VWニュー・ビートルRSiの車検に関するご相談で、いつもお世話になっている川口のBIS(ベスト・インポート・サービス)さんに顔を出してみました。裏の工場のほうに回ってみると、ちょうど翌日納車予定の空冷VWビートルが整備中。最近はまた空冷も増えてきましたね(笑)。ところが、下ろされているエンジンを見てビックリ。なんとエッティンガーのコンプリート・エンジン、TSV2000HSの本物だったのです!。超お宝ですよ、これは!!。
このエンジン、以前、山崎社長が某ショップにいたとき、エッティンガー社から2基輸入したコンプリート・エンジンの内の1基です。クランクはもちろんエッティンガー(オクラサ)の鍛造、フルカウンターでストロークは78.4mm。シリンダーはニカシルでボアは90.00mmなので、排気量は1995cc(メーカーのカタログでは1998cc) ということになります。
ヘッドはVWをモディファイしたものではなく、エッティンガー自身が鋳造したのデュアル・ポート。そういえば、エッティンガー社というのは、昔から “良い燃焼” にこだわるチューニングカー・メーカーでしたね。
エッティンガーが製作した当時に使用されていたキャブは、ソレックスの36-10PDSITだったはずです。しかし、さすがにそれではパワーがでないということで、デロルトのDRLA40Dに交換されていました。
クランク・ケースの下を見ると、このようなものが出っ張ってます。これはオイルの増量というよりは、横Gが掛かっているときにオイルポンプがエアを吸わないように、コレクタータンク的な役割をするんでしょうね。
このTSV2000HSエンジン、当時のメーカー公証のデータでは、圧縮比8.5:1、最高出力85PS、最高巡航速度155km/kと発表されています。もちろんもっとパワーを出すことも簡単でしょうが、そういった絶対的なパフォーマンスの向上ではなく、実用域での加速性能や乗り易さ、経済性、耐久性なども考慮した “大人の” チューニング・エンジンだったんですね。ちなみに、TVS1800HSは70PSで、150km/hと発表されています。