「蟷螂たちの幸福」
犯行動機の常識を逆手にとった作品。
ミステリ作家・蓬城静流(荻野目慶子)とその夫・田橋(江藤潤)。
通常の犯行動機はこう。
夫は妻に食べさせてもらっており忍従の生活(夫婦仲がいいという声もあったが)。
静流は5年間作品を発表しておらず、作品が書けなくなったという噂も。
作品の書けなくなった妻に用はない。
夫は忍従の生活から抜け出すために殺害を企てる。
妻が死んでも印税で食べていける。
しかし静流が夫の殺害計画を事前に知り、逆に夫を殺害。
ミステリー作家らしく、自殺に見せかけるトリックを使って。
通常の推理ドラマならこれで終わりだが、さすが「相棒」。
さらにひねる。
真相はこう。
以下、ネタバレ。
夫は静流に作品を書かせるため、妻が夫を自殺にみせかけて殺すトリックを実践する様に言う。
静流は末期ガンに犯されており、夫は何とか最期の作品を書かせたいと思っている。
銃口を向けて自殺しようとする夫を静流は止めるが、夫は自らを撃つ。
夫の意思を無視できない静流はトリックを実践する。
そして犯罪者の気持ちを把握した静流は夫の願いどおり作品を仕上げる。
通常、犯罪の動機は怒りや憎である。
ところが今回は愛。
死の近い妻に作品を書かせたいという『愛』。
犯罪としては夫の死は自殺で、殺人は行われておらず、静流は証拠隠滅の罪だけなのだが、そんなことは関係ない。
動機が愛であることが画期的なのだ。
これは思わぬドラマを生んだ。
自分の命を賭しても妻に作品を書かせたいというすさまじい愛。
やがて静流は癌で死に後日談が描かれる。
静流の遺作のタイトルは「蟷螂(かまきり)たちの幸福」。
蟷螂のオスは自らを食わせてメスに子供を産ませるという習性になぞらえたタイトル。
自分を食わせる蟷螂を人は残酷だと思うが、実はすさまじい愛の行為であること。
蟷螂に似た静流たち夫婦は実は幸福であったということ。
静流のタイトルに込めた想いが泣かせる。
右京(水谷豊)が静流に「何か書き忘れていませんか」と言って、遺作の原稿に万年筆で書かせるシーンがおしゃれだ。
静流が万年筆で書いたのは「亡き愛する夫に捧ぐ」という文章だった。
犯行動機の常識を逆手にとった作品。
ミステリ作家・蓬城静流(荻野目慶子)とその夫・田橋(江藤潤)。
通常の犯行動機はこう。
夫は妻に食べさせてもらっており忍従の生活(夫婦仲がいいという声もあったが)。
静流は5年間作品を発表しておらず、作品が書けなくなったという噂も。
作品の書けなくなった妻に用はない。
夫は忍従の生活から抜け出すために殺害を企てる。
妻が死んでも印税で食べていける。
しかし静流が夫の殺害計画を事前に知り、逆に夫を殺害。
ミステリー作家らしく、自殺に見せかけるトリックを使って。
通常の推理ドラマならこれで終わりだが、さすが「相棒」。
さらにひねる。
真相はこう。
以下、ネタバレ。
夫は静流に作品を書かせるため、妻が夫を自殺にみせかけて殺すトリックを実践する様に言う。
静流は末期ガンに犯されており、夫は何とか最期の作品を書かせたいと思っている。
銃口を向けて自殺しようとする夫を静流は止めるが、夫は自らを撃つ。
夫の意思を無視できない静流はトリックを実践する。
そして犯罪者の気持ちを把握した静流は夫の願いどおり作品を仕上げる。
通常、犯罪の動機は怒りや憎である。
ところが今回は愛。
死の近い妻に作品を書かせたいという『愛』。
犯罪としては夫の死は自殺で、殺人は行われておらず、静流は証拠隠滅の罪だけなのだが、そんなことは関係ない。
動機が愛であることが画期的なのだ。
これは思わぬドラマを生んだ。
自分の命を賭しても妻に作品を書かせたいというすさまじい愛。
やがて静流は癌で死に後日談が描かれる。
静流の遺作のタイトルは「蟷螂(かまきり)たちの幸福」。
蟷螂のオスは自らを食わせてメスに子供を産ませるという習性になぞらえたタイトル。
自分を食わせる蟷螂を人は残酷だと思うが、実はすさまじい愛の行為であること。
蟷螂に似た静流たち夫婦は実は幸福であったということ。
静流のタイトルに込めた想いが泣かせる。
右京(水谷豊)が静流に「何か書き忘れていませんか」と言って、遺作の原稿に万年筆で書かせるシーンがおしゃれだ。
静流が万年筆で書いたのは「亡き愛する夫に捧ぐ」という文章だった。