従来、赤ちゃんへのインフルエンザ対策は不十分なものでした。
ワクチンは生後6ヵ月にならないと接種できません。
抗インフルエンザ薬のタミフルは1歳未満への投与が許可されていません。
つまり、生まれてから生後6ヵ月まではワクチンも抗インフルエンザ薬も使えない「空白期間」「無防備期間」だったのです。
というわけで、日本の小児科医は「家族がワクチンを接種してインフルエンザを家庭に持ち込まないようにしましょう」と指導することしかできませんでした。
一方、米国では1歳未満でもタミフルの使用が許可されていますし、「妊婦がインフルエンザワクチンを接種して、胎盤経由で移行する免疫抗体で赤ちゃんを守りましょう」と積極的に勧めています。
さて、2016年11月24日からタミフルが1歳未満の乳児へ使えるようになりました。
生まれて間もない新生児でもOKです。
一つ注意点として、体重あたりの投与量が1歳以降の幼児と異なり、少し多い設定になっています。
当院は電子カルテなので、一つの薬に対する設定は1種類しかできず、電子カルテ泣かせの薬になりました(^^;)。
実は2009年、新型インフルエンザ発生の際に、特例として赤ちゃんへのタミフルとうよが許可されたことがありました。
それが正式に認可されるまで、7年を要したことになります。
専門学会は以前からしつこく要望してきましたが、世間が騒がないと厚生労働省の腰が重いのはいつものことですねえ。
■ タミフル、1歳未満も保険適用の対象に
( 2016.12.07:メディカル・トリビューン)
11月24日からオセルタミビル(販売名タミフルドライシロップ3%)の新生児および乳児への使用が保険適用の対象となった。薬事承認上は適応外でも医療上の必要性が高く、科学的根拠が十分であれば保険適用の対象とする「公知申請」の制度に基づき厚生労働省が承認した。同薬はこれまで1歳以上の小児への使用が承認されていたが、欧米諸国では1歳未満にも使用されている。小児ではインフルエンザウイルス感染症による致死的な合併症が認められる場合もあることなどから、日本感染症学会などの関連学会が新生児および乳児への同薬の使用を認めるよう要望していた。
◇ 欧米では標準的治療
タミフルドライシロップ3%はこれまで「A型またはB型インフルエンザウイルス感染症およびその予防」を効能・効果とし、小児の用法・用量については1回用量を「2mg/kg(ドライシロップ剤として66.7mg/kg)を1日2回、5日間、用時懸濁して経口投与する※」としていた。今回、これに「新生児、乳児の場合」の1回用量として「3mg/kg(ドライシロップ剤として100mg/kg)」が追加され、新生児および乳児への使用も保険適用の対象となる。
今回の承認は「公知申請」によるもの。公知申請とは、医療上の必要性が高いが、欧米諸国では既に適応が承認されているにもかかわらず国内では適応外使用となる薬剤の使用について、科学的根拠に基づき妥当と判断された場合に薬事承認を待たずに保険が適用される制度。医薬品医療機器総合機構(PMDA)が公開した「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」の報告書によると、同薬の新生児および乳児への使用については、日本感染症学会など3学会が要望していた。
同会議で検討の結果、小児ではインフルエンザウイルス感染による肺炎や脳症などの致死的な合併症が認められることから、適応疾患(今回はインフルエンザウイルス感染症)について、「生命に重大な影響がある疾患」に該当すると判断。また、同薬の医療上の有用性についても、現在承認されているインフルエンザウイルス感染症治療薬のうち吸入薬は1歳未満の小児には適切に使用することが困難であること、軽症例では重篤化しないよう発症初期に経口薬を投与する場合も考えられることなどが考慮された。
さらに、米疾病対策センター(CDC)のガイドラインでは1歳未満を含む小児にも同薬が推奨されているなど欧米で標準的療法に位置付けられており、「国内外の医療環境の違いなどを踏まえても国内における有用性が期待できると考えられる」と結論付けられ、公知申請が妥当と判断された。
この報告書に基づき厚労省の薬事・食品衛生審議会が事前評価を行い、11月24日から保険適用となった。 なお、PMDAでは公知申請によって保険が適用されることになった医薬品の使用に際しては、承認されるまでの間は「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」による「公知申請への該当性に係わる報告書」の内容を読み、承認後には審査報告書を合わせて読んで、適正に使用するよう呼びかけている。
