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雑感オムニバス

先週は、週末にイベントがあり一つのテーマに集中したある程度の考察ができていない。そこで感じたままのいくつかの問題雑感を提示したい。各々脈絡なく羅列するオムニバス形式としているのと、それぞれがいずれも消化不良気味であることを御許し頂きたい。ワンテーマに絞った場合よりもお得感は持っていただけるのではないか。それにしてもいつものことながら思いは千々に分かれて拡散する一方だ。

□アベノミクス失敗への懸念増大
先ずは現況の景況感から。4~6月のGDP速報値が発表され、想定内、想定外様々な観測が伝えられている。それにしても当初アベノミクス批判派からの見解があまり報道されず、実務派の見解ばかり紹介されているのには若干気になるところだ。そろそろアベノミクスの実態が見えて来る頃ではある。
こういう御時勢で現在ある種のマイブームになっているのが、浅井隆氏による“国債暴落サバイバル読本”である。この著者の本はある種“オオカミ少年”的で、世間では際物扱いされているようで、私もいつもは書店で手に取ってみて結局は敬遠していたが、今回はこれまでにも増して著者の相当な思いが込められているような気がして買ってしまった。読んでみて活字が大きいにもかかわらず論旨が行ったり来たりするので結局読み難かったり、矢張り表現が過度に感覚的で特に“阿鼻叫喚”の言葉が繰り返し出てくるのには辟易した。こういうスタイルの文章は私には大いに反面教師になると反省した。また、最後には著者のビジネスへの誘導になっていて、結局具体的にどうするべきかは彼らの有料イベントに参加しないと分からず、残念感で終わるという仕掛けになっている。
しかし気になるのが、著者が紹介している“ハイパーインフレの悪夢―ドイツ「国家破綻の歴史」は警告する”(新潮社刊)という本の引用だ。そこには、“第一次大戦後のドイツの景気復興のための国債増発→マルク安→景気上昇→ハイパーインフレ”のプロセス記述がある。その初期段階が現状の日本にそっくりだ。アベノミクス失敗への懸念は増大する。
またアベノミクスがなくても、こうした懸念は年々明確になって来ているように思う。以前居た会社の総務部長は関西系の大手銀行出身者だったが、アベノミクスの遥か以前に“政府はインフレにして債務つまり財政赤字の縮小を目指している”と明言していたからだ。また私の知っている複数の金融機関の従業員も最近は、“家を買うために意識的に借金をしている”とか、“外貨で金融資産を持っている”等、それなりのインフレ対策を既に行っているようだ。これでも浅井氏によれば不十分なようだが。アベノミクスが日本経済の破滅を早めるのに大きく寄与することになるのだろう。
また、浅井氏の指摘では日々刻々物価が上昇するハイパーインフレに陥れば、金の現物を持っていてもそれが贋物かも知れないので買い物には有効でなく、歴史的にはいずれの場合も米ドルの現金が通用したと言っている。そこで私も預金封鎖に備えて小さな対応を考えた。実は日本の法律では日常の取引で米ドルを使用することは違法ではなく、また米ドルの入手も可能なので、その日に備えて日常の買い物資金としての米ドル現金(小額紙幣)を日本円が未だ100円台である内に具体的にどの程度どう入手するべきか、例の金融機関の知人に聞いてみようと思っている。

□辺野古基地移転問題
辺野古の付近の海面でのボーリング調査が始まったという。貴重な美ら海がどんどん破壊される訳だ。日本の環境省は、果たしてその職責を厳格に果たしているのか。環境省は最近生物多様性に熱心のようだが、辺野古での基地建設はそういう動きに逆行する。にもかかわらず、所管官庁として見て見ぬふりをしていて良いのか。出でよ、硬骨官僚!
米国の法律では環境破壊してまでの基地建設は不可能だと聞いたことがある。そういう無理を押してまで、米国としてどうして米国海兵隊の基地が沖縄に必要なのか理解できない。グァムへの撤退とも矛盾する。それにも日本に金を出せと言うのはヤクザの言いがかりだ。米国ではアンポタダ乗り論がある一方で、どこまでも日本は金を出している。こうしてみると日本の隣人はヤクザばかりだ。
僭越にも日本政府からの声高な説明として“抑止力として必要”は聞こえてくるが、米国の本音は不思議にも全く聞いたことがない。真面目な話、海兵隊という兵種では“抑止力”たり得ないので、そんな非常識な説明は公式にはできないのだろう。財政赤字の日本政府は国民を欺いて、環境破壊をしてまで基地建設してさし上げて、米国の便宜を何故図るのだろう。是非“親日家”であるケネディ大使から、そこまで必要な沖縄基地の公式見解を賜りたいものだ。

□中国の独禁法
日本企業が中国の独禁法に抵触し、罰金を支払うと言う。事件の詳細や背景は良く知らないが、突然の言いがかりには理解できない。ところで、中国共産党の存在は独禁法違反でないのか。九段線と言い、中国には国際的基準に沿わない立法や、その適用が恣意的な面があるように思う。中国でのビジネスには、時にはショバ代替わりの何らかの言いがかりを付けられるリスクを覚悟するべきだろう。

