ルイガノ旅日記

あちこち出かけた場所で目にとまったもの、
心惹かれたものを紹介しています。
よかったらおつきあい下さい。

プチ・パレ美術館展@北九州市立美術館

2023年05月29日 | 絵画や音楽
先月下旬、北九州市立美術館(本館)で開催中の「スイス プチ・パレ美術館展~ルノワール、ユトリロから藤田嗣治まで」を観にいきました。4月22日に始まったこの展覧会は、6月18日(日)まで行われています。


スイスのプチ・パレ美術館は、チュニジア出身の実業家オスカー・ゲーズ氏が1968年ジュネーヴに創立した美術館で、19世紀後半から20世紀前半のフランス近代絵画を主体に所蔵しています。1998年、ゲーズ氏が亡くなった以降は休館となり一般公開はしていませんが、世界各地の展覧会に出品協力を続けています。日本での展示はおよそ30年ぶりだそうです。


エントランスホール。写真の右側にチケットカウンターやオフィス。正面は、この美術館のコレクション展示室(常設展)に続く階段です。


プチ・パレ美術館展は上の写真の左側、企画展示室B(第1章~第4章)及び企画展示室A(第5章~第6章)で行われています。
第1章 印象派
第2章 新印象派
第3章 ナビ派とポン=タヴァン派
第4章 新印象派からフォーヴィスムまで
第5章 フォーヴィスムからキュビスムまで
第6章 ポスト印象派とエコール・ド・パリ


ホールから企画展示室Bに向かう通路には、その時々の展覧会の主要な絵画がタペストリーにして飾られており、ここだけが写真撮影OKとなっています。


ギュスターヴ・カイユボット《子どものモーリス・ユゴーの肖像》1885年
レースのワンピースを着た赤ちゃん。女の子のように見えますが、実は男の子なんです。この絵が描かれた当時は幼児期の男子の生存率が低かったため、フランス上流階級では敢えて女の子の服を着せ、無事に育つことを願ったのだそうです。


ラウル・デュフィ《マルセイユの市場》 1903年


モーリス・ユトリロ《ノートル=ダム》1917年
エコール・ド・パリを代表する画家の一人、ユトリロ。この絵は、大聖堂を真正面から骨太に描いています。
この展覧会では、恋多き女だったと言われるユトリロの母、シュザンヌ・ヴァラドンの絵も展示されており、図らずも親子画家の競演を観ることができました。


モーリス・ドニ《休暇中の宿題》1906年


この通路の広い窓から見える北九州市街と野外彫刻。


戸畑区と八幡東区が接する丘陵地に建つ市立美術館。以前も書きましたが、建築界のノーベル賞ともいわれる『プリツカー賞』を受賞した建築家、磯崎新氏により昭和49年(1974)に竣工しました。カテドラル(聖堂)をイメージして設計されたものですが、市街を見渡す小高い丘の上に建つ印象的な外観から「丘の上の双眼鏡」という愛称が付けられています。


双眼鏡から見えるのはこんな風景。


市立美術館周辺は、彫刻広場・屋外展示場・遊歩道などが「美術の森公園」として整備され、市民の散歩やジョギングコースとしても親しまれています。
厚地正信《4つの四角なオベリスク》


三谷慎《抱擁》


フランク・ステラ《八幡ワークス》
この作品は、リサイクルをテーマにした「第2回国債鉄鋼彫刻シンポジウム '93北九州」に参加したアメリカの現代美術家フランク・ステラ氏が北九州市民のために制作した作品です。


絵葉書を2枚買って帰りました。1枚は、リーフレットに使われたオーギュスト・ルノワール《詩人アリス・ヴァリエール=メルツバッハの肖像》。ルノワール晩年の作品で、リウマチ療養中だったこともあり当初は乗り気ではなかったものの、詩人の美しい髪に惹かれて肖像画の依頼を引き受けたとされています。


もう一枚はモーリス・ユトリロ《ノートルダム》。ユトリロは、生まれ育ったパリ・モンマルトルの通りや狭い路地などの風景を好んで描きました。私も、久留米の石橋美術館(当時。今は久留米市美術館)、パリ・オランジュリー美術館、モスクワ・プーシキン美術館などでユトリロの絵を観て、抑えめな色調でちょっと物憂げながらも、独特のタッチに惹かれたことを憶えています。


