先月下旬、北九州市立美術館(本館)で開催中の「スイス プチ・パレ美術館展~ルノワール、ユトリロから藤田嗣治まで」を観にいきました。4月22日に始まったこの展覧会は、6月18日(日)まで行われています。
スイスのプチ・パレ美術館は、チュニジア出身の実業家オスカー・ゲーズ氏が1968年ジュネーヴに創立した美術館で、19世紀後半から20世紀前半のフランス近代絵画を主体に所蔵しています。1998年、ゲーズ氏が亡くなった以降は休館となり一般公開はしていませんが、世界各地の展覧会に出品協力を続けています。日本での展示はおよそ30年ぶりだそうです。
エントランスホール。写真の右側にチケットカウンターやオフィス。正面は、この美術館のコレクション展示室(常設展)に続く階段です。
プチ・パレ美術館展は上の写真の左側、企画展示室B(第1章~第4章)及び企画展示室A(第5章~第6章)で行われています。
ホールから企画展示室Bに向かう通路には、その時々の展覧会の主要な絵画がタペストリーにして飾られており、ここだけが写真撮影OKとなっています。
ギュスターヴ・カイユボット《子どものモーリス・ユゴーの肖像》1885年
レースのワンピースを着た赤ちゃん。女の子のように見えますが、実は男の子なんです。この絵が描かれた当時は幼児期の男子の生存率が低かったため、フランス上流階級では敢えて女の子の服を着せ、無事に育つことを願ったのだそうです。
ラウル・デュフィ《マルセイユの市場》 1903年
モーリス・ユトリロ《ノートル=ダム》1917年
エコール・ド・パリを代表する画家の一人、ユトリロ。この絵は、大聖堂を真正面から骨太に描いています。
この展覧会では、恋多き女だったと言われるユトリロの母、シュザンヌ・ヴァラドンの絵も展示されており、図らずも親子画家の競演を観ることができました。
モーリス・ドニ《休暇中の宿題》1906年
この通路の広い窓から見える北九州市街と野外彫刻。
戸畑区と八幡東区が接する丘陵地に建つ市立美術館。以前も書きましたが、建築界のノーベル賞ともいわれる『プリツカー賞』を受賞した建築家、磯崎新氏により昭和49年(1974)に竣工しました。カテドラル(聖堂)をイメージして設計されたものですが、市街を見渡す小高い丘の上に建つ印象的な外観から「丘の上の双眼鏡」という愛称が付けられています。
双眼鏡から見えるのはこんな風景。
市立美術館周辺は、彫刻広場・屋外展示場・遊歩道などが「美術の森公園」として整備され、市民の散歩やジョギングコースとしても親しまれています。
厚地正信《4つの四角なオベリスク》
三谷慎《抱擁》
フランク・ステラ《八幡ワークス》
この作品は、リサイクルをテーマにした「第2回国債鉄鋼彫刻シンポジウム '93北九州」に参加したアメリカの現代美術家フランク・ステラ氏が北九州市民のために制作した作品です。
絵葉書を2枚買って帰りました。1枚は、リーフレットに使われたオーギュスト・ルノワール《詩人アリス・ヴァリエール=メルツバッハの肖像》。ルノワール晩年の作品で、リウマチ療養中だったこともあり当初は乗り気ではなかったものの、詩人の美しい髪に惹かれて肖像画の依頼を引き受けたとされています。
もう一枚はモーリス・ユトリロ《ノートルダム》。ユトリロは、生まれ育ったパリ・モンマルトルの通りや狭い路地などの風景を好んで描きました。私も、久留米の石橋美術館(当時。今は久留米市美術館)、パリ・オランジュリー美術館、モスクワ・プーシキン美術館などでユトリロの絵を観て、抑えめな色調でちょっと物憂げながらも、独特のタッチに惹かれたことを憶えています。
