The Rest Room of ISO Management
ISO休戦
今後の金融市場動向
最近、複数の外資系のファンド(資産運用会社)のセールス・トークに接する機会があった。いずれも、自己PRに基づいてはいるが、世界屈指のファンドだとのことらしいので、その見解を無視するより積極的に理解しておく必要があるものと思われる。私自身も、最近の世界の不安定な景況が気になっており、そういう状況で日本人のファンド・マネージャーそれも外資系で育った人が どういう見解を持っているのか知りたく、若干 彼らの上梓した本を読んだ。そこで、その読後感想も気儘に書いてみたい。
外資系ファンドは、いずれも最近は市場動向の変化が顕著であり、これまでの発想では上手く行かないと言っていた。これまで、というのはここ4,5年つまり、リーマン・ショック以降ということである。よりアグレッシブな方のファンドは、際立った特徴として次のことを強調していた。
①金利が低下している。②市場指標の変動幅が大きくなった。③世界中の各市場(株、債券、コモデティ等々)のパフォーマンスが連動して来ている。④ブラック・スワン(巨大)化したリスクが世界中に拡散し不確実性が高くなっている。
①のために、預貯金が不利になっているというのは現状のマーケット理解のベースにある。日本では90年代以降の長期的傾向であり、むしろ常識になっているが、世界市場では つい最近の傾向なので、外貨預金は効果がそぎ落ちてきているということになる。こういう状況下にあって、特に、③は重要だ。従来は“タマゴを同じ籠に盛るな”という原則を 頑なに順守して様々な分野に分散投資したつもりでも、それは意味が無くなって来ているのだ。たとえば、その分散を意図して遠隔地の国債や株が推奨されることがあるが、私は日頃なじみのない、実感のともなわない市場商品を相手にするのは良くないとバフェット風に思っていたが、それは正解だったのだ。先進国と新興国の商品の動きは異なると思いがちだが、先進国がコケると新興国に投入された資金も引き上げられるので、新興国もコケるのは当然なのだ。ニューヨークの株価が下がると、翌日の東京市場の株価も下がる。東京はニューヨークの写真相場と化している。要するに、世界のマーケットは一体化つまりグローバル化して来ている。世界中のどこかの“蝶が羽ばたけば、世界中に嵐が吹き荒れる”傾向が大きくなって来ており、しかもどこの蝶が 世界中に影響を与えるのか予断ができないのが実態だ。世界のマーケットは、その規模の大小を問わず複雑に連動して来ているのだ。米国の個人の住宅購入資金が、焦げ付いて不況になり、ヨーロッパの片隅の国の財政危機が世界中の金融機関に影響を及ぼすようになった。かつて、アルゼンチンが破綻したことがあったが、当時このような影響は毛ほどもなかった。それは米国の救済スキームが巧みだったためだけと言えるのだろうか。とにかく、たとえば日本のマーケットといえどもリスクは世界中に広がっているのが現状なのだ。
こういう、マーケット環境なのでファンド・マネージャーにとっては非常に制約条件が多くなって来ているのだ。そこで、このような状況でどう対処するかなのだが、それは次の通りだと言っている。
①財務内容の良機関の 高金利債券や高配当株、②成長性の高い地域・市場にあって、財務内容のよい機関への長期投資、③市場動向(タイミング)を見た機敏な短期投資、④ヘッジ・ファンドやリート、コモディティ等へのオルタナティブ投資の組合せ。
この姿勢は、複数の外資系ファンドの異口同音トークである。①や②において世界経済の長期トレンドを注視し、長期視点でその流れに乗ることであり、③や④は短期的視点で把握し、機敏に動くことが求められる。
さて、そういう世界のマーケットを見て、日本人ファンド・マネージャーは日本のマーケット、ひいては日本をどう思っているのか。まず、藤巻健史氏の“日本大沈没”を読み、次に“なぜ日本は破綻寸前なのに円高なのか”を読んだ。いずれも今年発行の本だが、その順序は、“日本大沈没”の方が後なので、その論点を遡って理解しようとしたことになる。藤巻氏は、米モルガン銀行で若い時を過ごしている。
同氏の論点の全ては、有態に言えば その本の帯に書いてある。曰く“消費税10%は「焼け石に水」。財政破綻かハイパーインフレで社会的混乱は必至。”である。いや、どうやら財政破綻すれば、ハイパーインフレになって社会混乱か、ハイパーインフレになって財政破綻は回避されるか、のいずれかだ、と本にはある。いずれにしても“社会的混乱”つまり一般庶民の生活困難は“必至”なのだという。
