奈良市の今朝の最低気温は1.4℃、昼の最高気温は12.9℃、五條市の今朝の最低気温は−1℃、昼の最高気温は12.6℃でした。今日は午前中晴れ間もありましたが、午後は曇り、冷えた空気は数字よりも寒々しく感じられました。明日明後日は一段と冷えて、週末からは雨が続く予報が出ています。春になる前の最後の試練というところでしょうか?
さて、ここに来て少し春が足踏み状態ですが、そんな春を告げる桜について、気象庁が全国で開花状況を観測している「標本木」58本のうち、この10年で4割を代替わりさせて更新しているそうです。更新には、これまで記録を積み上げてきた桜と同じように咲くかを3年以上かけてチェックした後バトンタッチされるそうですが、それら標本の桜は北海道と沖縄を除いてソメイヨシノが使われており、樹の寿命が60ー80年程度と比較的短いために、老木化して生育状態が悪化したり、台風で大きく損傷したりすると、更新をかけて行く必要があります。それにしても、ソメイヨシノがこれほど日本各地に広がらなければ、もう少し寿命の長そうな樹種や品種が選べたようにも思います。とはいえ、今や我が国の春の風物詩として欠かせない樹がソメイヨシノですから、他の桜を選んでソメイヨシノの開花日とズレたりしては、かえって文句も出るでしょう。寿命の短さというくらいの欠点は、目を瞑らざるをえないでしょうね。我が家のあるニュータウンにも、基点のバス停近くに結構大きなソメイヨシノの樹があって毎年華麗に咲き乱れていましたが、数年前に高齢化により太い枝や幹が脆くなって倒伏の危険が増したため、市役所の手で伐採されました。周りがアスファルトで固められて土地の条件が悪いせいもあるのでしょうが、ソメイヨシノは一度弱りだすと瞬く間にあっさり枯死したりします。町中の鑑賞樹なら枯れたら残念で済みますが、標本木のような樹の維持管理は並大抵ではなく、こうした慎重で手間のかかる更新作業を積み重ねていくことで信頼性の高い記録が後世に残されていくことに繋がり、温暖化などの気象変動の傍証としても利用されたりしていくのですから、関係者の不断の努力には深甚なる敬意を覚えます。