鈴鹿市議会議員 中西だいすけの活動日誌

鈴鹿市議会議員として年齢も含め5期目のベテランになりました。日々の活動や感じたこと、議会での動きなどをつづります。

請願第7号について②

2024年09月28日 12時32分06秒 | Weblog

請願第7号「選択的夫婦別姓制度の法制化に向けた議論を求める意見書を提出する請願書」ですが、先に結論から書くと、最終的に賛成多数で可決、意見書が提出されることとなりました。

 

その流れを書くと・・・

1)9月12日の地域福祉委員会で審査があり、賛成と反対、慎重に取り組んだほうが良いという視点などからの意見が交わされ、賛成多数で「請願の審査延長」という形で委員会の方向性が決まる。

・・・やり取りの中、通称使用に関する改修に約175億円がすでに投入されていることなどを請願者の方が答えたり、市の担当課が選択的夫婦別姓が導入された際に窓口などでどのような影響があるかは現時点でわからないなどの答弁があったりしました。「7割が賛成」という部分について、映像で聞いていましたが腹に落ちる回答はありませんでした。

※以下は9月26日の動きとなります。

2)「請願の審査延長」について9月定例議会最終日で可否が諮られ、反対多数で審査延長は否決される。(討論あり)

・・・自分はおおまかに「法務省公開の資料などを参考にした議論をするべき、事実婚が非婚化や少子化に関連するというのであれば、その出典も含め検討すべきで、そのためにも審査延長に賛成する。」で討論しました。

3)否決されたことにより、即座に地域福祉委員会が開かれ、再度請願が審査される。

・・・開始時点では、採択に賛成の議員からも本会議で討論するスタンスで臨まれていたようですが、市民の声・藤井議員の意見を皮切りに、それぞれの考えを述べる形になりました。その中で自民党鈴鹿市議団・宮木議員が、これまで10年以上鈴鹿市議会で議論されていないものを、あわてて通そうとすることに異論を述べられました。また、話が動き出してから延長に賛成する討論で私が提議した「7割が賛成」の部分について、首長対象のアンケートなどでも出ているといった回答で、法務省の内容を取りあげての賛成派の議員の説明はありませんでしたし、「事実婚が非婚化や少子化に関連する」ということについての出典などの議論はありませんでした。実際に傍聴していたのですが、正直な感想は「議論の不足は明らかだ」ということでした。

4)地域福祉委員会で、委員の賛否が同数となり、委員長が採決に加わり賛成と意思表明され、賛成4:反対3で採択として可決される。これにより、賛成議員のみで意見書案が作成される。

5)再度本会議で請願の採択について諮られ、賛成多数で採択となる。(討論あり)

・・・討論の最後に立ち、請願に反対で意見を述べました。討論で、無所属・矢田議員が子どものことに関する疑問があるという趣旨で反対され、自分も取り上げる考えだったので「審査延長の際に取り上げられたことが議論されていなかったなどの議論の不足、子どもに関する議論も薄い。」という内容で意見を述べました。その際、法務省の資料から引用(画像)したのですが、“「夫婦の姓が異なることによる、子への影響に関する意識とのクロス分析」で、割合ではなく実数で見ると、選択的夫婦別姓の導入の立場の人数はそれぞれ約400人(影響ある=約374人:影響はない=約456人)であり議論が必要”と述べました。

6)意見書案が紹介議員から提示され、質疑が行われる。

・・・提示された案には「~非婚化や少子化につながっている。」と言い切る形での文面があったので、その根拠などについて確認の質疑をしたのですが、説明議員(紹介議員)からの明確な回答はなく、意見書は“鈴鹿市議会”が国に出すもので、そこで扱う文言は軽いものではないと自分は考えていますので、修正するという考えも見られなかったため、非常に残念な思いを持ちました。

7)意見書案について賛否が諮られ、賛成多数で可決となる。

・・・ここに至るまでの流れと、意見書案に対する質疑への対応の件もあり、討論は行わず反対しました。

となります。※議決にあたって【多数】となっていますが、賛否それぞれ大きな差という状況ではありませんでした。

 

最後に・・・

この流れのなか、9月12日から26日の間で、この請願を9月定例議会で決着をつけるという動きがあったようです。自分は紹介議員と話をした際、①のブログの画像で言えば42.2%の「旧姓の通称使用の制度を設ける。」の立場で、短期間では判断しきれない旨も含めて、自分の考えを誠実にお話をさせて頂きました。

そして本来であれば、この42.2%の共感や理解を深め制度改正の機運を醸成することが大切だと思うのですが、今回の件からは正直なところ、そこが軽視されているように思わされます。制度を変えるということは、それを求める人たちだけではなく、これまでの制度で不都合を感じていない人も巻き込むことになります。ですから、議員はより慎重に考えるべきではないでしょうか。

また何らかの形で社会のあり方にも影響が出るでしょう。もし良くない方向に動いたときどうするのか、そこも議員はしっかり考えなければいけないと思います。国に議論を求めることだから、意見を出したら国で考えてもらえばいいとしてしまうのなら、地方議会議員の存在意義が問われると思います。

そんなこんなをいろいろ考えると、悶々とした気持ちや、やるせない気持ちにも包まれてしまうのです。

 

