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半谷範一の「オレは大したことない奴」日記

B級自動車ライターのカオスな日常

クリストファー・チャブリス/ダニエル・シモンズ著、 『錯覚の科学』 を読みました。

2016-11-20 17:55:47 | 
クリストファー・チャブリス/ダニエル・シモンズ著、 『錯覚の科学』 (木村博江訳、文藝春秋刊) を読みました。

やはりこの本で一番ショッキングだったのは、私達が予期しない物には気付きにくい= “非注意による盲目状態” の実験に関する話です。

あるアメリカの大学で、学生にバスケットボールの試合のビデオを見せ、片方のチームがパスをする数を数えさせるという実験を行ないました。実はそのビデオには途中で試合にゴリラの着ぐるみが乱入するシーンが含まれていたのですが・・・・・・何と約半数の学生はそのゴリラの乱入に気付かなかったというのです。




また私達の記憶というのは確実なものではなく、実は後から容易に改竄されてしまう程度ものに過ぎないということを、数多くの例を挙げて証明しています。これを読むと、私達が “自分は確かに見た” という記憶どころか、 “自分が体験した” と信じている記憶ですら、全くアテにならないものだということがよく分かります。

結局の所、記憶なんて自分達の都合のいいように、後からねじ曲げられちゃっているんですね。



その他、実際には何の根拠もないよな話がなせ定説になってしまうのか?、科学的には否定されている説がなぜ広く信じられてしまうのか?、等々、今までずっと疑問に感じていた謎のいくつかが、本書を読むことによって氷解しました。正直な話、私のような仕事をしている人間にとっては、かなり耳が痛い内容も含まれていましたが・・・・・・

現実問題として、すべての錯覚を排除して正しい答えを導き出すことは容易ではありません。しかし、自分自身の記憶や判断がいかに当てにならない物かを自覚することは、正しい答えを導き出す助けとなることはあっても、決して邪魔になることはないでしょう。
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