昨日閉会した鈴鹿市議会9月定例会の議案討論について、討論の流れを文面にしたものを書き写します。討論については、直前に討論を行った議員の意見などを交えたり、自分なりに言葉を再整理したりしているので、必ずしもこの文面のままではないことをご理解ください。
討論での論点は、公共施設の維持更新の課題が鈴鹿市にとって大きな課題であること、放課後児童クラブについて条例制定を受けてそのあり方の根本的な見直し、次年度予算編成で財政規律を緩めないようにすべき、次年度予算で教育費増額、学校図書館へのICT機器整備、などとなっています。
文章が稚拙でお恥ずかしいですが、一読頂ければと思います。
*****9月議案討論*****
私は今定例会に提出された全議案に賛成の立場をとりますが、複数議案について意見を付与するものです。
議案33号 平成26年度鈴鹿市一般会計補正予算について、必要な施策への対応ということで妥当な予算と了解しますが、いくつか意見します。
まず鈴鹿市にとって、公共施設の維持更新が大きな課題と、市長をはじめとして執行部は意識を新たにすべきという点を意見します。
ひとつは、小学校つり天井改修と第二学校給食センター施設整備に関する補正の理由となっている資材価格と労務単価の上昇という点について、東日本大震災の復興事業の推進、東京オリンピックをはじめとした大都市圏での再開発などの投資、三重県においても平成33年の国体に向けて平成30年のインターハイも含めた各市町での施設改修など、まだまだ上昇の要素が多く、今後の鈴鹿市における公共施設維持更新に大きな影響があることを今回の補正で十分に認識し、施設マネジメントに活かすべきです。
ふたつめに、小学校1校と中学校1校のプール施設の維持修繕についてFRP素材で補修を行い、その耐用年数は基本10年で、20年ほどは持つと考えるという答弁がありましたが、FRPには廃棄物としても資源としての再利用のあり方についても、まだ多くの課題があることを踏まえるべきです。今後も多くの学校プールに補修が必要になることは間違いのないところで、維持修繕の方法だけでなく環境問題としても、現在のところ年間2か月しか稼働しないプール施設について、今回の補正予算を機にその維持と更新のあり方について根本的な議論を行うべきです。
三つめに、放課後児童健全育成施設整備費について、学童クラブかわたろうの施設整備計画についての補正予算ですが、今後、他地区の学童施設の改修にあたっては、学校施設の使用を前提にしながら、施設のマネジメントを行うべきということを意見として付与します。
次に教育情報化推進費について、児童用タブレット型パソコン導入に伴い教育用パソコンの教職員用への転用と、あわせて新規に校務用パソコンを導入するという、その趣旨は賛同するものですが、導入にあたって若干懸念があり、その対応を慎重にすべきと意見します。
懸念する点は、インターネットとメールの設定という点です。この点については、教育委員会内で情報セキュリティについての対応、運用指針や情報保護の指針の策定、担当部門の設置などの体制がまだ整っておらず、外部接続を行うことにリスクがあると考えます。よって、現時点ではワードやエクセル、パワーポイントを使用できるようにだけとどめ、平成27年度予算に向けて教育委員会内体制の整備と各種指針の整備を行ったうえで、インターネットやメールなど外部接続を行うようにすべきです。
次に議案38号鈴鹿市放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準を定める条例について、これまで行ってきたものを国の基準を参酌しながら条文として整理したものであり、今議案には賛成するものです。
今定例会において議案質疑と一般質問を行いそこで論点として、保護者主体の運営委員会を条例で定義する放課後児童健全育成事業者として考えて良いのかという課題、放課後児童支援員の雇用形態と運営についての課題、施設の維持更新の課題を取り上げ、市としてもその認識を持っていることを確認しました。それらを総合すると、やはり鈴鹿市は放課後児童クラブの運営のあり方はもちろん、子供たちの放課後の居場所のあり方などの考え方を抜本的に改革すべきで、真摯な対応を求めるものです。
次、第二学校給食センターに関係する議案41号、43号、44号について意見します。
41号はセンター建築工事で資材と労務単価の上昇により3781万2960円の契約変更を行う内容ですが、これをひとつの機会に、学校を始めとした公共施設の課題は自分ごとであることを子育て世代にもしっかり伝わるように、市報などで説明を行うべきです。
43号は食器等の購入、44号は食缶等の購入で、あわせて5619万4560円ですが、汎用品での購入や市内業者参入を意識したことは評価できます。一方で、食器などは約5年で更新されるものであり、応分のコストがかかることを明らかにするべきです。