私もかつて会社の同僚だった元バンカーに偶然街で会った時、思わず聞いてみたことがあったが、真面目な彼は 急に真顔になって“誰もが、そう言っているヨ”と言った。どうやら、金融マンの間では常識の見通しのようだ。だから、“なぜ、周知の事実を誰も言わないのか?”と帯にある台詞を、ようやく合点したのだった。そうなると年金は吹き飛ぶのだろう。
そして、どうして日本は不況なのか、それは円高に原因があるという。つまり、景気対策で政治家がばらまき政策を行い、それを国債発行で補い、その国債を“ゆうちょ銀行”が買い、“国債バブル”と“円バブル”を形成しており、この社会主義国的メカニズムによって、日本の長期金利はギリシャのようには上昇しないので円高になっていると言うのだ。こういう歪みは通常世界のファンドに狙われるものだとまで言及してはいるが、何故餌食にならないのかまでは言っていない。*
そして、“政治の圧力によって日銀のバランスシートは脆弱になった”としている。(日銀券は80.8兆円だが、それを担保している国債は90.2兆円。国債が暴落すれば日銀券の価値、つまり円は直ちに暴落する。)そして、今話題の量的緩和に成功した場合には、それは制御不能のハイパー・インフレになっているとも言っている。
いずれにせよ、各個人はそういうハイパー・インフレは不可避の事態として、それに備える必要があるが、それには、藤巻氏は土地購入が良いとしている。当然ながら それも優良物件であるべきだ。それができないならば、株ということになる。土地や株はインフレに応じて価値は、目減りせずスライドするからである。これが結論と理解した。
*なぜ、日本の国債が国際ファンドの餌食にならないのかは、ボリュームが超巨大でびくともしないためとされている。
そこで、ならばどうして現在円高なのか、それを“なぜ日本は破綻寸前なのに円高なのか”に求めた。だが結局のところ、円を積極的に買う主体がいる訳ではなくて、円を持っている日本人が、円を売ろうとしないため、との主張だと理解したのだ。海外で稼いだ金を内部留保しているのは、日本の中規模以上の海外進出企業だ。彼らは外貨の価値が不安定になる度に、慌てて日本円に換金して来ているのではないか。確かに、それなりの金融マンに訊ねても、誰が円を買っているのかは判らないと言う。だから避難通貨になっている、という解説は、それなりに正しいのかも知れないが、積極的な意味として見ると間違うものと言える。要するに以前に言ったが孫正義氏のように、積極的に膨大な資金で借金をしてまで海外投資をしようという勇気ある企業家が少なすぎるのだ。日本の企業家は 意気地がないことになるのである。
さて、もう一人の日本人ファンド・マネージャー澤上篤人氏の本“やっぱり!株は上がるぞ” も読んでみた。その副題に“「国債バブル」が崩れ「預貯金安全神話」が終わるとき”とある。帯には“株が「やたら安いから、買っておこう」と言っているだけではない。いま株式投資が一番安全なのだ”とある。読んだ後から見れば、この帯の表現で全てであると分かる。
澤上氏も若い時、スイスの金融機関で働き、その後ピクテ・ジャパンで日本代表を務めていた。その様子は同氏の本“金融の本領”で、読んで理解することができる。そこでは、リーマンまでの金融機関は いずれもかつての金融の本道の長期投資ではなく、短期の浮利を追う傾向が顕著になっていたというような意味のことを言って、嘆いている。
そして、藤巻氏と同様“国家破綻が近い?”としながら、ならば“あなたは国外脱出しますか?”と問いかける。だが日本がどうなったとしても、“毎日の生活は続く、つまり経済活動はなくならない”と言う。確かに、“国破れて、山河在り”なのである。そして、そこには優良企業も必ずある、だから、そのような会社の株ならば大丈夫だという趣旨である。
ここで澤上氏はプライベート・バンキング・サービスの肝である財産保全のプライオリティを示している。それは、①戦争や政変に対して、いつでも現金化できて生活できること。実際には、資産運用は世界に分散するという。②対インフレ策で、物価の上昇で目減りしない資産。③金利の大きなトレンドに対して警戒すること。現状の超低金利が長続きするものではないから国債には注意が必要だと警告している。④通常の景気変動を留意。このように、プライオリティは低く見られているが、一般の投資運用ではこれに一喜一憂し過ぎていると指摘している。これが、長期投資の極意なのだろう。
