平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

ゲゲゲの女房 のんびり暮らして祭りを楽しむ

2010年08月21日 | ホームドラマ
 玉砕。
 生きていることが罪になり、死を強要される。
 戦争では<生>と<死>の価値観が逆転するんですね。
 「生きろ」ではなく「死ね」と言われる。
 こういう世界ではまともな冷静な頭をしていたらとても耐えられない。狂気に身を委ねるしかない。
 玉砕を迫った連隊長は「御国のため」「英霊たち」という価値観を無理やり信じ込む。
 茂(向井理)の上官は違った価値観をもった人間が自分を否定されている様で怖いから、茂を殴る。自分の価値観と同じにしようとする。

 この様な状態の時、どうするか?
 絹代(竹下景子)の言葉が参考になる。
 『千万人と言えども我、行かん』
 千万人の人間が同じ方向を向いていても間違っていると思えば、その方向に行かない。あくまで自分を貫く。
 この姿勢、態度。
 それでもまわりが自分と同じようになることを強要してきたらこう返す。
 『名字帯刀御免の家柄ですけん!』
 反論の理屈にはなっていないが、もともとまわりは理不尽なことを押しつけているのだから、正論で返してもダメ。無理やりな理屈で言い返すしかない。

 茂の考え方も僕は好きだ。
 南の島で色鮮やかな花や鳥に囲まれてのんびり暮らす。時おり行われる祭りに熱くなる。
 <のんびり暮らして、ときどき祭りを楽しむ>
 これで十分なんですね。エコが叫ばれている時代なら尚更。
 なのに人は多くのものを欲しがる。
 欲しがって得ることができず、自分は不幸だと思っている。
 現在を素直に見つめれば結構幸福なのに、求めすぎて満足を得られない。
 <幸福>とは相対的なもの。
 茂は死んでいった戦友たちと自分を比較してこう語る。
 「自分は幸運だ。腕一本なくしただけで生きて帰れたんだから」
 腕一本なくしたことは不幸。でも、死んでいった仲間達と比べれば幸福。
 現在の日本は孤独が溢れ、先が見えなくて不幸かもしれない。
 でも飢餓に苦しんでいる国々や内乱・戦争が日常の国々よりはずっと幸福だと思う。

 今回は茂を深く描き込みましたね。
 茂の体の奥にある<芯>の様なものを描き出した。
 脚色はあるだろうが、実在の人物だけに茂の言葉は重みがある。


コメント
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