徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

“人流抑制より人数制限” “ステイホームは意味がない”のインパクトと波紋

2022年01月22日 06時58分33秒 | 小児科診療
先日、尾身会長の口から出たコメントです。

私は驚きました。
それまでは“我慢” “辛抱”の発言を繰り返すのみで、
「そんな当たり前のことしか言えない専門家会議に存在意義はあるの?」
と感じていました。

専門家たるもの、
「ここまではOK、ここからはダメ」
という、具体的な行動指針を示していただきたい、と思ってきました。

そこへ、
“人流抑制より人数制限” 
“ステイホームは意味がない”
というインパクトのある発言。

私は“やっと専門家らしいコメントが出た!”
とちょっとうれしかったのです。
はじめて「ここまではOK」という指標を示したのですから。

しかし、このメリハリのついた発言は波紋と混乱を呼んでいます。
まだ、国民の理解が追いついていないので、
時期尚早だったのかもしれません。

紆余曲折を経ながらも、いずれ新型コロナは季節性インフルエンザのように、
“風邪の一種”レベルにソフトランディングします。

その過程で、感染対策は“一進一退” “右往左往” “トライ&エラー”
とある程度迷走することは避けられないと思います。


<参考>

尾身会長「人流抑制ではなく、人数制限が1つのキーワード」 13都県のまん延防止追加、分科会が了承
 政府は19日、東京や愛知など1都12県を「まん延防止等重点措置」の対象に追加することを専門家で作る分科会に諮問し、了承された。 その後、記者団の取材に応じた分科会の尾身茂会長は、13都県へのまん延防止適用は「誰も異論がなく、全員一致だった」とした上で、対策の具体的な中身が議論になったと説明。
 今回はオミクロン株の特徴に合わせた効果的、メリハリのついた対策が必要だとし、「人流抑制ではなく、人数制限が1つのキーワードになると思う。なぜ人数制限かというと、オミクロン株が急激に増えたものを疫学調査で分析すると、ほとんどのケースが大きな声を出したパーティや会食、家などいろんな場面でも起きて、これらが感染のほとんどの部分を示している。こうした大声を出すパーティでは、お酒を飲んでマスクを外し、換気も悪いかもしれない。こういったことが結局、リスクが非常に高いことはわかっている」と述べた。 
 また、目指す方向はゼロコロナではなく、感染拡大のピークをなるべく早く抑えることだと説明。「例外的に他のところで起きたことを一例一例つぶすというよりも、そういうところ(パーティなど)で大きなクラスターが起きないようすることが非常に重要。そのため、特に感染リスクが高いとわかっている場面での人数制限、これは我々市民が工夫して、みんなで努力していくことが求められる」とした。

「若者はコロナ検査せず症状だけで診断も」…専門家提案、重症リスク高い人を優先
2022/01/21:読売新聞)より抜粋;
 政府の新型コロナウイルス対策分科会の尾身茂会長など専門家は20日、オミクロン株の急拡大を見据え、重症化のリスクが低い若者らについては検査を行わず、発熱などの症状だけで診断し、自宅療養してもらうことも検討するべきだとの提案をまとめた。重症化リスクの高い人の検査を確実に行えるようにする狙いがある。同日開かれた厚生労働省の助言機関の会合に示した。
 提案は、早ければ2週間後に感染がピークとなり、多くの感染者が発生すると指摘。感染が疑われる全ての人が検査や診療のために受診すると、地域医療の対応能力を超える可能性があるとの懸念を示した。
 オミクロン株は感染力が強い一方、持病がない50歳未満の感染者は多くが軽症で、自宅療養で軽快している。重症化リスクのある人の医療の確保や一般医療との両立を図るため、患者の状態に応じた受診や診断のあり方も見直す必要があるとしている。

「若者はコロナ検査せず症状だけで診断も」…専門家提案、重症リスク高い人を優先
2022/01/21:読売新聞)より抜粋;
 政府の新型コロナウイルス対策分科会の尾身茂会長など専門家は20日、オミクロン株の急拡大を見据え、重症化のリスクが低い若者らについては検査を行わず、発熱などの症状だけで診断し、自宅療養してもらうことも検討するべきだとの提案をまとめた。重症化リスクの高い人の検査を確実に行えるようにする狙いがある。同日開かれた厚生労働省の助言機関の会合に示した。
 提案は、早ければ2週間後に感染がピークとなり、多くの感染者が発生すると指摘。感染が疑われる全ての人が検査や診療のために受診すると、地域医療の対応能力を超える可能性があるとの懸念を示した。
 オミクロン株は感染力が強い一方、持病がない50歳未満の感染者は多くが軽症で、自宅療養で軽快している。重症化リスクのある人の医療の確保や一般医療との両立を図るため、患者の状態に応じた受診や診断のあり方も見直す必要があるとしている。