これまで世界の株価は紆余曲折を経てリーマン以前にほぼ戻ったと言われるが、日本の株価は上がっていない。それは、80年代バブル以前は、銀行やグループによる株式持合いによって形成されていた日本の株式市場が、バブル崩壊後 金融機関を中心に持合いを解消するために、折を見て売りに出ていたためである、とされる。そして、そろそろその売り物の株もなくなって、持合は解消されて来ていると言うことである。だから、かつてより健全な状態になった日本の株式市場は、そろそろ上がる時期だと言うのだ。そして“個別に優良な企業を探せ、良い企業は沢山ある”と言っている。
今年は昇竜の歳、澤上氏の言う局面と思えたし、株価はこれまでの低迷を脱して、上昇するはずだったし、非常に期待した。しかし、どうやら巷の声によると、株価が少し上がれば 今は生保が持株を売りに出しているとのこと。なので、今年も低迷のまま終わりそうな気配だ。そのままで、どうやら日本も世界の不況に巻き込まれようとしている。結果として 残念な状態にある。いつまでも、このような状況が続くとは思えないのだが、今や不況の足音が聞こえてきており、出口のない日本経済に絶望的になってしまう。
その意味で、政府ももっとしっかり新規産業や業界の育成に取り組んでもらいたいものだが、今は総選挙で無政府状態。日本の政治家は、“政治”を家業にし、選挙に生きている印象だ。選挙に受からなければ、官僚との既存利権の分捕り合戦に参戦できない。しかもその方が、新規業界を育成しての利権形成より手っ取り早く効率的なのだろう。まして既存業界が既得権を持って、新規産業や新規業界の発展を阻んでいるのなら、既存側を破壊するには相当な時間とエネルギーを要してしまうので、稼ぐには非効率なため敬遠されているのだろう。
それから、日本では不思議とあまり意識されていない大きなリスクがある。それは日中国境紛争だ。澤上氏も1番に挙げたリスクだ。これが起きた時、どのようにシミュレーションし、対策しておくべきなのか素人には難しいテーマだ。だが、きっとプライベート・バンクでは対策を講じているのだろう。
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外資系ファンドは、いずれも最近は市場動向の変化が顕著であり、これまでの発想では上手く行かないと言っていた。これまで、というのはここ4,5年つまり、リーマン・ショック以降ということである。よりアグレッシブな方のファンドは、際立った特徴として次のことを強調していた。
①金利が低下している。②市場指標の変動幅が大きくなった。③世界中の各市場(株、債券、コモデティ等々)のパフォーマンスが連動して来ている。④ブラック・スワン(巨大)化したリスクが世界中に拡散し不確実性が高くなっている。
①のために、預貯金が不利になっているというのは現状のマーケット理解のベースにある。日本では90年代以降の長期的傾向であり、むしろ常識になっているが、世界市場では つい最近の傾向なので、外貨預金は効果がそぎ落ちてきているということになる。こういう状況下にあって、特に、③は重要だ。従来は“タマゴを同じ籠に盛るな”という原則を 頑なに順守して様々な分野に分散投資したつもりでも、それは意味が無くなって来ているのだ。たとえば、その分散を意図して遠隔地の国債や株が推奨されることがあるが、私は日頃なじみのない、実感のともなわない市場商品を相手にするのは良くないとバフェット風に思っていたが、それは正解だったのだ。先進国と新興国の商品の動きは異なると思いがちだが、先進国がコケると新興国に投入された資金も引き上げられるので、新興国もコケるのは当然なのだ。ニューヨークの株価が下がると、翌日の東京市場の株価も下がる。東京はニューヨークの写真相場と化している。要するに、世界のマーケットは一体化つまりグローバル化して来ている。世界中のどこかの“蝶が羽ばたけば、世界中に嵐が吹き荒れる”傾向が大きくなって来ており、しかもどこの蝶が 世界中に影響を与えるのか予断ができないのが実態だ。世界のマーケットは、その規模の大小を問わず複雑に連動して来ているのだ。米国の個人の住宅購入資金が、焦げ付いて不況になり、ヨーロッパの片隅の国の財政危機が世界中の金融機関に影響を及ぼすようになった。かつて、アルゼンチンが破綻したことがあったが、当時このような影響は毛ほどもなかった。それは米国の救済スキームが巧みだったためだけと言えるのだろうか。とにかく、たとえば日本のマーケットといえどもリスクは世界中に広がっているのが現状なのだ。