ユトリロの絵と近いアングルから撮ったノートルダム大聖堂(2014年撮影)。大聖堂は、2019年4月に起きた火災により大きな被害を受けましたが、来年12月の一般開放を目指して本格的な再建工事が進められているそうです。


そんなユトリロが、モンマルトルの古くからの急こう配の道、モン=スニ通りを描いた《モンマルトル モン・スニ通り》(プーシキン美術館ヨーロッパコレクション部所蔵)。


こちらは、同じモン=スニ通りの一角の人の往来を描いた《ラ・メゾン・ベルノ La Maison Bernot》(オランジュリー美術館所蔵)。


北九州市立美術館、次の催しは「アルフォンス・ミュシャ展~アールヌーヴォーの華」です。会期は7月15日(土)~8月27日(日)。リバーウォーク4・5階の分館で行われます。こちらも楽しみです。
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かしわ屋 源次郎

2023年05月28日 | 食べ歩き
今朝、庭でナナホシテントウを見つけました。何もない葉っぱの上を歩き回ったり、じっとして動かなかったり。かれこれ2時間くらいはこの枝にとまっていたようです。


スタレビ「今夜だけコラボ」ライブは開演が午後6時だったので、会場に向かう前、JR博多シティのレストランフロア「くうてん」でちょっと早めの夕食を……。
中途半端な時間帯にもかかわらず、「かしわ屋源次郎」は満席。念のため予約しておいてよかったです。


店の外から見える厨房。


ほとんどのお客さんが注文していた親子重。小鉢や厚焼き玉子、地鶏の炙り焼きが付いてくる源次郎セットを頼みました。


卵はとろとろふわふわ。


香ばしく炙られた地鶏焼き。柚子胡椒が合いますね。


もう一品は水炊き。この店では一人前から注文できる「博多水炊きセット」というメニューがあるんです。


鶏肉はジューシーでやわらか。そのままでもぽん酢をつけても美味しい。スープはこってり濃厚。じわーっと体に沁みわたしました。


スタレビのファンクラブ、FLAPPER CLUBの会員証が送られてきました。


会報もなかなか読みごたえがあって面白かったです。


また機会を見つけて、スタレビのコンサートに行ってみたいと思います。楽しみがひとつ増えました。

かしわ屋源次郎 博多シティ鳥料理 / 博多駅祇園駅櫛田神社前駅

昼総合点★★★☆☆ 3.5

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スターダストレビュー~今夜だけコラボレーション@福岡サンパレス

2023年05月25日 | 絵画や音楽
今月初めから咲き始めた庭のミニバラ。つる性の「雅(みやび)」という品種です。


蕾のうちはもっと濃い赤なのですが、開くにつれて淡いピンクに変化します。


こちらはわが家のライム、フレーバーグリーンのライミー。これまでに3つ花が咲きました。


今年は期待していなかったのですが、花の後にこんな膨らみが……。ひょっとしたら、初ライムを収穫できるかもしれませんね。


🍀

先月下旬、スターダストレビューのコンサート「今夜だけコラボレーション」を聴きに行ってきました。


例年この時期、福岡サンパレスで開かれるライブは、ホストのスタレビがゲストアーティストと一緒に数々の名曲を聴かせてくれるコラボ・イベントです。


私にとっては、昨年12月の北九州ソレイユホールで行われた "ブギウギ ワンダー☆レビュー" 以来2度目となるスタレビのライブ。


多彩なゲストが出演するサンパレス恒例のこのコンサートを、ずっと心待ちにしていました。


この日のゲストは、久留米出身のシンガーソングライター、家入レオさん。
"Shine"、"君がくれた夏"、"空と青"などを聴きましたが、伸びやかな歌声が印象に残りました。


杉山清貴さんは、"KONA WIND" や "さよならのオーシャン"、"二人の夏物語"など、懐かしい曲が盛りだくさん。さすが、安定の歌唱力でした。杉山さんとスタレビの要さんは古くからの仲だそうです。
このほか写真はありませんが、"PUFFY"のお二人や七人組のバンド"ウルトラ寿司ふぁいやー"などが出演。楽しく充実したコラボ・ライブでした。


