徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

“ワクチン拒否”を考える

2014年05月23日 21時52分02秒 | 小児科診療
予防接種のレクチャーを担当することになり、その準備でこの1ヶ月間は予防接種・ワクチンのことばかり考えていました。
このブログの更新も滞りがち(笑)。
それもようやく先日終了し、今はホッと一息ついているところです。

テーマは「“ワクチン拒否”を考える」にしました。
賛成派も反対派も、スタートは「子どもの命を守る」なのに、どこですれ違ってしまうんだろう。
以前から感じていた矛盾を解決すべく、この機会にワクチン反対派の本も数冊読みました。
まあ、接種を受ける子どもの保護者たちの漠然とした不安・疑問がモンスター化したものがワクチン反対本という意味で。

副反応被害者の家族が書いたもの
ワクチン反対を唱える医師が書いたもの
社会派ジャーナリストが書いたもの
等々。

どの本にも賛成できることと賛成できかねることが書かれていました。
ジャーナリストの書いた本は、あまりにもでたらめでうんざりしましたが。
総じて、副反応被害者を重視するあまり他のことが目にも耳にも入らなくなる傾向があり、さらに集団の中の免疫弱者へのまなざしが欠けていると感じました。

一方、某医学書に「予防接種の目的」という文章を見つけました。
以下の4つのステップからなります;

予防接種の目的
1.接種した個人を守る。
2.接種した集団を守る。
3.集団を守ることにより、接種できない免疫弱者を守る。
4.感染症を根絶する。


つまり、「感染症根絶」という最終目標に近づくためには、「集団を守る」「接種できない免疫弱者を守る」ことは避けて通れない道なのです。
日本人は現在、1と2の間で行ったり来たり。なかなか先へ進めません。
日本のワクチン行政の滞りや腰の重さは、「感染症根絶」というメインテーマを忘れているからではないでしょうか。
将来3までステップアップし、いずれ4を達成できる日が来ることを期待したいと思います。

より詳しく知りたい方は、こちらをどうぞ。

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