こういう、マーケット環境なのでファンド・マネージャーにとっては非常に制約条件が多くなって来ているのだ。そこで、このような状況でどう対処するかなのだが、それは次の通りだと言っている。
①財務内容の良機関の 高金利債券や高配当株、②成長性の高い地域・市場にあって、財務内容のよい機関への長期投資、③市場動向(タイミング)を見た機敏な短期投資、④ヘッジ・ファンドやリート、コモディティ等へのオルタナティブ投資の組合せ。
この姿勢は、複数の外資系ファンドの異口同音トークである。①や②において世界経済の長期トレンドを注視し、長期視点でその流れに乗ることであり、③や④は短期的視点で把握し、機敏に動くことが求められる。
さて、そういう世界のマーケットを見て、日本人ファンド・マネージャーは日本のマーケット、ひいては日本をどう思っているのか。まず、藤巻健史氏の“日本大沈没”を読み、次に“なぜ日本は破綻寸前なのに円高なのか”を読んだ。いずれも今年発行の本だが、その順序は、“日本大沈没”の方が後なので、その論点を遡って理解しようとしたことになる。藤巻氏は、米モルガン銀行で若い時を過ごしている。
同氏の論点の全ては、有態に言えば その本の帯に書いてある。曰く“消費税10%は「焼け石に水」。財政破綻かハイパーインフレで社会的混乱は必至。”である。いや、どうやら財政破綻すれば、ハイパーインフレになって社会混乱か、ハイパーインフレになって財政破綻は回避されるか、のいずれかだ、と本にはある。いずれにしても“社会的混乱”つまり一般庶民の生活困難は“必至”なのだという。
私もかつて会社の同僚だった元バンカーに偶然街で会った時、思わず聞いてみたことがあったが、真面目な彼は 急に真顔になって“誰もが、そう言っているヨ”と言った。どうやら、金融マンの間では常識の見通しのようだ。だから、“なぜ、周知の事実を誰も言わないのか?”と帯にある台詞を、ようやく合点したのだった。そうなると年金は吹き飛ぶのだろう。
そして、どうして日本は不況なのか、それは円高に原因があるという。つまり、景気対策で政治家がばらまき政策を行い、それを国債発行で補い、その国債を“ゆうちょ銀行”が買い、“国債バブル”と“円バブル”を形成しており、この社会主義国的メカニズムによって、日本の長期金利はギリシャのようには上昇しないので円高になっていると言うのだ。こういう歪みは通常世界のファンドに狙われるものだとまで言及してはいるが、何故餌食にならないのかまでは言っていない。*
そして、“政治の圧力によって日銀のバランスシートは脆弱になった”としている。(日銀券は80.8兆円だが、それを担保している国債は90.2兆円。国債が暴落すれば日銀券の価値、つまり円は直ちに暴落する。)そして、今話題の量的緩和に成功した場合には、それは制御不能のハイパー・インフレになっているとも言っている。
いずれにせよ、各個人はそういうハイパー・インフレは不可避の事態として、それに備える必要があるが、それには、藤巻氏は土地購入が良いとしている。当然ながら それも優良物件であるべきだ。それができないならば、株ということになる。土地や株はインフレに応じて価値は、目減りせずスライドするからである。これが結論と理解した。
*なぜ、日本の国債が国際ファンドの餌食にならないのかは、ボリュームが超巨大でびくともしないためとされている。
そこで、ならばどうして現在円高なのか、それを“なぜ日本は破綻寸前なのに円高なのか”に求めた。だが結局のところ、円を積極的に買う主体がいる訳ではなくて、円を持っている日本人が、円を売ろうとしないため、との主張だと理解したのだ。海外で稼いだ金を内部留保しているのは、日本の中規模以上の海外進出企業だ。彼らは外貨の価値が不安定になる度に、慌てて日本円に換金して来ているのではないか。確かに、それなりの金融マンに訊ねても、誰が円を買っているのかは判らないと言う。だから避難通貨になっている、という解説は、それなりに正しいのかも知れないが、積極的な意味として見ると間違うものと言える。要するに以前に言ったが孫正義氏のように、積極的に膨大な資金で借金をしてまで海外投資をしようという勇気ある企業家が少なすぎるのだ。日本の企業家は 意気地がないことになるのである。