※ただし、1回最高用量はオセルタミビルとして75mgとする
ワクチンは生後6ヵ月にならないと接種できません。
抗インフルエンザ薬のタミフルは1歳未満への投与が許可されていません。
つまり、生まれてから生後6ヵ月まではワクチンも抗インフルエンザ薬も使えない「空白期間」「無防備期間」だったのです。
というわけで、日本の小児科医は「家族がワクチンを接種してインフルエンザを家庭に持ち込まないようにしましょう」と指導することしかできませんでした。
一方、米国では1歳未満でもタミフルの使用が許可されていますし、「妊婦がインフルエンザワクチンを接種して、胎盤経由で移行する免疫抗体で赤ちゃんを守りましょう」と積極的に勧めています。
さて、2016年11月24日からタミフルが1歳未満の乳児へ使えるようになりました。
生まれて間もない新生児でもOKです。
一つ注意点として、体重あたりの投与量が1歳以降の幼児と異なり、少し多い設定になっています。
当院は電子カルテなので、一つの薬に対する設定は1種類しかできず、電子カルテ泣かせの薬になりました(^^;)。
実は2009年、新型インフルエンザ発生の際に、特例として赤ちゃんへのタミフルとうよが許可されたことがありました。
それが正式に認可されるまで、7年を要したことになります。
専門学会は以前からしつこく要望してきましたが、世間が騒がないと厚生労働省の腰が重いのはいつものことですねえ。
■ タミフル、1歳未満も保険適用の対象に
( 2016.12.07:メディカル・トリビューン)
11月24日からオセルタミビル(販売名タミフルドライシロップ3%)の新生児および乳児への使用が保険適用の対象となった。薬事承認上は適応外でも医療上の必要性が高く、科学的根拠が十分であれば保険適用の対象とする「公知申請」の制度に基づき厚生労働省が承認した。同薬はこれまで1歳以上の小児への使用が承認されていたが、欧米諸国では1歳未満にも使用されている。小児ではインフルエンザウイルス感染症による致死的な合併症が認められる場合もあることなどから、日本感染症学会などの関連学会が新生児および乳児への同薬の使用を認めるよう要望していた。
◇ 欧米では標準的治療
タミフルドライシロップ3%はこれまで「A型またはB型インフルエンザウイルス感染症およびその予防」を効能・効果とし、小児の用法・用量については1回用量を「2mg/kg(ドライシロップ剤として66.7mg/kg)を1日2回、5日間、用時懸濁して経口投与する※」としていた。今回、これに「新生児、乳児の場合」の1回用量として「3mg/kg(ドライシロップ剤として100mg/kg)」が追加され、新生児および乳児への使用も保険適用の対象となる。
今回の承認は「公知申請」によるもの。公知申請とは、医療上の必要性が高いが、欧米諸国では既に適応が承認されているにもかかわらず国内では適応外使用となる薬剤の使用について、科学的根拠に基づき妥当と判断された場合に薬事承認を待たずに保険が適用される制度。医薬品医療機器総合機構(PMDA)が公開した「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」の報告書によると、同薬の新生児および乳児への使用については、日本感染症学会など3学会が要望していた。
同会議で検討の結果、小児ではインフルエンザウイルス感染による肺炎や脳症などの致死的な合併症が認められることから、適応疾患(今回はインフルエンザウイルス感染症)について、「生命に重大な影響がある疾患」に該当すると判断。また、同薬の医療上の有用性についても、現在承認されているインフルエンザウイルス感染症治療薬のうち吸入薬は1歳未満の小児には適切に使用することが困難であること、軽症例では重篤化しないよう発症初期に経口薬を投与する場合も考えられることなどが考慮された。
さらに、米疾病対策センター(CDC)のガイドラインでは1歳未満を含む小児にも同薬が推奨されているなど欧米で標準的療法に位置付けられており、「国内外の医療環境の違いなどを踏まえても国内における有用性が期待できると考えられる」と結論付けられ、公知申請が妥当と判断された。
この報告書に基づき厚労省の薬事・食品衛生審議会が事前評価を行い、11月24日から保険適用となった。 なお、PMDAでは公知申請によって保険が適用されることになった医薬品の使用に際しては、承認されるまでの間は「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」による「公知申請への該当性に係わる報告書」の内容を読み、承認後には審査報告書を合わせて読んで、適正に使用するよう呼びかけている。
※ただし、1回最高用量はオセルタミビルとして75mgとする