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平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

真田丸 第2回「決断」~勝頼、梅雪、小山田、家康、母上……すべての登場人物に愛情が注がれている

2016年01月18日 | 大河ドラマ・時代劇
 岩櫃城に向かう真田家御一行。
 今回はこれをしっかり描いた。
 これなんですよね~
 今までの大河ドラマだったら絶対、端折って、第二話は岩櫃城に到着している所から始まっていた。
 ところが今作は到着するまでの過程をしっかり描いている。

 それはどんな感じかというと、
・馬に乗って颯爽と物見をしてきた松(木村佳乃)が全然、役に立っていないっ!(笑)
 そして、二度のツッコミ(笑)
 「姉上、いったい何を見てきたのですか?」「隠れているのを見つけるのが物見の役割でしょう!」
・野盗に囲まれた時は、戦うのではなく、母・薫(高畑淳子)の着物を渡す。
 それでも野盗が引かなければ戦う→暴力での解決は最後の手段。
・百姓に化けるために顔にドロ塗り。
 「母上は誰よりも気品が顔に滲み出ていますから、誰よりも泥を多く塗りませんと」(笑)
・小山田の家臣に遭遇した時は、わざとらしい百姓の過剰な演技(笑)
 おまけに母上は懐から高価な扇がポロリ!←この期におよんで物欲を捨てられないらしい(笑)
・そして、小山田の家臣が牙を剝いて、いよいよピンチに陥ると、父上が颯爽とやって来る!←おおっ!

 これなんですよね~、ドラマの楽しさって。
 歴史のダイジェストなんか見たくない。
 過程や細部にこそ神は宿る。

 登場人物の顛末もしっかり描いた。
・武田勝頼(平岳大)は父・信玄の幻影を前に無念の自害。
 幻影が出て来る所は、シェークスピアの『ハムレット』を意識してるのかなぁ。
・穴山梅雪(榎木孝明)は徳川家康(内野聖陽)と握手して、織田家入り。
・一方、小山田信茂(温水洋一)は、「そのような不忠の者はいらん!」「卑怯者!」と言われて斬首。

 このように、しっかり登場人物のその後を描いている。
 今までの大河ドラマは、人物がいきなり出てきて、いつのまにかフェードアウトしていましたからね~
 人物は物語を進める上の道具でしかなかった。
 ところが、三谷幸喜脚本は違う。
 すべての登場人物に愛情を注ぎ、描き込む。
 役者さんに見せ場、演じ所を用意する。
 今回の小山田信茂役の温水洋一さんなんかは、その良い例。
 小山田は卑怯な小者だったが、温水さんも演じていて楽しかっただろう。

 家康の描写も巧みだった。
 自分を苦しめた武田が滅びてしまったことにスッキリしないと言い、「生きのびられる。それだけで十分じゃ」と後の天下の覇者とは正反対のことを言う。
 手にやけどをすれば大騒ぎし、笹の葉がやけどに効くと聞けば感心する→健康マニア・薬マニア。
「飲むのはほどほどにしなさい」と阿茶局(斉藤由貴)に、たしなめられながらお茶をおかわりし、穴山梅雪のことが嫌いだと言いながら、次のシーンでは愛想を振りまいて握手をする。
 この家康、実に人間っぽい。
 さまざまな角度から家康を描いている。
 人物描写の密度が濃い。
 石川数正(伊藤正之)なんかも、後に家康を裏切るのだが、本多正信(近藤正臣)にそれを匂わせる芝居をさせていた。

 このように、ドラマって<人間>なんですよね。
 視聴者は何よりも人間を見たい。
 今までの大河ドラマって、歴史や事件を描くことに一生懸命で、人物描写を疎かにしてた。
 どの作品かは敢えて言わないが、脇役はおろか、主人公すら描けていない作品もあった。

 信繁(堺雅人)はまだ若いので、大活躍までは言っていませんが、農民を装うなどの策を使う所や、北条か上杉かで的確な情勢判断をする所など、随所に後の片鱗が。

 『真田丸』は、すべての登場人物に愛情を注がれて描かれている点で、面白いドラマです。

コメント (6)
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