鈴鹿市議会議員 中西だいすけの活動日誌

鈴鹿市議会議員として年齢も含め5期目のベテランになりました。日々の活動や感じたこと、議会での動きなどをつづります。

災害への備えについて⑵

2019年01月22日 19時12分48秒 | Weblog
前回から引き続き、では、鈴鹿市はどのように南海トラフ地震や気候変動での極端な気候現象による災害リスクに、どのように備えるべきかということについて、自分の考えを述べます。

端的にいうと、被害を受けないようにという発想や、被害から逃げるという発想だけではなく、被害を受けた時に私たちはどうするのかという〝事前復興〟の発想から考えることに取り組むべきだと考えています。その時、別のリスクである人口減少と、それによるスポンジ化の影響を勘案することが必要だと思います。

想定される最大規模の南海トラフ地震では、津波だけでなく液状化や河川堤防などへのダメージも想定されます。もし、津波の被害を受けるとすれば、相当に甚大な被害は想定のうちにはいるでしょうし、液状化についても想定に入れるべきです。
ただ、プレートの動きが影響していることを考えると、発生後に相当規模の地震が頻発することは予想されますし、それは内陸部も含めいろいろなことが想定されます。被災リスクとしては、主なもので、津波、液状化、揺れによる被害、火災といった点から、被害規模などを想定することができると思います。一度大きなエネルギーが解放されると、同じ場所で同じことが起きる可能性は低いと考えられるかもしれません。
と書きながらも、地学的なリスクは絶対に安心であったり、完全に予測できるものではないと考えています。

気候変動によっては、線状降水帯などによる極端な降雨による洪水や内水氾濫、超大型した台風による暴風や高潮、竜巻などの発生が増えるなどが考えられます。その中には、降雨が極端に少なくなり、乾燥や干ばつによる影響、高温の影響もありますが、ここでは降雨や台風の部分に着目します。
超大型の台風による被害が津波に劣らず甚大であることは、日本だけでなくアメリカなどでもみられていることですし、強風による被害も甚大であることは事実と考えるべきです。また、偏西風などの流れが変わることや、海水温が高くなることで、日本では豪雨に見舞われることが多くなっていると思います。
このような気候変動による影響は、今後毎年のように起こる可能性が高いと考えるべきですし、もしかすると、一年のうちに何度も見舞われる可能性もあると考えるべきだと思います。

これらのリスクを別に考えるのではなく、どちらも重ね合わせて考えると、特に海岸線部においては従来の発想からの転換が求められると思いますし、どのようにして社会的な損失を減らしつつ、次の世代に向けて持続的な社会として繋いで行くかを考えると、どこかの時点で、価値観の大きな転換が求められる可能性が高いと考えます。

このような災害リスクにどう向かい合っていくのかについて、宮城県岩沼市の集団移転事業と名取市の震災復興計画の取り組みを視察させて頂いたことから考えると、少しでも早い段階から、住民によるリスクマネジメントの話し合いをすることから始めることが大切だと思います。そのために、被害を受けないようにするという発想からではなく、被害を受けたとしてということを起点にして、避難生活のあり方を考えることから取り掛かり、その後の復興のあり方を考えることにつなげ、そうして今の取り組みを考えることが、遠回りのようで、実はもしもの際にいち早く動くことのできる最短の手法と考えます。

また、復興の発想に関しては、人口減少による街のスポンジ化にどう向かい合うかという視点を組み入れることで、リスクについて考えることになるのですが、実はその中に持続的に街をつなげるチャンスを見出せることができると思いますし、そのために1つの手法ではないかと考えます。

鈴鹿市でも地区別防災計画の策定という課題がありますが、年配の方々ばかりの参画に頼って計画策定に取り組むのではなく、若い世代の参画を進めながら、防災だけでなく長い時間の視点からの減災という視点から、身近なリスク低減を考えるべきと考えています。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

災害への備えについて

2019年01月20日 16時50分41秒 | Weblog

統一地方選挙が近くなり、災害への備えも話題に上ることが多くなっています。そのほとんどは、想定される南海トラフ地震に対してどう備えるかという観点で、対策として防波堤であったり、津波避難ビルや命山などの避難場所の確保といったことかと思います。
そのようなことを考えることは大切と思いますし、否定をするものではありません。しかし、これから先、何十年という時間を見通して考える時、あまり今の考えにとらわれすぎては、より柔軟に災害に備えることが難しくなってしまうように思います。