コンサート終了後は、歩いて地下鉄の駅に向かう人も多いようでしたが、私たちは会場を出ると運よくバスに乗れ、最短で博多駅に到着。10時過ぎには帰宅しました (^^ゞ


数日後、コンサートの余韻が冷めやらぬまま、スタレビのファンクラブに加入。これからもスタレビのコンサートを聴きに行ければと思います。
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週末は男子ごはん~ニンニクの芽の豚肉巻き

2023年05月23日 | 男子ごはん
仕事の打ち合わせのため東京に出かけた妻が、合間を見て迎賓館赤坂離宮を見学してきました。
今は諸外国の賓客を接遇する場、外交の舞台となる迎賓館ですが、元々は明治42年(1909)、東宮御所として建設されたものだそうです。


こちらは、昭和49年(1974年)に建設された和風別館「游心亭」。 友人たちと事前予約制のガイドツアーツアーに参加した妻は、様々なエピソードを交えた興味深い説明だったと感銘を受けていました。和風別館や本館、庭園など、合わせて5時間近く迎賓館に滞在したそうです。


さて、今週の男子ごはんです。今回も、ビールや赤ワイン、日本酒に焼酎など、お酒が進むおつまみが主体になりました。2・3週間分の週末料理をまとめてアップします。

《ニンニクの芽の豚肉巻き》
近所のスーパーで、ネギ坊主のような頭(皿の奥)が付いたニンニクの芽を見つけて、豚バラで巻いてみることにしました。
豚バラ肉に軽く塩・胡椒し、さっと茹でたニンニクの芽に巻き、サラダ油を熱したフライパンへ。醤油とみりん、麺つゆを合わせたタレを絡めたらでき上がりです。


お隣りの水巻町の特産品「でかにんにく」の芽です。頭を付けたまま1本まるごと巻きたかったのですが、大きすぎてフライパンに入らないので半分にカットしました (^^ゞ


《牛ホルモンのねぎ塩焼き》kurashiru「スパイシーなホルモンのねぎ塩焼き」
下茹でして水気を切った牛ホルモンをフライパンで炒め、火が通ったら斜め切りにした長ねぎを加えて炒め合わせ。合わせ調味料(酒、おろし生姜、おろしニンニク、鷹の爪、ブラックペッパー、鶏がらスープの素)を加えて、全体に味をなじませます。器に盛って、レモンをぎゅっと搾ったらでき上がり。旨みたっぷりのホルモンとねぎ塩がいい取り合わせで、ビールが進むこと間違いありません🍺


《チキンのニンニク醤油炒め》オレンジページ 2023.5.27号
ニンニクのスライス、ニラのみじん切り、醤油、みりんを容器に入れ、冷蔵庫にひと晩以上置いて、ニンニク醬油を作っておきます。ひと口大に切った鶏のもも肉に軽く塩・胡椒。皮目を下にして焼き、蓋をして蒸し焼きに。裏返してもう片方を焼き、パプリカを加えて炒め合わせます。十分火が通ったら、ニンニク醤油を加えて味を絡めたらでき上がり。ニンニクもニラも今が旬なので、シンプルながらニンニク醤油がしみ込んで美味しいです。


《アスパラとベーコンのペペロンチーノ》Nadia「アスパラとベーコンのペペロンチーノ風炒め」
アスパラガスとベーコン、しめじを塩・胡椒で炒め、ニンニクと赤唐辛子で風味づけしました。オリーブオイルを熱しニンニクと赤唐辛子の香りを出します。ベーコン、アスパラ、しめじを加えて炒め合わせ。顆粒コンソメを加え、塩、胡椒で味を調えたらでき上がりです。これもシンプルですが、ベーコンの旨みがビールによく合いました。


《ホタテの香草パン粉焼き》Nadia「食欲そそる☆ほたての香草パン粉焼き」
北海道紋別産のホタテを香ばしいパン粉焼きに。
キッチンペーパーで水気を取ったホタテに、小麦粉、溶き卵、ミックスハーブと混ぜ合わせたパン粉、ハーブソルトの順に衣つけ。オリーブオイルを熱してホタテを並べ、両面をカリッと揚げ焼きにしたらでき上がり。友人のお土産「醸し人 九平次 うすにごり」も、これで飲み切りました。


