平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

軍師官兵衛 第24話「帰ってきた軍師」~憎い敵を斬らずして逃がす、それこそが官兵衛じゃ!

2014年06月16日 | 大河ドラマ・時代劇
 地獄からの使者・官兵衛(岡田准一)はやっぱり良い人だった。

 小寺政職(片岡鶴太郎)を逃がして、秀吉(竹中直人)に謝る。
「斬れませなんだ。それがしの甘さでございます」
 これに対して秀吉。
「それで良いのじゃ。
 憎い敵を斬らずして逃がす、それこそが官兵衛じゃ。
 そういう男だからわしは官兵衛が好きなんじゃ。そういう男だから信用できるんじゃ。
 もっと悩め。もっと怒って、思いきり笑え」

 弱さを含めて全面的に人を<肯定>する秀吉。
 こういう人物には人はついていきますよね。
 秀吉には、さわやかな明るさがある。
 妻のおね(黒木瞳)も肯定する人で、信長の四男を養子にもらったことで羽柴家は安泰だと考えている。
 常にプラス思考の夫婦(笑)

 一方、信長(江口洋介)。
 信長の場合は、信賞必罰というか、役に立たなくなった道具は切り捨てる。
 今回は佐久間信盛。
 信長は不信の中に生きていて、寛容さの欠片もない。
 徹底した合理主義者で、怨霊など認めず、有岡城で平気で酒を飲む。

 小寺政職を逃がした官兵衛は<赦(ゆる)す人>でもある。
 この資質は『汝の敵を愛せ』というキリスト教の教えに繋がるのだろう。
 『スターウォーズ』ではないが、あそこで政職を斬っていたら、きっと暗黒面にとらわれて<ブラック官兵衛>になっていただろう。

 <寛容さ><赦し><他者の肯定>……これは平和な時代の産物。
 官兵衛や秀吉のような人物が出てきたということは、世の中が少しずつ治まってきたことを意味するのだろう。
 逆に<不寛容><怒り><他者の否定や排除>が横行する時代は……。
 僕は2014年の現在がそんな時代になっている気がするんですよね。
 これからは、ますます世の中が乱れていく。

 それと、小寺政職の生き様は嫌いではない。
 どんなにカッコ悪くても、地べたを這いずりまわっても、生き残りたいと思う政職。
 いいじゃないですか。
 お国のために死ぬとか、特攻隊とかがもてはやされているが、そんなものはまったく美しくない。
 <何があっても生きる>
 『軍師官兵衛』は、死が美化される現代へのメッセージを送っているように思える。

コメント (2)
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