アユは「売り」をしている女子高生。
親父たちは自分の身体を求めて金を払う。
金のためのセックス。ほんの一瞬のこと。しかし、別にお金がほしいわけじゃない。
こんな汚い街に埋もれて汚れている自分も感じているアユ。
教師と面談したアユは言う。
「じゃああんたはなんのために生きてるの?」
「幸せになるためだろう」
「幸せってなに?なんなきゃいけないの?」
すべてが溢れている時代。同時に金にむしばまれている。
お金だって身体を売れば簡単に手に入る。
アユは空虚だ。
そんなアユが、ある独り暮らしのおばあさんに出会う。
ひとつ作って30銭の報酬が得られる内職をしているおばあさん。
花の芽が出るのを心待ちにして水をやっている。
おばあさんは「がんばれば、芽を出して咲く」と信じている。
舌を切られた子犬に涙を流し、看病して育てるおばあさん。
アユは苦しむ子犬を見て死んでしまった方がと言う。
「こんな腐った世界で生きるより死んでしまった方が幸せ」と考えたからだ。
しかし、おばあさんは言う。
「この子犬は生きようとしている」
また、このおばあさんは一夜しか過ごさなかった特攻隊で死んでいった夫のことを愛して生きている。
心臓の悪い義之という青年の手術台を貯めているおばあちゃん。
アユはそんなおばあさんの温かさに安らぎを見出す。
しかし、アユはホストでクスリ中毒で借金している恋人の窮地を救うためにおばあさんが手術台で貯めていた150万を盗んでしまう。
そしておばあさんの死。
150万のことでの罪の意識・おばあさんへの想いから、アユはおばあさんの遺志を引き継ぐ決心をする。義之に心臓手術を受けさせるのだ。
そのためにお金を貯める。
身体を売ってではない。アルバイトをして。
死んだおばあさんは、アユが身体を売っていることを知って泣いてくれた。
それを裏切ることが出来ないからだ。
義之の手術代のために生きること。
これがアユの生きる目的になる。初めて生じたアユに生きる目的だった。
義之とも心を通わせて、義之のことが好きになる。
アユは「自分は売りをやっていて汚れているから、義之に触れない」と言うが、義之はアユがきれいだと言う。
そんな義之の言葉が嬉しいアユ。
同時に守りたいものができて、アユは優しくなる。
友だちのレイナは強姦されて子供が出来たが、子供を産むことを勧め、祝福する。
子供用の服をプレゼントする。
しかし、義之は病状悪化。
義之に早く手術を受けさせるために、アユは再び「売り」を始める。
親父に触られて、初めて気持ち悪いと思う。
親父に抱かれて一度も泣いたことのなかったアユが初めて泣いた。
「ごめんね。おばあちゃん、約束守れなかった」と天国のおばあちゃんに謝る。
そしてエイズ発病。
やせ衰え、湿疹が出る。
「なんなのよ!消えてよ!こんなとこで止まってらんないの。まだ稼がなきゃいけないのよ」
醜い姿になっても義之のことを思うアユは、浮浪者に自分の食べているパンを分けてやる。
浮浪者はアユのことを「天使だ」と言う。
そしてクリスマス。
永遠の愛を保証するペンダントをアユは義之に贈る。
義之は自分のメッセージを吹き込んだMDを贈る。
「……アユ……元気にしてる?まえは一人で見上げる空で充分だったけど、今は一人じゃダメなんだ。アユがいないとダメなんだ。だから、今度は僕がアユを沖縄へ連れていくよ。また、一緒にあの空を見よう。ね、アユ」
そして倒れるアユ。
「ありがとう……。最高のクリスマスプレゼントだよ……。パオ(犬)……もしかして、あたし…死んじゃうのかな…?おばあちゃん……、あたしね、まえはいつ死んでもいいって思ってたけど……今は死にたくない……義之の病気…治さなきゃ……おばあちゃんの…かわりに……。あたし……まだ死ねないよ……」
雪の降る中、死んでいくアユ。
義之は自殺した自分の父親の保険金を使って手術をし、生かされる。
そして、おばあちゃん、アユのことを思い起こす。
「アユは……、おばあちゃんはなにを見た?」
レイナの子供は「アユ」と名づけられた。
レイナは子供がアユの生まれ変わりであると信じている。
★研究ポイント
Yoshi原作の話題作をコミックで読んだ。
内容は典型的なメロドラマ。
道具立ても、病気(エイズ)、乱暴で荒んだ父親(義之の父)、持病を持った青年など古典的。
主人公の死というのも泣かせで一番安易な方法。
おまけに雪に、MDのメッセージ。
しかし、この作品がウケた。ヒットした。
主人公が「売り」をやっていて、腐った街を彷徨っている少女だからか?
