の報道機関は日本語を解していないため“オバカ”な的外れ報道をしていると思うのだろうが、それこそ“オバカな的外れ”の浅薄な理解だ。欧米の報道機関の社員や記者は、日本の報道機関記者よりも“お勉強”しているし、社会を科学的に見る目を持っていると解すべきではないか。
以前言ったように、日本の社会科学の水準が世界的に見て低い弊害がこういうところに端的に現われているのが残念だが、そのこと自体をあまり一般に認識されていないのは、非常に残念だ。何故、こうなったのかについてはアカデミズム自身が自覚し、解明する必要があるのではないか。それこそが、日本の社会科学者の果たすべき重要な仕事の一つではないか。
“維新”がダメ、ならば自民の候補に投票するべきか。振り返ると、これが相変わらずの“中央とのパイプ強化”だったようだ。しかし、中央=東京頼みは大阪人には基本的に反発する気風があることを自民は忘れてしまったのか。
また、“中央頼み”自体も都市自治をないがしろにする要因だ。否、まさしくそれこそ中央集権強化に寄与することに他ならない。
ということで、心ある大阪の住民は意識的に或いは無意識的に棄権した。投票率が低下しているのはその証左だ。選択肢がない悲劇だったのだ。
そういう中で、“自民よりはまし”という意識が“維新”に流れた結果での“維新”圧勝という表面的な形になったのではないだろうか。
では、大阪をどうするのが正しいのか。基本は都市自治体の強化だ。これは“地方分権”とは基本的に異なる。中央との付き合いは、当面は中央を刺激しない程度にしておき、関西の諸都市との連携に重点を置くべきだろうと思う。特に、関西では京都、神戸との連携を強化することを第一とするべきだろう。先ずは、関西広域連合よりも濃厚で具体的な連携模索にはどういうテーマがあるのかの検討ではないか。
さらには各都市が何を中心産業として生きていくのか、競合があればどのように調整するのか、協力しつつも競争する余地はあるのかの検討ではないだろうか。勿論、製造業を中心とした古い発想は捨てて、3次産業を育成していくことを中心に、1次産業への目配りも含めてどういうあり方が最適なのか検討するべきだろう。1次産業は植物工場による近郊農業の普及育成を目玉にするべきかも知れない。
その上での3都を繋ぐ総合的な合理的交通体系を再検討し、築いて行くべきではないか。現在の空港をどのように活用し、緊急の際のヘリポートの整備は十分なのか、不十分であればどうするのか。医療機関や災害救助の組織や消防の配置は適切か。高速道路を含めて道路網はどうか。在来の鉄道網は十分か。不十分ならばどういう路線を補強・強化するべきか、各鉄道の企業形態は現状を前提にしていて問題ないのか。さらに目前に迫っているとされる南海トラフ震災への減災対応連携の強化もあるだろう。これらの問題を関西広域連合の活用でやれるのか。都市間協力には様々な課題があると思われるが、現状で満足せず協力する姿勢を相互に持つことが、中央を頼まず関西発展を期する基本であろう。こうした丁寧な前提があってはじめて新幹線の誘致があってしかるべきだ。
或いはこうした関西都市連携を核にして国=中央政府と渡り合う局面もあるかもしれない。ここにこそ“地方分権”とは基本的に異なる姿勢があるのだ。
場合によっては、最高裁判所を京阪奈丘陵のいずこかに配置するよう働きかけることはあっても良いのかも知れない。行政や場合によっては立法をチェックする機能を持つ司法の頂点が関西に来れば、行政の司法関連部門も自ずと移転して来るだろう。“副首都”計画には具体的にこうしたイメージが無ければならないのではないか。
“維新”は道州制を目指しているようだが、大阪を関西州・州都としようとするのであれば、それはミニ中央集権の発想でしかなく、大阪以外の有力都市からの協力は得られまい。同格の都市の連合体を形成しない限り、中央との力関係で有利な状況を作り出すことは不可能であろう。これでは永遠に大阪の繁栄は望めないであろう。まして大阪市を解体してはそんなエネルギーすらおぼつかないであろう。
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