さて、もう一人の日本人ファンド・マネージャー澤上篤人氏の本“やっぱり!株は上がるぞ” も読んでみた。その副題に“「国債バブル」が崩れ「預貯金安全神話」が終わるとき”とある。帯には“株が「やたら安いから、買っておこう」と言っているだけではない。いま株式投資が一番安全なのだ”とある。読んだ後から見れば、この帯の表現で全てであると分かる。
澤上氏も若い時、スイスの金融機関で働き、その後ピクテ・ジャパンで日本代表を務めていた。その様子は同氏の本“金融の本領”で、読んで理解することができる。そこでは、リーマンまでの金融機関は いずれもかつての金融の本道の長期投資ではなく、短期の浮利を追う傾向が顕著になっていたというような意味のことを言って、嘆いている。
そして、藤巻氏と同様“国家破綻が近い?”としながら、ならば“あなたは国外脱出しますか?”と問いかける。だが日本がどうなったとしても、“毎日の生活は続く、つまり経済活動はなくならない”と言う。確かに、“国破れて、山河在り”なのである。そして、そこには優良企業も必ずある、だから、そのような会社の株ならば大丈夫だという趣旨である。
ここで澤上氏はプライベート・バンキング・サービスの肝である財産保全のプライオリティを示している。それは、①戦争や政変に対して、いつでも現金化できて生活できること。実際には、資産運用は世界に分散するという。②対インフレ策で、物価の上昇で目減りしない資産。③金利の大きなトレンドに対して警戒すること。現状の超低金利が長続きするものではないから国債には注意が必要だと警告している。④通常の景気変動を留意。このように、プライオリティは低く見られているが、一般の投資運用ではこれに一喜一憂し過ぎていると指摘している。これが、長期投資の極意なのだろう。
これまで世界の株価は紆余曲折を経てリーマン以前にほぼ戻ったと言われるが、日本の株価は上がっていない。それは、80年代バブル以前は、銀行やグループによる株式持合いによって形成されていた日本の株式市場が、バブル崩壊後 金融機関を中心に持合いを解消するために、折を見て売りに出ていたためである、とされる。そして、そろそろその売り物の株もなくなって、持合は解消されて来ていると言うことである。だから、かつてより健全な状態になった日本の株式市場は、そろそろ上がる時期だと言うのだ。そして“個別に優良な企業を探せ、良い企業は沢山ある”と言っている。
今年は昇竜の歳、澤上氏の言う局面と思えたし、株価はこれまでの低迷を脱して、上昇するはずだったし、非常に期待した。しかし、どうやら巷の声によると、株価が少し上がれば 今は生保が持株を売りに出しているとのこと。なので、今年も低迷のまま終わりそうな気配だ。そのままで、どうやら日本も世界の不況に巻き込まれようとしている。結果として 残念な状態にある。いつまでも、このような状況が続くとは思えないのだが、今や不況の足音が聞こえてきており、出口のない日本経済に絶望的になってしまう。
その意味で、政府ももっとしっかり新規産業や業界の育成に取り組んでもらいたいものだが、今は総選挙で無政府状態。日本の政治家は、“政治”を家業にし、選挙に生きている印象だ。選挙に受からなければ、官僚との既存利権の分捕り合戦に参戦できない。しかもその方が、新規業界を育成しての利権形成より手っ取り早く効率的なのだろう。まして既存業界が既得権を持って、新規産業や新規業界の発展を阻んでいるのなら、既存側を破壊するには相当な時間とエネルギーを要してしまうので、稼ぐには非効率なため敬遠されているのだろう。
それから、日本では不思議とあまり意識されていない大きなリスクがある。それは日中国境紛争だ。澤上氏も1番に挙げたリスクだ。これが起きた時、どのようにシミュレーションし、対策しておくべきなのか素人には難しいテーマだ。だが、きっとプライベート・バンクでは対策を講じているのだろう。
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