ユトリロの絵と近いアングルから撮ったノートルダム大聖堂(2014年撮影)。大聖堂は、2019年4月に起きた火災により大きな被害を受けましたが、来年12月の一般開放を目指して本格的な再建工事が進められているそうです。
そんなユトリロが、モンマルトルの古くからの急こう配の道、モン=スニ通りを描いた《モンマルトル モン・スニ通り》(プーシキン美術館ヨーロッパコレクション部所蔵)。
こちらは、同じモン=スニ通りの一角の人の往来を描いた《ラ・メゾン・ベルノ La Maison Bernot》(オランジュリー美術館所蔵)。
北九州市立美術館、次の催しは「アルフォンス・ミュシャ展~アールヌーヴォーの華」です。会期は7月15日(土)~8月27日(日)。リバーウォーク4・5階の分館で行われます。こちらも楽しみです。
スイスのプチ・パレ美術館は、チュニジア出身の実業家オスカー・ゲーズ氏が1968年ジュネーヴに創立した美術館で、19世紀後半から20世紀前半のフランス近代絵画を主体に所蔵しています。1998年、ゲーズ氏が亡くなった以降は休館となり一般公開はしていませんが、世界各地の展覧会に出品協力を続けています。日本での展示はおよそ30年ぶりだそうです。
エントランスホール。写真の右側にチケットカウンターやオフィス。正面は、この美術館のコレクション展示室(常設展)に続く階段です。
プチ・パレ美術館展は上の写真の左側、企画展示室B(第1章~第4章)及び企画展示室A(第5章~第6章)で行われています。
第1章 印象派
第2章 新印象派
第3章 ナビ派とポン=タヴァン派
第4章 新印象派からフォーヴィスムまで
第5章 フォーヴィスムからキュビスムまで
第6章 ポスト印象派とエコール・ド・パリ
第2章 新印象派
第3章 ナビ派とポン=タヴァン派
第4章 新印象派からフォーヴィスムまで
第5章 フォーヴィスムからキュビスムまで
第6章 ポスト印象派とエコール・ド・パリ
ホールから企画展示室Bに向かう通路には、その時々の展覧会の主要な絵画がタペストリーにして飾られており、ここだけが写真撮影OKとなっています。
ギュスターヴ・カイユボット《子どものモーリス・ユゴーの肖像》1885年
レースのワンピースを着た赤ちゃん。女の子のように見えますが、実は男の子なんです。この絵が描かれた当時は幼児期の男子の生存率が低かったため、フランス上流階級では敢えて女の子の服を着せ、無事に育つことを願ったのだそうです。
ラウル・デュフィ《マルセイユの市場》 1903年
モーリス・ユトリロ《ノートル=ダム》1917年
エコール・ド・パリを代表する画家の一人、ユトリロ。この絵は、大聖堂を真正面から骨太に描いています。
この展覧会では、恋多き女だったと言われるユトリロの母、シュザンヌ・ヴァラドンの絵も展示されており、図らずも親子画家の競演を観ることができました。
モーリス・ドニ《休暇中の宿題》1906年
この通路の広い窓から見える北九州市街と野外彫刻。
戸畑区と八幡東区が接する丘陵地に建つ市立美術館。以前も書きましたが、建築界のノーベル賞ともいわれる『プリツカー賞』を受賞した建築家、磯崎新氏により昭和49年(1974)に竣工しました。カテドラル(聖堂)をイメージして設計されたものですが、市街を見渡す小高い丘の上に建つ印象的な外観から「丘の上の双眼鏡」という愛称が付けられています。
双眼鏡から見えるのはこんな風景。
市立美術館周辺は、彫刻広場・屋外展示場・遊歩道などが「美術の森公園」として整備され、市民の散歩やジョギングコースとしても親しまれています。
厚地正信《4つの四角なオベリスク》
三谷慎《抱擁》
フランク・ステラ《八幡ワークス》
この作品は、リサイクルをテーマにした「第2回国債鉄鋼彫刻シンポジウム '93北九州」に参加したアメリカの現代美術家フランク・ステラ氏が北九州市民のために制作した作品です。