このヒットの理由は?
確かにアユの心情はせつないのだけれど。
★追記
いくつかのショッキングなシーンも。
ヤク中で借金取りに追われていたアユの恋人。
アユがおばあさんから盗んだ150万を借金返済に充てず、クスリを買ってしまう。しかし、クスリから抜け出せない苦しさで、マンションで自殺してしまう。
レイナを買うリストラされた中年親父。
しかし、それは死ぬ前の快楽。
レイナを抱いて、中年親父はホテルから投身自殺する。
まわされて写真を撮られるレイナ。
「チクったら、こればらまくからね」
「こいつイッたの?ああ、何度もね」
「犯されてイッてんじゃねえよ」
ふとももにシャープペンシルで突き刺され「売女」と書かれる。
エイズが発症するアユ。
「寒気がする。熱でもあんのんかな」
ウンドウに映っているアユの姿はやせている。
街行くカップルは「今の子見た?脚超細いんだけど」「あんなんキモいって。拒食症じゃねえの」と会話していく。
それでも中年親父は「それ欲しいの?買ってあげようか」と声をかけてくる。
親父に抱かれながら「まだやれる。まだ使える。この身体は」と思うアユだが、親父にやり逃げされてしまう。
そして皮膚に現れる湿疹にアユは愕然とする。
親父たちは自分の身体を求めて金を払う。
金のためのセックス。ほんの一瞬のこと。しかし、別にお金がほしいわけじゃない。
こんな汚い街に埋もれて汚れている自分も感じているアユ。
教師と面談したアユは言う。
「じゃああんたはなんのために生きてるの?」
「幸せになるためだろう」
「幸せってなに?なんなきゃいけないの?」
すべてが溢れている時代。同時に金にむしばまれている。
お金だって身体を売れば簡単に手に入る。
アユは空虚だ。
そんなアユが、ある独り暮らしのおばあさんに出会う。
ひとつ作って30銭の報酬が得られる内職をしているおばあさん。
花の芽が出るのを心待ちにして水をやっている。
おばあさんは「がんばれば、芽を出して咲く」と信じている。
舌を切られた子犬に涙を流し、看病して育てるおばあさん。
アユは苦しむ子犬を見て死んでしまった方がと言う。
「こんな腐った世界で生きるより死んでしまった方が幸せ」と考えたからだ。
しかし、おばあさんは言う。
「この子犬は生きようとしている」
また、このおばあさんは一夜しか過ごさなかった特攻隊で死んでいった夫のことを愛して生きている。
心臓の悪い義之という青年の手術台を貯めているおばあちゃん。
アユはそんなおばあさんの温かさに安らぎを見出す。
しかし、アユはホストでクスリ中毒で借金している恋人の窮地を救うためにおばあさんが手術台で貯めていた150万を盗んでしまう。
そしておばあさんの死。
150万のことでの罪の意識・おばあさんへの想いから、アユはおばあさんの遺志を引き継ぐ決心をする。義之に心臓手術を受けさせるのだ。
そのためにお金を貯める。
身体を売ってではない。アルバイトをして。
死んだおばあさんは、アユが身体を売っていることを知って泣いてくれた。
それを裏切ることが出来ないからだ。
義之の手術代のために生きること。
これがアユの生きる目的になる。初めて生じたアユに生きる目的だった。
義之とも心を通わせて、義之のことが好きになる。
アユは「自分は売りをやっていて汚れているから、義之に触れない」と言うが、義之はアユがきれいだと言う。
そんな義之の言葉が嬉しいアユ。
同時に守りたいものができて、アユは優しくなる。