災害との関係では、まだ異常気象や極端な気象現象程度でしか、市のレベルでは捉えられていないように感じますが、気候変動の影響とそのリスクについても、看過できない災害リスクと考えます。過去二回、この点について一般質問を行なっているのですが、南海トラフ地震と津波ほどには、まだリスク要因として認知されていないように思います。

これらの災害リスクに備えるには、科学的な知見などから、落ち着いて想定される災害とそのリスク、発生の可能性も議論した上で、政策の議論を行うことも大切だと思います。今の時代は、特にインターネットが広がり、通信機器にも高性能なカメラが付属していることが当たり前になった時代、映像の情報が膨大になっています。そのような映像は、直接的に人の心に訴える力が強く、それにより、科学的な知見からの判断を遮断しかねない可能性も高いと思います。だからこそ、政治の世界は科学的な議論も行うことが必要と思います。

そのためには、扇情的な報道が多くなりがちな国内メディアの報道ばかりでなく、世界の動向といったことをニュースなどで取り入れつつ、同時に科学番組などの知見を合わせながら、インターネット上にある情報を調べるといった、ある意味で当たり前のことをすべきなのでしょう。そして、専門家の話はもちろんですが、自分の頭で考えることも大切だと思います。

津波についてですが、東日本大震災での津波と実際の被害を映像で見たことから、津波対策について語られていることが多くはないでしょうか。日本で起こったからそのような反応になっているのでしょうが、実際は過去の津波による被害は日本各地で存在していましたし、海外でも被害が出ているはずです。そのようなことは、きちんと振り返られているでしょうか。

東海地震、南海トラフ地震が大規模なものであることは、かなり過去から言われていたのではないでしょうか。また、現代社会で津波被害を受けた時のダメージは、インドネシアのスマトラ沖地震で、各地の数多くの映像が残されており、すでにわかっていたことではないでしょうか。この2つを合わせれば、東日本大震災以降でなくとも、津波のリスクにどう備えるかは課題だということがわかっていたのではないでしょうか。自分はリスクだと考えていました。
国や県などは、インドネシアの時点で全国的に見直しを図っていれば、海岸線の対策はもっと進んでいるでしょうし、もしかすると、福島第一原発の事故も起きていなかったかもしれないと思います。

そのようなことから考えると、今、津波対策ということで議会などで言われている対策は、インドネシアの地震の時点での話ではないかと考えますし、この議論のままでは、将来に向けての政策が進めにくくなるのではないかと危惧します。東日本大震災の津波では、人間の行うことをたやすく自然は超えること、一旦被害を受けると、そこから立ち直るための経済、社会的エネルギーは膨大にかかり、金額的にも相当かかること、被害を受けると、個人生活にも大きくのしかかること、そのようなことが私たちに突きつけられたのだと思います。
津波被害で考えると、仮に津波による被害に対して、津波避難ビルや避難タワーなどが機能したとしても、助かった後、津波による流失で失った財産は戻らないでしょうし、また同じ場所に住むことが妥当なのかという議論は避けられないでしょう。

気候変動についてですが、ここ10年ほどの間、名称が付与される豪雨などの気象災害がほぼ毎年起こっています。毎年、異常気象という言葉で取り上げられていますが、地球温暖化の影響なども含めて、気候変動による気象の変化と極端化が起こっていると考えるべきと、私は思います。その動きは、国で気候変動法が制定されたり、持続可能な開発目標SDGS でも目標の1つに掲げられていることからも、重要度は増しています。

二酸化炭素の排出量を、これまで考えられてきたよりも抑制しようと動きがありますが、しかし、そのような効果はすぐに出るわけではなく、相当年数、影響があるだろうと考えられます。つまり、極端な豪雨や超大型台風の上陸は、今後、毎年のようにあり得ると容易に想定できます。
また、海水面の上昇が南太平洋の島嶼諸国で深刻な影響を与えていることも事実ですし、世界の多くの地域で海岸線の後退が進んでいたりします。それだけでなく、極端な気象がヨーロッパやアメリカでも洪水を引き起こしていますし、逆に乾燥することで大きな山火事の要因になったり、熱波を招くなどの影響がどんどんと増えています。そしてこのような気候変動は、その影響を農業や漁業にも与えていきます。