絵葉書を2枚買って帰りました。1枚は、リーフレットに使われたオーギュスト・ルノワール《詩人アリス・ヴァリエール=メルツバッハの肖像》。ルノワール晩年の作品で、リウマチ療養中だったこともあり当初は乗り気ではなかったものの、詩人の美しい髪に惹かれて肖像画の依頼を引き受けたとされています。
もう一枚はモーリス・ユトリロ《ノートルダム》。ユトリロは、生まれ育ったパリ・モンマルトルの通りや狭い路地などの風景を好んで描きました。私も、久留米の石橋美術館(当時。今は久留米市美術館)、パリ・オランジュリー美術館、モスクワ・プーシキン美術館などでユトリロの絵を観て、抑えめな色調でちょっと物憂げながらも、独特のタッチに惹かれたことを憶えています。
ユトリロの絵と近いアングルから撮ったノートルダム大聖堂(2014年撮影)。大聖堂は、2019年4月に起きた火災により大きな被害を受けましたが、来年12月の一般開放を目指して本格的な再建工事が進められているそうです。
そんなユトリロが、モンマルトルの古くからの急こう配の道、モン=スニ通りを描いた《モンマルトル モン・スニ通り》(プーシキン美術館ヨーロッパコレクション部所蔵)。
こちらは、同じモン=スニ通りの一角の人の往来を描いた《ラ・メゾン・ベルノ La Maison Bernot》(オランジュリー美術館所蔵)。
北九州市立美術館、次の催しは「アルフォンス・ミュシャ展~アールヌーヴォーの華」です。会期は7月15日(土)~8月27日(日)。リバーウォーク4・5階の分館で行われます。こちらも楽しみです。
おっしゃるとおり、斬新なデザインだと思います。
緑に囲まれた丘陵地に、この建物は見事にマッチしています。
デザインに負けるとも劣らぬ魅力的な展覧会を、これからもどんどん企画してほしいです。
東海より西は、早くも梅雨入りしましたね。
梅雨ならではの楽しみを見つけて、気持ち爽やかに過ごしましょう♪
北九州市の公共の建築物には、なぜか磯崎新氏の設計が多く採用されているんですよ。
この市立美術館や中央図書館をはじめ、斬新でユニークな建物が多いです。
丘陵地に建つこの双眼鏡は、遠くからでもよく見えます。
新緑の季節、白を基調とした美術館のコントラストはとりわけきれいですよ。
由布院の駅舎は、私も何度か見たことがあります。
黒で統一されたシックなデザインですね。
見事です(^^)/
梅雨入りしました。体調お気をつけてお過ごしください。
大分由布院駅舎もこの方のデザインだというのは
有名ですね。
随分昔に訪れて見ました。
黒色で統一されていて、モダンなようで
何処か懐かしい風情もある斬新な駅舎でした。
美術館の「双眼鏡」を想像してしまうデザインにも
度肝を抜かれます。
九州北部から東海まで、一気に梅雨入りとなりましたね。
プチ・パレ美術館展は、滋賀や静岡、東京などを巡回したみたいですね。
カイユボットやユトリロ、その母のヴァラドンもよかったですが、私は やはりルノワールが一番印象に残りました (^-^)ゞ
女性の描き方が際立っていますね。
ミュシャ展も行ってみたいと思っています。
堺にはミュシャ専門の美術館があるのですか。
「おいしいミュシャ展」、面白そうですね。
近くにさまざまな美術館や博物館があって羨ましいです。
でも作品が少し違うのが出ていると思います。
やっぱり、レースのお洋服を着た子供の絵が一番いいですね。
可愛い。私も女の子だと思ってました。
次は、ミュシャですか!ミュシャの美術館が大阪堺にあるんですが、良かったですよ。
楽しみですね。
今、見たら「おいしいミュシャ展」がやっていて、食べ物とかあるみたいで、行こうかな。