首相と軋轢?尾身会長「突然の変身」が広げた波紋
 政府は1月19日、新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の感染爆発を受けて、新たに13都県を対象にまん延防止等重点措置の適用拡大を決めた。ただ、その際に政府分科会の尾身茂会長が、これまでの人流を抑制する方針から柔軟に対応する路線へ“変身”したことが、関係者に複雑な波紋を広げた。  尾身氏は昨年夏から秋にかけての感染第5波でのコロナ対策では、繁華街などへの人出を減らすいわゆる「人流抑制」を主張していた。
 しかし、19日には飲食店の「人数制限」への移行を主張。併せて「オミクロン株の特徴を踏まえた効果的な対策が重要で、ステイホームなど必要ない」と言い放った。 
◇政府と専門家代表の主張が逆転 
 尾身氏は、コロナ対策に苦闘した安倍晋三・菅義偉両政権でも、感染対策の専門家トップとして政府への提言を続けてきた。ただ、厳しい対策の主張で政府と対立する場面も多く、当時の菅首相が周囲に「(尾身氏を)黙らせろ」と憤慨したとされる。
 オミクロン株感染爆発が欧米各国を襲う中、岸田文雄首相はオミクロン対策として「G7各国で最も厳しい対応」を打ち出し、国民的評価を得た。しかし、尾身氏が一転して柔軟な対応を求めたことで、政府と専門家代表の主張が逆転した。 
 オミクロン株の感染力は桁違いだが、重症化リスクは低いとの各国の研究結果を踏まえ、尾身氏は対応方針を変えたとみられる。ただ、当面の対策は飲食店の「人数制限」や「マスク飲食」の励行だけで、問題化している介護施設や保育現場などでのクラスター対策には言及しなかった。
 これに対し、今回まん延防止等重点措置の適用対象となった県の知事から「メリハリというが、実態とかけ離れている」などの批判が噴出。飲食店の営業時間短縮や酒類提供の可否についても、各都県の対応混乱が拡大している。  政府の自治体丸投げの姿勢と、自治体間の足並みの乱れが、オミクロン対策全体への国民の不安、不信を拡大させかねない状況となっている。  政府は19日夕のコロナ対策本部で、オミクロン株感染爆発に迅速に対応するため、13都県にまん延防止等重点措置の適用を決めた。期間は21日から2月13日までの24日間で、医療逼迫防止に向け、各都県による飲食店への営業時間短縮や酒類提供停止の要請などで感染の抑制を図る、とした。
 13都県の内訳は、東京都と群馬、埼玉、千葉、神奈川、新潟、岐阜、愛知、三重、香川、長崎、熊本、宮崎の各県。すでに適用中の沖縄など3県と合わせ、対象地域は計16都県に拡大した。 
 大阪、京都、兵庫の関西3府県も、21日に適用を要請することを決めた。北海道など他道県も早期に適用を要請する構えで、政府が対策本部を開く予定の週明けまでに適用対象が全都道府県の半数を超える可能性もある。 
 これも踏まえ、岸田首相は対策本部で「確保した医療体制がしっかりと稼働するよう各自治体にさらに準備を進めてもらい、メリハリの利いた対策で感染者数の増加を抑制する」と強調した。
 政府は3週間余に設定した適用期間で、飲食店への時短要請は、各都県が認証した店で最長で午後9時、非認証店で午後8時までとした。ただ、酒類提供をめぐっては岐阜、長崎、宮崎3県が一律停止を決めたが、東京都などは認証店で認める方針だ。  政府の基本的対処方針では、ワクチン接種証明書か陰性証明を条件に行動制限を緩める「ワクチン・検査パッケージ」を原則停止した。しかし、自治体の判断次第で、対象者全員に検査を実施した場合は5人以上の会食や収容率100%でのイベント開催も可能となる。
◇人流制限から人数制限にシフトした理由 
 そうした中、基本的対処方針を決めた政府分科会の尾身茂会長は、19日午前の記者団との質疑で、当面のコロナ対策を繁華街などでの「人流抑制」から飲食店などの「人数制限」にシフトさせるべき、との考えを示した。 
 尾身氏は「今までやってきた対策を踏襲するのではなく、オミクロン株の特徴にあったメリハリのついた効果的な対策が重要だ」として、「『人流抑制』ではなく、『人数制限』が1つのキーワードになる」と強調。「今回は何でもやめるという、ステイホームなんて必要ないと思う」と語った。
