第七波といわれるようになってから連日、朝も昼も夜も、テレビや新聞のような既存メディアはもちろん、ネットニュースなどの形でも、感染者数と表現されている検査による陽性反応者数がこれまでにない人数で出ているということであったり、死者数も増加しているということが流れています。
ただ、それらの数字は総数だけが報じられていて、その内訳や内容についての情報がないままではないでしょうか。あってもそれは気づきにくいように思います。
例えば、8月19日付のある新聞の朝刊で「新型コロナ4642人が感染 三重県内最多を更新、死者5人」という見出しの記事がありました。記事も読んだのですが、感染者の症状がどのような状況や割合なのかは書かれていません。また、死者数については5人のうち3人の方が新型コロナが死因と書かれていて2人の方は違うようです。であれば、見出しの死者数は3人とするべきじゃないでしょうか。
連日の報道の中で、私たちも見出しのような感覚でとらえてしまっていて、他の状況や可能性を考えにくくなっていないかと危惧します。感染して発症する人が多くなれば重症化する人も増え、結果として死者数の増加につながることはわかります。ですが、それだけに目を向けているだけでいいのでしょうか。
そこで、ワクチンとの関係も取り上げられるところなので、30代以下の新型コロナによる死者数と、令和3年中の自殺による死者数から考えたいと思います。取り上げる資料は、いずれも厚生労働省や警察庁が公開しているものになります。
●新型コロナウイルス感染症の国内発生動向(2022年8月16日)
https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/000977136.pdf
新型コロナの国内発生動向の資料を見ると、2020年1月15日以降これまで約2年半の死亡者の類型総数は3万5394人です。そのうち、30代以下でお亡くなりになられた方は、この資料から読み取ると合計で203人です。
一方、自殺状況についての資料を見ると、令和3年の自殺者数は総数で2万1007人、うち0歳から39歳の合計は5914人です。
亡くなられた方や、そのご家族の方にとっては、数字で判断されるものではないと思いますし、どちらも重い数字だと思います。
ですが、ニュースで自殺者数が取り上げられていないわけではありませんが、新型コロナの情報と比べてどうでしょうか、圧倒的に少ないと思います。なかでも、数字に見える状況でどちらが若い世代に深刻なのかといえば、自殺ではないでしょうか?ですが、私たちはどちらが問題だと考えているでしょうか。
新型コロナが課題であることは否定しません。しかし、連日流される情報は、果たしてどのような影響を若い世代に与えているでしょう。閉塞感やあきらめ、自暴自棄な感覚さえ与えてはいないでしょうか。それを考えることはあるでしょうか、メディアはしているでしょうか。
煽りたてる新型コロナ報道によって、若い世代で生きる気力や活力がそがれてしまっているとすれば、そのような報道は新型コロナウイルスと何が違うのでしょうか。そう考えると、報道によって私たちは心の健康を蝕まれているかもしれないと感じます。