新型コロナ感染対策の“基本三原則”との言える、
1.手洗い(あるいは手指消毒)
2.マスク
3.ソーシャル・ディスタンディング
これらを行うと、実際にはどのくらい感染リスクが減るのでしょうか。
まあゼロにはならないと思うけど・・・。
という疑問に答える報告が目にとまりましたので紹介します。
結論から申し上げると、各行為は
1.手洗い → 47%
2.マスク → 47%
3.ソーシャル・ディスタンディング → 75%
まで感染リスクを減らす効果がある、という結果でした。
手洗いだけ、マスクだけ、では半分くらいしか感染リスクが減らないのですねえ。
ソーシャル・ディスタンディングだけでは25%しか減りません。
しかし、三つをすべて実行する合わせ技は単純計算で、
0.47×0.47×0.75=0.165
となり、約17%まで感染リスクを減らす、
つまり87%の感染を予防することになります。
100%とは行きませんが、素晴らしい数字です。
これにワクチン接種効果を上乗せすると、さらに高い数字が期待できます。
ただ、この報告の中では、“三密”回避の“換気”の項目がありません。
十分な換気を追加すると、さらに予防効果が高くなるはずです。
なお、この報告はオミクロン株登場以前の解析結果と思われ、
現在は数字がこれより低くなっていることが予想されます。
ちなみに、当院の診察室の状況は・・・
・窓を常に5-10cm開けている
・換気扇常時作動
・空気清浄機常時作動
と空気が常に入れ替わっている状況です。
換気扇は患者さんの頭上に強力なタイプを追加設置し、
その音で聴診所見が聞こえにくいのが難です。
しかし冬は上記を行うと非常に寒い。
エアコンと床暖房もフル回転です。
一体この診察室、
どれくらい電気料を食ってるんだろう・・・。
■ マスク・手洗いでコロナ発症率がどの程度下がるのか~メタ解析/BMJ
新型コロナウイルスへの感染、発症、死亡に関して、感染対策はどの程度有効だったのだろうか。オーストラリア・Monash UniversityのStella Talic氏らの系統的レビューとメタ解析から、手洗い、マスク着用、対人距離保持などがCOVID-19発症率の減少と関連することが示唆された。BMJ誌2021年11月17日号に掲載。
本研究では、Medline、Embase、CINAHL、Biosis、Joanna Briggs、Global Health、World Health Organization COVID-19データベース(プレプリント)において、COVID-19発症率、SARS-CoV-2感染率、COVID-19死亡率の減少における感染対策の有効性を評価した観察研究と介入研究を検索した。主要評価項目はCOVID-19発症率、副次評価項目はSARS-CoV-2感染率とCOVID-19死亡率などであった。マスク着用、手洗い、対人距離保持がCOVID-19発症率に及ぼす影響をDerSimonian Lairdのランダム効果メタ解析で評価した。
主な結果は以下のとおり。
・選択基準を満たした論文72報中35報が個別の感染対策を評価し、37報が複数の感染対策を「介入パッケージ」として評価していた。
・35報中8報をメタ解析した結果、手洗い(相対リスク:0.47、95%信頼区間:0.19〜1.12、I2=12%)、マスク着用(0.47、0.29〜0.75、I2=84%)、対人距離保持(0.75、0.59〜0.95、I2=87%)がCOVID-19発症率の減少と関連していた。
・検疫・隔離、ロックダウン、国境・学校・職場の封鎖による有効性は、研究の不均一性からメタ解析は不可能だった。
本研究では、Medline、Embase、CINAHL、Biosis、Joanna Briggs、Global Health、World Health Organization COVID-19データベース(プレプリント)において、COVID-19発症率、SARS-CoV-2感染率、COVID-19死亡率の減少における感染対策の有効性を評価した観察研究と介入研究を検索した。主要評価項目はCOVID-19発症率、副次評価項目はSARS-CoV-2感染率とCOVID-19死亡率などであった。マスク着用、手洗い、対人距離保持がCOVID-19発症率に及ぼす影響をDerSimonian Lairdのランダム効果メタ解析で評価した。
主な結果は以下のとおり。
・選択基準を満たした論文72報中35報が個別の感染対策を評価し、37報が複数の感染対策を「介入パッケージ」として評価していた。
・35報中8報をメタ解析した結果、手洗い(相対リスク:0.47、95%信頼区間:0.19〜1.12、I2=12%)、マスク着用(0.47、0.29〜0.75、I2=84%)、対人距離保持(0.75、0.59〜0.95、I2=87%)がCOVID-19発症率の減少と関連していた。
・検疫・隔離、ロックダウン、国境・学校・職場の封鎖による有効性は、研究の不均一性からメタ解析は不可能だった。
<原著論文>