 尾身氏は、これまでのオミクロン株の感染経路の調査で、換気が悪い部屋などでの多人数の飲食と、大声でしゃべることなどで感染が起きていると指摘。「4人くらいとか、いつも行っている人と静かに飲食し、しゃべるときはマスクをしていれば、店を閉める必要はない」との判断を示した。 
 これに先立ち、年明け以降のオミクロン株による感染爆発に対し、岸田首相は仕事始めの4日、3回目のワクチン接種の前倒しや、無料検査の拡充、経口薬の確保、医療提供体制の強化などの対応をアピール。陽性者の全員入院という対応も見直し、宿泊施設や自宅療養を活用していくという新たな方針を提起した。
 岸田首相サイドは、17日召集の通常国会での野党の追及を交わすためにも、「先手、先手の対応を続けることが重要」と判断。就任後初の施政方針演説でも、「コロナ対策最優先」を繰り返しアピールした。 
 また、岸田首相は、まん延防止等重点措置適用の先に想定される緊急事態宣言発出についても「機動的に検討する」として、政府は都道府県の要請に速やかに対応する姿勢を示した。これも、宣言発出について、「経済的打撃への懸念から慎重姿勢を示して『後手批判』を受けた菅前政権の轍は踏まない」との岸田首相の判断を踏まえたものだ。
 そうした中、岸田首相周辺は、専門家代表として発信する尾身氏についても「菅政権のときのような特別扱いはしない」(岸田派幹部)と漏らしていた。菅前首相がコロナ対策での記者会見に尾身氏を同席させ、「どちらが最高責任者かわからない」と批判が集中したことを意識したからだ。 
 ただ、尾身氏自身はこうした“尾身外し”の動きに危機感を強め、「あえて政府の対応と異なる柔軟路線を打ち出した」(専門家会議関係者)との見方も広がる。専門家の間でも「尾身氏は極めて政治的」(有力専門家)と揶揄する向きは多いが、尾身氏の真意は不明だ。
◇「本当の正念場」を迎えた岸田首相 
 12日に1日当たり1万人を超えた全国の新規感染者数は、1週間後のまん延防止等重点措置の大幅な適用範囲拡大を決めた19日には4万人超と過去最多を更新した。21日からの適用を前に、20日も多くの都道府県で過去最多となり、当面、感染爆発の勢いは止まりそうもない。 
 これまで、「最悪の事態を想定して取り組む」という岸田首相の先手対応が国民に評価され、オミクロン感染爆発でも内閣支持率は高水準を維持してきた。しかし、岸田首相が「ウィズコロナ」戦略を成功させるには、現在の感染爆発防止が最大のカギとなる。
 政府が「先手」による行動制限拡大に踏み込み始めたことに、与党内からも世論の反発を懸念する声が相次ぐ。岸田首相周辺も、「行動制限や自粛要請が拡大・長期化すれば、国民の不満は政権へ向かい、あっという間に内閣支持率も急落しかねない」と危機感を強める。
  岸田首相は施政方針演説で「国民の信頼と共感を得ながら、丁寧で寛容な政治を進めていく」と力説した。しかし、尾身氏との軋轢も含め、政府与党内の足並みの乱れを露呈すれば、国民の信頼は一気に失われる。
 専門家の多くは、オミクロン感染爆発のピークアウトを2月初旬と見込んでいる。それまでの約2週間が岸田首相のトップリーダーとしての真価が厳しく問われる「本当の正念場」(側近)となるのは間違いなさそうだ。


ただ、尾身氏は昔からスタンドプレーが好きな方です。
数十年前のWHO職員時代から私は薄々感じていて、
「科学者としていかがなものか?」
と半分いぶかしく思うこともしばしば。

新型コロナの専門家会議の長になってからも、
人の流れを“人流”と造語したり、
まん延防止等重点措置を“まんぼう”と略して注目を浴びたり・・・
まあ、根っからの目立ちたがり屋さんなのですね。
<参考>の4番目の記事には「尾身氏は極めて政治的」という、
近しい人からの評価もあるくらいです。

スタンドプレーが好きな感染症専門家として、
尾身会長より前に根路銘国昭氏という方もいらっしゃいました。
今となっては懐かしい・・・。
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