徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

”輸入”麻疹に御用心。

2014年02月05日 06時41分50秒 | 小児科診療
 風疹騒ぎが収まらないまま、麻疹の患者数増加が話題になっています。
 以前、日本は「麻疹輸出国」と世界各国から非難される立場でしたが、乳幼児期のMRワクチンが定期接種になって数年したらあっという間に「輸入国」になりました。
 今回も流行地であるフィリピンから帰国した人が持ち込む”輸入”麻疹というカラクリです。

はしかの患者大幅増加 注意を
(2014年2月5日:NHK)
 国内のはしかの患者が、ことしに入って大幅に増えていて、国立感染症研究所はワクチン接種など注意を呼びかけています。
 国立感染症研究所などによりますと、先月26日までの1か月間に全国の医療機関から報告されたはしかの患者は46人で、前の年の同じ時期に比べ2.6倍と大幅に増えているということです。
 患者はワクチンを接種していない20歳以上の若者が多く、はしかの流行が起きているフィリピンに滞在し、帰国後発症したケースが目立つということです。
 国立感染症研究所感染症疫学センターの多屋馨子室長は、「はしかには特効薬がなく、最悪、死亡することもある。この時期はインフルエンザと紛らわしいため、はしかと気付かずに、感染を広げてしまうおそれもある。毎年春に流行が本格化するので、ワクチンを受けていない人はできるだけ早く受けてほしい」と注意を呼びかけています。


 国立感染症研究所のHPを見ても、今年に入りフィリピン経由の「B3型」というタイプの増加が示されています。
 先日紹介した「インタラクティブマップ」でも2014年現在、フィリピンやベトナムなど東南アジアで麻疹が発生していることが読み取れます。



 日本で危ないのは、ワクチン行政の狭間で接種率が低いまま終わっている成年層。風疹と同じですね。
 一方、小学生が発症して「臨時休校」措置を取った例もあります。

はしか:弟も感染 小学校臨時休校--延岡 /宮崎
(2014年2月5日:毎日新聞)
 県感染症対策室は3日、延岡市立南小学校の男子児童1人が、はしかに感染していたと発表した。同小は3~7日を臨時休校とした。
 児童は、1日に感染が分かった男子高校生の弟で、1月に父親と2人でフィリピン旅行に行った。同16~21日発熱や発疹があったが、既に症状はないという。延岡保健所が児童や職員の健康状態を調査している。


 高校生の兄と小学生の弟・・・MRワクチン世代なのに罹ってしまったことに疑問が残ります。この兄弟のMRワクチン接種歴を知りたいところです。
 それから、今の小学生はMRワクチン2回接種世代ですから、一律に休校措置を取る必要はないはずです。MRワクチン2回接種済みの子どもはふつうに授業を継続し、何らかの理由で1回あるいは0回の子どものみ自宅待機とすべきでしょう。校長から学校医への相談はなかったのかな?
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ”花粉症避難”ツアー情報 | トップ | 期待される(?)新たな抗イ... »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

小児科診療」カテゴリの最新記事