《えびトースト》Nadia「バゲットdeカリカリ海老パン」
ニンニクの風味を効かせた海老ペーストをバゲットに載せて焼いたえびトーストです。
えびを包丁で叩いて、粗目のミンチ状に。えびミンチ、マヨネーズ、鶏がらスープの素、ピザ用チーズ、おろしニンニク、ブラックペッパーをボウルでしっかり混ぜ合わせます。これを平らにバゲットに塗り、200度のオーブンでおよそ15分焼いて、パセリを散らしたらでき上がりです。


《鶏肉の野菜あんかけ》ESSE 2023年6月号
鶏むね肉をフォークで刺し、酒と醤油を揉みこんで片栗粉をまぶします。ごま油を熱し、皮目を下にして焼き、しっかり焼き色がついたら、裏返してさらに数分。火が通ったら食べやすい大きさに切ります。同じフライパンで、薄切りのタマネギ、細切りのニンジンを炒め、しんなりしたら合わせ調味料(醤油、片栗粉、砂糖、和風だしの素、水)を加えてとろみづけ。これを鶏肉にかけたらでき上がりです。


《巻かないとんぺい焼き風》ESSE 2023年6月号
卵で包まないとんぺい焼き。卵焼きが苦手な私向きのレシピです。
サラダ油を熱して細切りのキャベツを炒め、軽く塩を振ってしんなりしたら器へ。フライパンに、牛乳と塩を加えた卵液を流し入れ、半熟になったら滑らせるようにキャベツの上に載せます。豚バラを炒め、肉の色が変わったらお好みソースを絡めて卵焼きの上へ。お好みソースとマヨネーズをかけ、天かすを散らし、青のりを振ったらとんぺい焼き風の完成です。
順番に載せていくだけの簡単レシピ。味は"ほぼ"とんぺい焼きですから、これで十分かも…… (^^ゞ


《白身魚のピリ辛焼き》Nadia「白身魚のピリ辛焼き」
フライパンで白身魚(ここではカラスガレイを使いました)の両面を焼いて、こんがり焼き色をつけます。余分な油をキッチンペーパーで拭き取り、合わせ調味料(醤油、豆板醤、鶏がらスープの素、麺つゆ、砂糖、みりん)を絡めたらでき上がりです。


《ふわ玉豚キムチ》ESSE 2023年6月号
ごま油を熱して溶き卵を流し入れ、半熟になったら別皿へ。豚バラとタマネギを炒め、火が通ったらキムチ、ニラ、麺つゆ、鶏がらスープの素を加えて炒め合わせます。卵を戻し入れてざっくり混ぜ、器に盛ってゴマを振ったらでき上がり。
キムチと豚バラやニラという定番の組み合わせに加えて、タマネギの甘みや麺つゆ、鶏がらスープで奥深い味に。ふわっとした卵が全体を包み込んでまろやかにしてくれます。


《もやしのラーポン漬け》Nadia「やみつき!もやしのラーポン漬け」
簡単手軽にできて、どんなお酒にも合うちょっとしたおつまみです。
さっと茹でて水気を切ったもやしを、熱いうちに麺つゆ、ぽん酢、和風だしの素、おろしニンニクを合わせたジップロックに入れて揉みこみ、30分ほど置きます。ごま油とラー油を加えて、もう一度揉みこんだら器に盛りつけ。炒りごまと青ねぎをトッピングしたらでき上がりです。


《ニラ醤油漬け煮卵》Nadia「無限ニラ漬け煮卵」
お酒のおつまみにぴったり、煮卵のニラ醤油バージョンです。
鍋に水を張り、麺つゆ、みりん、砂糖、ごま油、オイスターソース、豆板醤、炒りごま、おろしニンニク、おろし生姜を加えて火にかけます。みじん切りにしたニラを加え、ひと煮立ちしたら火を止めて粗熱をとります。ジップロックに半熟のゆで卵とニラ醤油を入れ、空気を抜いて冷蔵庫にひと晩おいたらでき上がり。残ったニラ醤油は、そうめんのつけダレにぴったりでした。