 

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請願第7号について①

2024年09月28日 00時32分33秒 | Weblog

昨日は鈴鹿市議会9月定例議会最終日、議案と請願についての採決がありました。議案は全議案賛成でしたが、請願のほうでいろいろとありました。それが請願第7号「選択的夫婦別姓制度の法制化に向けた議論を求める意見書を提出する請願書」です。

自分の考えを端的に書くと「選択的夫婦別姓については、そうしたい方ができればよいと考える。通称使用が拡大されているのでその方向でどうかと考える」という視点があり、その立場から考えました。

ちなみに国では法務省のサイトから引用しますが 政府としては、女性活躍の推進等の観点から、旧姓の通称としての使用拡大に向けて取り組んできたところであり、令和元年からは、マイナンバーカードや運転免許等において旧姓併記が可能となっております。」となっています。

そのためこの請願については、提出された当初から判断は難しいところになるだろうなと考えていて、所管の地域福祉委員会委員ではありませんでしたが、かなり時間を割いて資料や関連サイトなどに目を通しました。わかりやすいところで次の二つを紹介します。

■法務省:選択的夫婦別氏制度(いわゆる選択的夫婦別姓制度)について

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji36.html#Q10

■選択的夫婦別姓・全国陳情アクション

https://chinjyo-action.com/

そこで、サイトに書かれていることを読みながら、関連することなどを検索して読んでいった結果、9月定例議会という短期間では判断しかねるということに至りました。理由はいろいろありますが、ひとつに、今回の請願までに鈴鹿市議会の一般質問や委員会などでも取り上げられてきておらず、議員間の議論が圧倒的に不足していることもあり、請願については審査を延長して議論を行ったほうが良いと考えました。

選択夫婦別姓の制度化を求める方々の請願ですので、いろいろと気になる点はありましたが、地域福祉委員会での議論を前に、もし自分がこの定例議会で賛同するのであればという視点から論点を抽出、会派内で私の考えを共有させて頂きました。

それを書きだすと・・・

① 第5次男女共同参画基本計画の第9分野(2)のイの②に、「子どもへの影響や最善の利益を考える視点も十分に考慮し、国民各層の意見や国会における議論の動向を注視しながら、司法の判断も踏まえ、さらなる検討を進める。」とあるのですが、それに対する考えは?

(参考)https://www.gender.go.jp/about_danjo/basic_plans/5th/pdf/2-09.pdf

 

② 3段落目、「また事実婚の増加は、少子化や人口減少との関連も指摘されており、社会的な問題とも深くつながっています。」について、根拠となる資料や出典はあるのか。

 

③ 4段落目、「さらに経団連等複数の経済団体も、旧姓の通称使用はビジネス上のリスクであり、また日本の国際競争力の障壁にもあるとして、」との一文について、参考の経済同友会の要望では「旧姓の通称使用は国際的には安全保障上のリスク要因になり得ることから、グローバル化に対応した政策とは言えません。」とあることから、推進するにあたって“通称制度”そのものをどう考えるのかの疑問。

(参考)https://www.doyukai.or.jp/policyproposals/2023/240308.html

 

④ 5段落目、「世論調査によれば現在では国民の7割が選択的夫婦別姓制度に賛成している」とあることについて、データの出典はどこからなのか。

(参考)法務省民事局「夫婦の氏に関する調査結果の整理」:https://www.moj.go.jp/content/001373638.pdf

 

⑤ また「私たちの団体は、~」とあることについて、請願者は個人名であり、どのような団体なのか。

でした。

 

④に関連するのですが、メディアによる世論調査は客観的であるように見えて、世論誘導的な側面が強い場合もあると考えています。実際に今回いくつかのメディア記事を読みましたが、それぞれのメディアによって違いがありました。

また(参考)法務省民事局「夫婦の氏に関する調査結果の整理」を見ると、次の画像のように出ていました。この情報を見ると、7割が賛成とすることはいかがなものかと考えますし、「旧姓の通称使用の法制度を設ける」とする人が42.2%を占めていることを考えても、議論からその人たちを抜いて進めることは乱暴なことではないかと考えます。

そして制度を変えることで、どのような影響が日本社会に考えられるか、戸籍などもそうですが行政のシステム改修などにどれだけかかるのか、鈴鹿市政ではどうなのかなども気になるところでした。

→ ②に続く

 

※追 記※

それと補足ですが、能登地震と能登豪雨のことを考えると、二政党の総裁と代表選挙のニュースが報道され始めたころ、メディアが争点として、選択的夫婦別姓を取りあげていたことには、少し違和感を感じていました。いまの世の中を考えれば、能登のことはもちろんですが想定される自然災害への備えやもしもの際の考え、日本の近隣国の動向に対してどのような考えを持って対応するのか、人口減少下でどのような考えを持って臨むのかなど、ある意味喫緊で大きな課題があり、それは地方公共団体などでも同じですし、市民・国民も同じではないでしょうか。能登の状況は、これまでの考えでは対応しきれない、考え方を大きく転換する必要があるように思います。ですが、メディアが真剣に考えて報道したりしているようには感じられません。

 

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