そして重要なことは、気候変動そのものは、過去から頻発しているもので、地球全体が寒冷化する中での影響であったり、おそらく温暖な気候になるものであったり、私たちの生活リスクとして特別なものではないと考えられることです。それがたまたま、この100年ほどはほどほどの変化の中にいたことで、私たちはその状態が当然と考えながら、今の社会を形成していることになり、大きな災害が起こると脆い状態になっていると考えられます。そもそも海水面も、縄文期や平安期にも海進という形で起こっています。ということは、今後、海水面の上昇が想定されるということです。
参考:縄文海進Wikipedia より

ということは、気候変動に対する備えについて、ここ100年程度の考えの延長ではなく、過去に遡って考えられるリスクから、これからの対応を考える必要が出てくると考えるべきです。海水面の上昇と超巨大台風が重なるということは、暴風だけでなく、高潮の被害も甚大になると考えるべきです。この点も、すでにアメリカでのハリケーン「カトリーナ」の被害をはじめとして、昨年の大阪湾での高潮被害を考えれば、決して想定外のことではありません。
社会を柔軟に適応していくという考えを持つべきなのだと考えています。

津波と気候変動、この2つの災害のリスクを低減し、もし何かあった時に、社会のリカバリーを早くしようとするには、私たちのこれまでの常識を見直す必要に迫られると考えています。また、人口減少という社会変動の津波も同時進行で、私たちは直面することになりますから、その緊急度は上がっているのではないでしょうか。これからの災害への備えを考える時、考えられるリスクをすべて考え出し、それらを議論の俎上に載せて、特に若い世代を中心に対応策を考えることが必要だと思います。
その議論から政策を考えることが、いま、議会に問われている災害への備えだと思います。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

あけましておめでとうございます

2019年01月08日 00時19分45秒 | Weblog
タイトルに明けましておめでとうございますと書いているものの、もう新年は1週間が過ぎ、いろいろと活動しているところです。

新年に自治会総会が行われる地区がいくつもあるのですが、今年の挨拶では「気候変動」と「市財政の厳しさ」をポイントに挙げ、世の中はまだまだ動く時期ということと合わせて、議会としてがんばるということを含めさせて頂いています。

気候変動について、人間活動の拡大による温暖化に関係するガスの放出の影響により、気候の不安定化は避けられないだろうと考えています。10年ほど前から、局地的な豪雨による土砂崩れや洪水などの被害は頻発していますし、昨年は日本を東から西に横断する台風や、鈴鹿市にも大きな停電被害をもたらした台風、その少し後に、伊勢湾台風と同様な高潮が想定された台風など、環境省から出されている気候変動への適応計画などで示されている状況が現実に起こっています。このような状況は、今年も想定しておくべきですし、これまで鈴鹿市では被害が少なかったものの、大規模な被害も起こり得ることを想定しておくべきと考えています。
このことについては、今期、二回、一般質問で取り上げながら、環境部や危機管理部とやり取りをしてきているところです。

市財政の厳しさについて、平成29年一般会計決算の審査において、約622億円の歳出のうち、鈴鹿市が独自に使えた金額(政策的経費)は約23億円で、10年前の約50億円から半減していることが、行政の答弁に出ました。この金額については、国や県からお金(補助金など)を持ってくることはできないもので、よく国や県からお金をという話をお聞きするのですが、それは特定財源の部分に入るもので基本的に使い道が決まっていて、市が独自で使えるものではないのです。
これから学校などの改修が山積していますし、将来のリスクを考えれば、安穏としていられないと考えています。
このことについては、福岡市の今岡さんの財政講座とSIM2030を受講し、それをインターン生に実践するなどして、政策経営部と何度も話をしてきているところです。

このようなことに、議会が議論をもって行政と取り組むことが、今年はより重要になると考えます。

これらだけでなく、年末から年始にかけて、環太平洋火山帯に関係する地域で火山噴火や地震が活発なことから、南海トラフ関連をはじめとした地震のリスクは、今年もますます高いものだと言えますし、海外の動向も、非常に不安定さを増す気配がしていると思っています。自然と社会の変動に備える意識を、自治体は高く持っておくべきだと思っています。

自分自身も、学ぶことと考えることをやめず、子供にツケをまわさない意識、子ども達に持続的な社会をつなげる意識で、姿勢に取り組む思いを新たにしています。

今年は統一地方選挙、参議院選挙と政治も変動の時期ですが、変わらぬご理解をよろしくお願いいたします。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする