どうも今年は花粉症に祟られる年なのか、今日は一日軽い頭痛と不快感に苛まれておりました。鼻のムズムズ感は薬で押さえ込みましたが、それ以外の憂鬱なところはそう簡単には去りそうにありません。とりあえずちゃんと寝て、明日の快復を祈るよりなさそうです。
さて、体調もう一つ、という状況ではありますが、例によって本だけは手放せないもので、今日読み終えた一冊の感想をしたためておきましょう。
「チーム・バチスタの栄光」上・下 海堂 尊著 宝島社文庫 です。
海堂 尊という作家さんについては、随分前に新聞に書評が載った時に面白そうだ、と思っていたのですが、なかなか文庫に出てこないので、これまで読む機会もありませんでした。ハードカバーは価格ももちろんなのですが、置き場所に困る、という点も私にとっては重要なところで、毎年単行本だけで100冊以上購入する本のほぼ全てが、文庫本か新書になっております。面白くなかった本はその場でゴミ袋に放り込むようにしているのですが、それでも年々溜まってくるのは避けがたく、これらの1割でもハードカバーだったりした日には、たちまち保管場所がなくなってしまうに違いないのです。ですから、ようやく書店で見かけたこの文庫に、私は非常な期待を抱きつつ持ち帰ったのでした。
さて、お話は、都心に近いさる大学病院で、「バチスタ手術」という難度の高い心臓外科手術を100%成功させてきた天才外科医が、立て続けに3回、手術中に患者を死なせてしまう「事件」が発生。事故なのか事件なのか判然としない中、研究が嫌いで、不定愁訴外来こと通称『愚痴外来』を自分の根城に、雑用や臨床を一手に引き受けてきた神経内科医(万年講師)が、病院長の特命で調査を開始、下巻では厚生労働省の変人役人が加わり、驚愕の真実に向けて一気呵成に物語られる、というものですが、『このミステリーがすごい!』大賞で選考委員満場一致、選考会開始後数秒で受賞決定! という肩書きの示すとおりの快作だったと思います。
大学病院という激しい権力闘争が渦巻く世界を悠然と泳ぐ一種超然とした主人公、その主人公の上司にして、学生時代の恩師、食えない年長者の代名詞のような病院長、最先端医学の頂点を極めた光り輝く自信家の天才外科医、うわさ好きのお調子者な後輩など、登場人物の姿が素直に頭の中で整理されて、実に判りやすいものがあります。更に強烈なもう一人の主人公の厚生労働省役人。私は「国盗り物語」で斉藤道三と初対面した時の織田信長を連想しましたが、周囲の評判など歯牙にもかけず、自分の思うままを実行する傍若無人ぶりを発揮するばかりでなく、実は折り目正しく礼儀を尽くすこともできる、なかなかに楽しい個性でした。
ミステリー部分も結構楽しめる作品で、私の読みながらの推理は、手術中の患者の死亡の原因は大体予想したとおりでしたが、犯人を完全に読み違えておりました。
シリーズものになっているそうなので続きを是非読みたいのですが、残りは皆ハードカバーなので手を出すのをためらっています。早く文庫で出てくれないものでしょうか。
さて、体調もう一つ、という状況ではありますが、例によって本だけは手放せないもので、今日読み終えた一冊の感想をしたためておきましょう。
「チーム・バチスタの栄光」上・下 海堂 尊著 宝島社文庫 です。
海堂 尊という作家さんについては、随分前に新聞に書評が載った時に面白そうだ、と思っていたのですが、なかなか文庫に出てこないので、これまで読む機会もありませんでした。ハードカバーは価格ももちろんなのですが、置き場所に困る、という点も私にとっては重要なところで、毎年単行本だけで100冊以上購入する本のほぼ全てが、文庫本か新書になっております。面白くなかった本はその場でゴミ袋に放り込むようにしているのですが、それでも年々溜まってくるのは避けがたく、これらの1割でもハードカバーだったりした日には、たちまち保管場所がなくなってしまうに違いないのです。ですから、ようやく書店で見かけたこの文庫に、私は非常な期待を抱きつつ持ち帰ったのでした。
さて、お話は、都心に近いさる大学病院で、「バチスタ手術」という難度の高い心臓外科手術を100%成功させてきた天才外科医が、立て続けに3回、手術中に患者を死なせてしまう「事件」が発生。事故なのか事件なのか判然としない中、研究が嫌いで、不定愁訴外来こと通称『愚痴外来』を自分の根城に、雑用や臨床を一手に引き受けてきた神経内科医(万年講師)が、病院長の特命で調査を開始、下巻では厚生労働省の変人役人が加わり、驚愕の真実に向けて一気呵成に物語られる、というものですが、『このミステリーがすごい!』大賞で選考委員満場一致、選考会開始後数秒で受賞決定! という肩書きの示すとおりの快作だったと思います。
大学病院という激しい権力闘争が渦巻く世界を悠然と泳ぐ一種超然とした主人公、その主人公の上司にして、学生時代の恩師、食えない年長者の代名詞のような病院長、最先端医学の頂点を極めた光り輝く自信家の天才外科医、うわさ好きのお調子者な後輩など、登場人物の姿が素直に頭の中で整理されて、実に判りやすいものがあります。更に強烈なもう一人の主人公の厚生労働省役人。私は「国盗り物語」で斉藤道三と初対面した時の織田信長を連想しましたが、周囲の評判など歯牙にもかけず、自分の思うままを実行する傍若無人ぶりを発揮するばかりでなく、実は折り目正しく礼儀を尽くすこともできる、なかなかに楽しい個性でした。
ミステリー部分も結構楽しめる作品で、私の読みながらの推理は、手術中の患者の死亡の原因は大体予想したとおりでしたが、犯人を完全に読み違えておりました。
シリーズものになっているそうなので続きを是非読みたいのですが、残りは皆ハードカバーなので手を出すのをためらっています。早く文庫で出てくれないものでしょうか。