友だちのレイナは強姦されて子供が出来たが、子供を産むことを勧め、祝福する。
子供用の服をプレゼントする。
しかし、義之は病状悪化。
義之に早く手術を受けさせるために、アユは再び「売り」を始める。
親父に触られて、初めて気持ち悪いと思う。
親父に抱かれて一度も泣いたことのなかったアユが初めて泣いた。
「ごめんね。おばあちゃん、約束守れなかった」と天国のおばあちゃんに謝る。
そしてエイズ発病。
やせ衰え、湿疹が出る。
「なんなのよ!消えてよ!こんなとこで止まってらんないの。まだ稼がなきゃいけないのよ」
醜い姿になっても義之のことを思うアユは、浮浪者に自分の食べているパンを分けてやる。
浮浪者はアユのことを「天使だ」と言う。
そしてクリスマス。
永遠の愛を保証するペンダントをアユは義之に贈る。
義之は自分のメッセージを吹き込んだMDを贈る。
「……アユ……元気にしてる?まえは一人で見上げる空で充分だったけど、今は一人じゃダメなんだ。アユがいないとダメなんだ。だから、今度は僕がアユを沖縄へ連れていくよ。また、一緒にあの空を見よう。ね、アユ」
そして倒れるアユ。
「ありがとう……。最高のクリスマスプレゼントだよ……。パオ(犬)……もしかして、あたし…死んじゃうのかな…?おばあちゃん……、あたしね、まえはいつ死んでもいいって思ってたけど……今は死にたくない……義之の病気…治さなきゃ……おばあちゃんの…かわりに……。あたし……まだ死ねないよ……」
雪の降る中、死んでいくアユ。
義之は自殺した自分の父親の保険金を使って手術をし、生かされる。
そして、おばあちゃん、アユのことを思い起こす。
「アユは……、おばあちゃんはなにを見た?」
レイナの子供は「アユ」と名づけられた。
レイナは子供がアユの生まれ変わりであると信じている。
★研究ポイント
Yoshi原作の話題作をコミックで読んだ。
内容は典型的なメロドラマ。
道具立ても、病気(エイズ)、乱暴で荒んだ父親(義之の父)、持病を持った青年など古典的。
主人公の死というのも泣かせで一番安易な方法。
おまけに雪に、MDのメッセージ。
しかし、この作品がウケた。ヒットした。
主人公が「売り」をやっていて、腐った街を彷徨っている少女だからか?
このヒットの理由は?
確かにアユの心情はせつないのだけれど。
★追記
いくつかのショッキングなシーンも。
ヤク中で借金取りに追われていたアユの恋人。
アユがおばあさんから盗んだ150万を借金返済に充てず、クスリを買ってしまう。しかし、クスリから抜け出せない苦しさで、マンションで自殺してしまう。
レイナを買うリストラされた中年親父。
しかし、それは死ぬ前の快楽。
レイナを抱いて、中年親父はホテルから投身自殺する。
まわされて写真を撮られるレイナ。
「チクったら、こればらまくからね」
「こいつイッたの?ああ、何度もね」
「犯されてイッてんじゃねえよ」
ふとももにシャープペンシルで突き刺され「売女」と書かれる。
エイズが発症するアユ。
「寒気がする。熱でもあんのんかな」
ウンドウに映っているアユの姿はやせている。
街行くカップルは「今の子見た?脚超細いんだけど」「あんなんキモいって。拒食症じゃねえの」と会話していく。
それでも中年親父は「それ欲しいの?買ってあげようか」と声をかけてくる。
親父に抱かれながら「まだやれる。まだ使える。この身体は」と思うアユだが、親父にやり逃げされてしまう。
そして皮膚に現れる湿疹にアユは愕然とする。