《ほうれん草とベーコンのバター醤油スパゲティ》Nadia「ほうれん草とベーコンのバター醤油スパゲティ」
オリーブオイルを熱してベーコンを炒めます。赤唐辛子と麺つゆを加えて香ばしく。15分ほど水にさらしたほうれん草を加えて炒め合わせ、茹で上がったパスタを投入。バターを加えて火を止め、全体を混ぜ合わせたらでき上がりです。


今月の第2日曜日、カーネーションの栞とともに妻に届いた可愛らしい箱。東京に住む姪から妻への母の日のプレゼントです。


そんな訳で今週のデザートは、フルーツやアーモンドなどをトッピングしたカカオムースやフロマージュ。


私もご相伴にあずかって、楽しませてもらいました (^^ゞ
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台湾縦断4日間⑥~故宮博物院

2023年05月19日 | 海外旅行
台湾の旅もいよいよ最終日。最後に宿泊した圓山大飯店、前夜とほぼ同じ場所から撮った写真です。
1階から2階にかけて2層になった金色の屋根が見えますね。ホテルのエントランスに続く車寄せなのですが、ここがめちゃめちゃ広いんです。圓山大飯店は、世界の要人を招き入れる台湾の迎賓館という位置づけがよくわかる造りでした。


ゲート越しに見える圓山大飯店。門もホテルも威風堂々たる建築です。


朝食後はホテルの中を暫し散策。広々としたロビーを階段上から撮りました。


レストラン金龍の前に展示されている、金色に輝く龍の像。圓山大飯店には、龍をモチーフにした彫刻や絵画、壁画などが22万点以上あることから、別名「龍宮城」とも呼ばれるそうです。


この日は、宋から元、明、清に至る歴代の中国王朝が集めた至宝、約70万点を収蔵する故宮博物院を訪ねました。(写真はWikimedia Commonsからお借りしました)


故宮博物院の歴史は、辛亥革命に端を発する清の滅亡に始まります。清朝最後の皇帝、溥儀を紫禁城から追放した中華民国政府は、1925年に紫禁城を故宮博物院として国民に開放しました。そんな歴史を背景に、故宮博物院入口地下1階ロビーには、台湾の「国父」と慕われる孫文の銅像が置かれています。「博愛」の文字は、孫文の直筆だそうです。(院内すべて、写真撮影OKでした)


広い階段を上って、3階の展示室に向かいました。


故宮博物院と言えば、パリのルーブル美術館やサンクトペテルブルクのエルミタージュ美術館、ニューヨークのメトロポリタン美術館と並んで世界4大博物館(美術館)の一つに数えられていますね。とは言えこれには諸説あり、ルーブル・エルミタージュ・メトロポリタン+プラド(マドリード)の4美術館、これに大英博物館と故宮博物院を加えた6つのミュージアムからいずれかを選んで、3大美術館とか4大博物館と称するようです。


紀元前9世紀、西周時代の青銅器「毛公鼎(もうこうてい)」。鼎(てい)とは、なべ型の胴体に3本の足がついた中国古代の青銅器。内側に刻まれているのは、周王が毛公一族の功労を称えた32行500文字に及ぶ銘文で、 現存する青銅器では最も長く、歴史的価値があるとされ、国宝に指定されています。


当初は紫禁城にあった故宮博物院ですが、日本軍との衝突や国共内戦などによる戦火を避けるため、国民党政府は収蔵品を転々と移動させ、最終的には台湾に運び込みました。


それらの至宝は初め、台中県北溝の文物庫房で一般公開されましたが、その後1965年、台北市北部の士林地区に新たな故宮博物院を建築し、国を挙げてハードソフト両面での拡充を進めた結果、収蔵品の価値の高さもあいまって世界4大博物館と称されるまでに至ったのです。


そんな故宮博物院の二大名宝の一つとされるのが「肉形石」。清の時代に製作されたもので、層状になった天然石を彫って、豚の角煮を再現しています。とても石とは思えず、本物の角煮を見ているようでした。


