今朝の奈良市の最低気温は−1.6℃、昼の最高気温は10.4℃、五條市の今朝の最低気温はー3.5℃、昼の最高気温は11.4℃でした。今日は朝から日没まで、よく晴れていました。天気予報では明日雨という話なのですが、それが信じられないくらい夕方まで穏やかな冬晴れの空が広がっていました。その雨ですが、奈良県ではどうやら明日午後遅くから降り出す見込みのようです。行きはともかく、帰りは傘が必須になるかもしれませんね。
さて、ネットニュースを渉猟していましたら、「太宰治を殺したのは「所得税」だった!?」というなかなかキャッチーな表題が目に入りました。文豪太宰治は人気作家として文壇に君臨する一方で自堕落で破滅的な生活を続け、最後は愛人と入水自殺を図ってこの世を去ってしまいましたが、その死因の一つに所得税があったというのです。太宰治が亡くなった年の昭和23年2月、武蔵野税務署から納税通知書が届きます。それによると、前年の所得を21万円と決定。ついては所得税約11万7千円を3月25日までに納付せよ、というような内容だったそうです。昭和23年の公務員や教員の初任給がおよそ2千円くらいだそうですから、今の金額で類推するとざっと一千万円超のお金を1ヶ月足らずで納めよ、ということですね。太宰治は入ってくる原稿料などほとんどをタバコや飲み代で使い尽くして手元にはほとんど残ってなかったらしく、この通知書を見て、もう11万円も残っていないと泣きながら「自分のように毎日、酒と煙草で莫大な税金を納めているものが、この上、税金を納めることはない」と子供のようにダダをこねるばかりだったとのこと。その後、『人間失格』の執筆に取り組んでいた太宰を税務署職員が訪れ、二人きりで何かを語り合った後の6月14日に自殺となります。ひょっとして、このとき税務署職員が、納付期限を超えているから追徴課税だと更に金額を積み上げて納税するよう迫ったりしたんでしょうか? 既に精神を病みつつあった太宰は、その圧に耐えきれず世の中に絶望して死を選んだ、ということなのでしょう。そういうことであれば「所得税」が殺した、というか税務署が殺した、ということになろうかと思います。
このエピソードを読んで、基本太宰治があまり好きではない私としては、まあ自業自得というものではないかという気もしたのですが、実は当時、確定申告という制度が無く、昭和22年の税法改正で初めて導入されました。それに則り、翌23年1月31日までに確定申告する必要があったのですが、太宰治はそれをしていなかったとのことでした。その税法改正自体太宰が知っていたのかどうかも怪しいものだと思いますが、自分たちの都合で法律を変えて押し付けてくるばかりか、周知徹底も不十分なまま守銭奴よろしく取り立てようとするという姿勢は、今も変わっていないようにも思えます。それが稀代の文筆家を殺めたと言うのなら、やはり罪深きは酷税を強いる税務署ということになるのかもしれませんね。
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