□クールグマンの警告
中国と言えば、今週の朝日新聞(14.8.22付)の“クルーグマンコラム”で歴史の一般論として“なぜ戦争をするのか”と題してコメントしていた。結局は欲得損得が原因だが、近代では勝っても戦費を予想外に損耗するので得することはない、と言っている。例えば、イラク戦争では実は1~3兆ドル使ったと推定されているが、クールグマンは“フセインを倒して新政府を樹立費用として予想していたのがわずか500億~600億ドルだったことを覚えているだろうか。”と指摘している。
にもかかわらず、今プーチン政権は欲得損得でウクライナに不穏な情勢を作り出している。また“もし中国経済の危機が終わるとしたら、その時(数多くの経済学者がじきに起きるだろうと考えている)、同国の指導者たちはどう駆り立てられるのだろうか。”と警告していた。世界は日中戦争の懸念が増大していると見ている。

□集中豪雨
広島の集中豪雨で、救助隊の出動が迅速かつ強力でなかったという不満が現地にはあるようだ。行政のトップの安倍首相は広島の救援にはあまり熱心でなかったことが反映して居るのかも知れない。官邸での対策本部より山梨の別荘に居たいという意思が透けて見えた。
否、否、これは、広島原爆慰霊祭での地元の扱いに対する安倍氏の意趣返しであろうか。日本の自治体は中央政府の意向に従わなければ、市民はこのような扱いを受けることになるという見せしめなのか。首相とはそういう狭い了見であってはならないが、額の狭い人は了見が狭いと言われるので、存外当たっているのかも知れない。
ネットでは、2001年の宇和島水産高校の実習船・えひめ丸事件時に当時の森首相は一報が入ってからもプレー続行し批判を浴びたことが話題になっているが、この時安倍氏自身も危機管理担当の官房副長官でありながらその対応のため公的場所に登場するのに半日以上要して当時問題になったことを覚えている。なので、私は今回の彼の行動には違和感は全くない。口では言うが、本当は国民の命には関心がない、真実味のない人なのだ。
だが恐らく、戦争好きの彼のコト、中国が日本の公船を沈めた場合にはゴルフは直ちに止め、率先して官邸で自衛隊の指揮を執ってくれるコトであろう。だが心して言うが、ゲーム感覚で変な指揮は執って欲しくないものだ。

それにしても、このような集中豪雨が夏に起きるのは珍しい。日本上空を寒気団が覆っていることが原因のようだが、何故ここで寒気団かの説明がない。私は温暖化が終わって寒冷化が始まる境目での混乱のような気がするが、間違っているのだろうか。最近、マスコミは何故か反温暖化の学者にマイクを向けなくなっているが、今後御専門家の説明を注意深くウォッチングしたい。

広島の山は花崗岩の風化した真砂土だとの説明だが、地元神戸の六甲山も御影石から成り立っている。神戸でこのような集中豪雨が起きれば、土砂崩れの被害は遥かに甚大になると思われる。とにかく神戸に限らず各市民はその自治体の作成したハザードマップをよく見ておくべきだ。神戸の場合は、阪急線より上は土砂災害、阪急線と阪神線の間は水害、阪神線より下は津波被害と大きく分かれる。これを見ればここが災害都市であることが確認できる。

□盆休みに見たレンタルDVDについて
マーガレット・サッチャー/鉄の女の涙;メリルストリープがサッチャーに声や話し方もそっくりに好演。食糧雑貨商の娘で、オックスフォードを出た、というのは知らなかった。それにしてもやっぱり鉄の女であり、今日あるイギリスの基礎を作った。

レミゼラブル;ラッセル・クロウがいい声で歌っていた。古い小説のせいか、登場人物のパフォーマンスが平板と言うか心理的陰影が描写できていないように感じるが、何故か感動する。それにしてもジャン・バルジャンの超人性はすごい。

日輪の遺産;世にあるM資金に関わる伝説話か。中々奇抜なアイデアで面白い話だ。浅田次郎の原作と映画の筋は多少違うようだが、原作を読んでいないのでどこが違うのかは知らない。しかし主人公・真柴少佐が手帳に日誌を書き残すのは中心シナリオの決定的なミスではないか。この映画の中でも、真柴少佐らに逐次手渡される命令書は焼却するよう厳命されていて、行動の証拠は残さない任務のはずだから大きな矛盾だ。いつも巧妙な計算が施される浅田小説にしては大変残念。それに、未だ未だ生きて帰るつもりだった19名の女学生が、一瞬の内に全員自決する決心をし、揃って青酸カリを飲むと言うのも非常に不自然だ。その上に、映画の前後のみに登場するマッカーサーの通訳・副官にして、その後駐留米軍の司令官になる日系米人のこの事件への関わり方が、良く分からなかった。

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