こちらは同じ場所に展示してあるパネルです。細部に至るまで精緻に表現されているのがよくわかりますね。


二大名宝のもう一つ「翠玉白菜」は、8月半ばまで台湾南部の故宮博物院南院で展示中のため見ることができませんでした。緑と白の天然の翡翠を彫り上げた見事な白菜のオブジェで、緑の葉の部分には子孫繁栄の象徴とされるキリギリスとイナゴが彫り込まれています。南院への出張は残念でしたが、30年前に来たとき本物をしっかり見たのでよしとしましょう(笑)


翡翠の原石。


第14代中華民国行政院長(汪 兆銘)から昭和天皇に贈られ、戦後台湾に返還された「碧玉屏風」。屏風にあしらわれた48枚の翡翠は、両面に同じ彫刻が施された透かし彫りになっており、"表裏がない"ことから「誠実さ」を表現したものとされています。当初は「翡翠」と考えられていた素材は、その後の調査で「碧玉(ブルーサファイア)」と判明。作品名も、「翡翠屏風」から「碧玉屏風」に改められました。


高さ約40cmの大きな翡翠の器、「翡翠雕花鳥瓶」。こちらも汪兆銘から昭和天皇の后、香淳皇后様に贈られ、戦後返還されたものです。


幼児を模した「白磁嬰児枕」。北宋時代の作品で、2019年国宝に指定されました。


黒檀で作られた長椅子。ガイドさんによれば清の時代、この椅子に半分横になるようにして、アヘンを吸引したのだそうです。


大きな赤珊瑚の飾り物。


琺瑯器と呼ばれる釉薬を金属の素地に焼き付けた工芸品。


銅線で囲んだ部分に、各種釉薬を載せて繰り返し焼き付けた後、表面を磨き、鍍金を施して完成させるのだそうです。


上から下まで1本の象牙から掘り出した「鏤彫象牙雲龍紋套球」。


特に、真ん中の球体の内部には、精緻な飾り彫りがなされた21層の球体が封じ込められ、それぞれが自由に回転するという驚異の構造になっています。どんな技術を駆使したら、こんなに精緻な作品ができ上がるのか……現代の技術では作成は不可能と言われているそうです。


同じく、象牙から掘り出された多層塔。


「珊瑚魁星点斗盆景」。翡翠の魚の上に立つのは、北斗七星の第一星で人間界の試験や学問の運気を司る神、魁聖です。


「青銅鎏金坐佛三尊像」。


地下1階のミュージアムショップの隣にある郵便局では、郵便物の発送はもちろん、故宮博物院の記念切手が購入できるそうです。


故宮博物院のあとは、台湾での最後の食事。金品茶楼というレストランで、お茶と小籠包のランチです。


大量の湯気とともに、小籠包の蒸籠が運ばれてきました。


一つの蒸籠には小籠包が10個。結構食べ応えがあります。注文が入ってから蒸し上げられる小籠包は、店によって包み込むひだの数まで決まっているそうです。


レンゲに小籠包と針生姜を載せ、薄い皮をちょっと破ると、豚肉とキャベツの旨みたっぷりの肉汁が溢れだします。


キノコやタケノコなど具だくさんのスープ。


シンプルながら、味がしみこんで美味しかった卵炒飯。


ニンニクの風味がよかった青菜炒め。


空港に向かう車窓から見えた中正紀念堂。中華民国初代総統、蒋介石を顕彰する施設です。前回の台湾では、紀念堂内部を見学し、衛兵の交代式を見ることができました。


桃園国際空港に到着。台湾で一番強い酒「金門高梁酒」を受け取ったら、いよいよ台湾出国です。


長くなりましたが、4日間の台湾旅行記はこれで終わりです。福岡空港から台北・桃園空港で入国後、台中・台南まで足を延ばし、最後は台北近辺を巡るという台湾縦断の旅でした。全体としては充実した楽しい行程で、食事も美味しかったのですが、訪ねた先ではもう少し時間をかけて観て回ったり、屋台めぐりもしてみたかったという気もします。次に台湾に行く機会があれば、日程に余裕をもって個人旅行を計画したいと思いました。
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