来年の中学校給食実施にあたっては、用地取得、建築、学校改修、食器購入などと年間の運営もあわせ、年間どれだけの税が投入されるか、1食あたりの税支援額もふくめ、3月の市報などで公表することを提案します。
次、議案48号 平成25年度鈴鹿市一般会計決算の認定にあたって、監査委員による決算審査意見書のむすびに「本市の財政状況は厳しい状況にあり、今後も厳しい財政運営が続くものと考えられる。」という点と扶助費が増大傾向で「財政運営の硬直化が懸念される」という点、「将来に向けて持続的な財政運営が行われることを望むものである。」とありますが、次年度予算編成においてはこれらの点を押さえ、財政規律を緩めることがないようにすべきです。
また、国の財政も歳出が歳入の2倍近くとなっており、その差額は赤字国債の発行で賄っていることや、国際的な状況がより一層不安定さを見せている状況など、自治体としての自己責任が問われていることも忘れるべきではありません。
特に鈴鹿市は現在、次期の中長期計画の策定中であること、都市マスタープランの見直し過程であること、固定資産台帳作成や施設とインフラマネジメントに取り組んでいる途中であることを考えると、それらが整理されていない中で闇雲な投資を行うことは、将来に大きな財政リスクとなる可能性が大きいという点を忘れるべきでありません。それらの計画策定を最優先にし、市民も含め全市的に情報と課題を共有した上で、取り組むべき事業を選択すべきです。持続的な地域社会運営、自治体の持続的運営が大切であり、政治的な意図で財政規律のたがを外すことは慎むべきです。今回の決算審査から、鈴鹿市も和光市や多治見市などのように、財政規律を守るための条例の制定を検討すべきと意見します。
また、執行部から議会に提出されている決算書などの資料や情報について、審査のために充分な情報とは言い難く、予算時に配布されるようになった事項別明細書ともあわせ、行政評価と連動した資料と情報を市民にも同時に公開する取り組みを進めるべきと意見します。
鈴鹿市行政にとっても議会は重要です。各種資料やデータをデジタルデータとして配布することを進め、本会議場と委員会室において執行部もパソコンなどの使用を推進するよう、積極的にICT機器を執行部も活用するよう次年度予算に必要予算を計上すべきです。また、執行部においてもこれまで以上に、議場でのやり取りを視覚や聴覚などに障がいを持つ方にもわかりやすいものとすることを意識するよう求めます。
土木費において、現在取り組んでいる市道1・2級路線のアセットマネジメントだけでなく、それ以外の市道の維持と更新のあり方について、次年度で検討に取り組むべきと意見します。
教育費について、次年度に向けて子どもたちに対する様々な教育カリキュラムやメニューの拡充、保護者の収入に左右されず学びの機会が得られるように、放課後を活用した補習授業の充実や支援メニューの充実、また文化やスポーツなどのメニューを充実させるなどのために、鈴鹿市は教育予算を増やすべきと意見します。
特に次年度においては、学校図書館を情報拠点としてだけではなく、多様な学びや活動の拠点とするための整備に力を入れるべきです。具体的には、すべての学校図書館に電子黒板とパソコンを整備し、調べ学習はもちろんその発表のための資料作りに活用できるようにすべきです。その際、中学校図書館に配備するパソコンについては、一般的に印刷データを作成する際に用いられている編集ソフトを導入するなど、キャリア形成の一環となるように配慮するべきです。
その他、行政情報のオープンデータ化の推進と合わせ、行政内部でもそれらを組み合わせて市民にとって価値の高いものとする取り組みを推進すべきです。例えば、水道局のもつ埋設水道管の情報と、消防が消火活動で使用する消火栓などの情報を組み合わせることで、火災が発生した際ににごり水が予測される地域を、ネット上で一刻もはやく情報提供することを検討できるでしょう。このように多様な行政情報の組み合わせから、鈴鹿市は市政情報提供について新しい価値の創造に取り組むべきと意見します。
ふるさと納税について、特産品を活用した推進も重要な視点と考えますが、やはり、もともとの主旨に立ち戻り、鈴鹿市として魅力的な政策提案を行い、その実施について市外在住の方々に支援を求めることの意義を考え取り組むべきです。
次年度からは第二学校給食センターが稼働されることになり、中学校給食実施に関わる経費が経常的な経費として増加し、財政運営がより難しくなることが想定されます。市税など自主的な財源についてこれまで以上の増収が見込みにくい中で、予算を拡充するためには、より戦略的な視点で施策の精査と取捨選択を行う必要があることを意識すべきです。