今日はバイクのクラッチレバーを調整し、握りやすい所まで張りを緩めました。とりあえずこれでしばらく走ってみて、場合によっては更に微調整を繰り返していくことになるだろうと思います。まあ当面、これで問題の生じる可能性は少なくなりました。やれやれ、といった感じですが、なんとかこの辺りで不運の連鎖が切れてくれれば、と祈らずにはおれません。
さて、今日は読書感想文でもまた上げてみましょう。読んだ本は滝本竜彦「NHKへようこそ!」角川文庫 です。
ところで私は、この本が一体どういう内容のものなのか、まったく予備知識なしに購入いたしました。もちろんこれが某公営放送のこととは違うだろう、という程度の察しはつけていたのですが、多分ラノベの一種なんだろう、という程度の軽い気持ちで手にしたのは間違いありません。購入したのも近所の古本屋さんに並んでいたからで、新刊で買うことはまずなかったと思うのです。
そんな気持ちで読み始めたのですが、しばらくの間は、ただ頭の中に「?」が点滅するばかりでした。すぐにこの本の内容が、いわゆる「ひきこもり」に関する本であることに気がついたのですが、同時に私は、この「ひきこもり」という現象に対する知識や理解が全くなく、何ゆえにこの小説の主人公が、薬物に逃避までして悩み、苦しみ、葛藤しているのかがわからなかったのです。いえ、読み終えた今でも、正直に申し上げて理解に苦しみます。
主人公は、三流大学を中退し、1年近くアパートの一室に逼塞する生活を送る無職の青年。一日の睡眠時間16時間。外出は週に一度、コンビニに食料とタバコを調達に行くだけ。そんな、主人公の一人称で語られる世界が、まるで異世界の出来事にしか見えませんでした。私も学生時代、休日に一日16時間くらい寝たことがあって、夜寝て起きたらやっぱり夜で、今日一日の時間はどこにいったの? としばらく眠りすぎてぼうっとした頭でその不思議な喪失感に頭を悩ましたことがありましたが、とても毎日できるものではありませんでした。それに収入は仕送りだけで、都会のアパート暮らしが継続できるというのも、ちと信じがたい話です。大体、外出が週1回でどうやって生活が成り立つのでしょう? 主人公は、死にたいと口にしつつ特に本気で死のうと思っている様子もなく、暴れるでもなく陰にこもるでもなく、ひたすら人生を薄く薄く希釈してすするようにして変化のない日々を淡々と過ごしていますけど、それで毎日が過ごせるということ自体が、私には理解を絶するお話でした。これはいわゆる仮面うつ病というジャンルの精神疾患に相当するのではないか? などと、半可通な知識でうなずいてみたりもしたのですが、それにしてもどうにも得体の知れない違和感がぬぐえません。自分がこの主人公と同じ年頃のころどうだったか、と省みてみますと、私もどちらかというとうちにこもり、他人との接触を積極的に図ろうとはしない人間だったように思います。ただ、当時の精神的なエネルギー量は相当高かったようで、部活やクラスの友人達との付き合いもほどほどにこなしつつ、日々読書と作文と写真にうつつを抜かして、その合間に学業を営む、という生活をしておりました。時間を浪費するどころか、いつも時間が足らなくて、未来のネコ型ロボットのポケットが欲しいと半ば本気で思い続けていたものでした。
多分政治家や官僚、マスコミといった社会の主翼をなしていると自負する方々も、私とはまた違った形でしょうけど、その青春時代というのはそれなりに充実したものだった人が多いんじゃないでしょうか。そしてそういう人には、なかなかこの「ひきこもり」する若者の実像は見えないのではないか、と想像します。この本を読めば、とりあえず判ったような口を利くくらいのことはできそうに感じますが、その心底を完全に理解することはかなり難しいと思いました。
さて、今日は読書感想文でもまた上げてみましょう。読んだ本は滝本竜彦「NHKへようこそ!」角川文庫 です。
ところで私は、この本が一体どういう内容のものなのか、まったく予備知識なしに購入いたしました。もちろんこれが某公営放送のこととは違うだろう、という程度の察しはつけていたのですが、多分ラノベの一種なんだろう、という程度の軽い気持ちで手にしたのは間違いありません。購入したのも近所の古本屋さんに並んでいたからで、新刊で買うことはまずなかったと思うのです。
そんな気持ちで読み始めたのですが、しばらくの間は、ただ頭の中に「?」が点滅するばかりでした。すぐにこの本の内容が、いわゆる「ひきこもり」に関する本であることに気がついたのですが、同時に私は、この「ひきこもり」という現象に対する知識や理解が全くなく、何ゆえにこの小説の主人公が、薬物に逃避までして悩み、苦しみ、葛藤しているのかがわからなかったのです。いえ、読み終えた今でも、正直に申し上げて理解に苦しみます。
主人公は、三流大学を中退し、1年近くアパートの一室に逼塞する生活を送る無職の青年。一日の睡眠時間16時間。外出は週に一度、コンビニに食料とタバコを調達に行くだけ。そんな、主人公の一人称で語られる世界が、まるで異世界の出来事にしか見えませんでした。私も学生時代、休日に一日16時間くらい寝たことがあって、夜寝て起きたらやっぱり夜で、今日一日の時間はどこにいったの? としばらく眠りすぎてぼうっとした頭でその不思議な喪失感に頭を悩ましたことがありましたが、とても毎日できるものではありませんでした。それに収入は仕送りだけで、都会のアパート暮らしが継続できるというのも、ちと信じがたい話です。大体、外出が週1回でどうやって生活が成り立つのでしょう? 主人公は、死にたいと口にしつつ特に本気で死のうと思っている様子もなく、暴れるでもなく陰にこもるでもなく、ひたすら人生を薄く薄く希釈してすするようにして変化のない日々を淡々と過ごしていますけど、それで毎日が過ごせるということ自体が、私には理解を絶するお話でした。これはいわゆる仮面うつ病というジャンルの精神疾患に相当するのではないか? などと、半可通な知識でうなずいてみたりもしたのですが、それにしてもどうにも得体の知れない違和感がぬぐえません。自分がこの主人公と同じ年頃のころどうだったか、と省みてみますと、私もどちらかというとうちにこもり、他人との接触を積極的に図ろうとはしない人間だったように思います。ただ、当時の精神的なエネルギー量は相当高かったようで、部活やクラスの友人達との付き合いもほどほどにこなしつつ、日々読書と作文と写真にうつつを抜かして、その合間に学業を営む、という生活をしておりました。時間を浪費するどころか、いつも時間が足らなくて、未来のネコ型ロボットのポケットが欲しいと半ば本気で思い続けていたものでした。
多分政治家や官僚、マスコミといった社会の主翼をなしていると自負する方々も、私とはまた違った形でしょうけど、その青春時代というのはそれなりに充実したものだった人が多いんじゃないでしょうか。そしてそういう人には、なかなかこの「ひきこもり」する若者の実像は見えないのではないか、と想像します。この本を読めば、とりあえず判ったような口を利くくらいのことはできそうに感じますが、その心底を完全に理解することはかなり難しいと思いました。