平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

功名が辻 関ヶ原

2006年11月06日 | 大河ドラマ・時代劇
 関ヶ原を一豊(上川隆也)の視点も加えて描いた所が面白かった。
 山上に陣取る毛利勢の押さえとして、南宮山の麓に配される一豊。
 戦況を見守る立場。
 必然、客観的にこの戦いの本質が見えてくる。
 ひとつはこれが豊臣同士の空しい戦いであること。
 ひとつは日和見、裏切りがまかり通る謀略戦であること。
 ひとつは天下分け目の決戦で3万の死傷者が出たこと。
 いくさを終えて、勝ったにもかかわらず虚しさを感じる一豊。

 また、このいくさは一豊に自分の居場所がないことを教えた戦いでもあった。
 福島正則ら血気盛んな若者の仲間にも入れず、家康(西田敏行)や島津義弘らの年寄りたちの駆け引きの中にも入れない。
 それが南宮山の麓の守りという立場で象徴的に語られている。
 一豊はこれを「最後のいくさ」と言ったが、もはや一豊にとって関ヶ原は不完全燃焼の戦いでもあった。
 この辺りも一豊の虚しさの原因であろう。

 こうした虚しさ、そして自分の居場所を知ってしまった一豊がどう今後生きていくか?

 作劇のテクニックとしては「タメ」のテクニックが使われていた。
 小早川秀秋(阪本浩之)の裏切りは、貯めに貯めたものが爆発する瞬間。
 戦況膠着、東軍劣勢、ここで視聴者はヤキモキする。
 視聴者は今回、一豊のいる東軍に思い入れをしている。
 これが秀秋の裏切りで逆転する。
 ここにカタルシスがあるわけだ。
 そして、このカタルシスには伏線がある。
 島津に兵を動かすように頼みに行く三成(中村橋之助)。
 ここで島津が動けば、西軍が勝利する。
 しかし、島津は夜襲を否定されたことを根に持って動かない。
 視聴者はここでもヤキモキするわけだが、三成は失敗しカタルシスは得られない。
 このカタルシスを得られないエピソードが前にあるから、秀秋の裏切りのカタルシスが活きてくる。

 また、一豊の決断もカタルシスだった。
 毛利の抑えとして動けない一豊。
 自分は動けないまま、東軍がどんどん劣勢になっていく。
 それが六平太(香川照之)の言葉「お主らが押し出し、家康を勝ちへ導け。勝って、生きて千代の元へ帰るのだ!」で動く。
 家康本陣へ飛び込み、出陣を願い出て許される。
 カタルシスの瞬間だ。
 これも一豊が家臣の説得にも応じず、動かないでいるから決断した時、「爆発」のカタルシスが得られる。

 最後にいくさは心理戦である。
 どんなに優れたCGを駆使して描かれても、いくさに参加している武将たちの心理が描かれていなければ面白くない。
 そして戦場で描かれる心理は様々に盛り込まれている方がいい。
 家康の戦術・作戦、一豊の様な動けない苦しみ、秀秋の優柔不断、三成の他人を動かせない理不尽、千代のために一豊を生かそうとする六平太の愛。
 だから、この関ヶ原は面白かった。


★追記
 ドラマでは関ヶ原の布陣をNHKのアナウンサーが説明した後、三成が「勝ったな」と言う。
 アナウンサーの説明とこの三成のせりふで、西軍が優勢であることが視聴者に伝わる。
 三成が「勝ったな」と言い切ってしまう所もいい。
 理性的・客観的な三成がそう言い切るのだから、説得力があるというわけだ。


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1 コメント

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こんにちは☆ (bluestar1719)
2006-11-10 16:02:34
こんにちはぁ☆
cocktail-lightのbluestar1719です。
TBありがとうございました。

http://tb.plaza.rakuten.co.jp/bluestar1719/diary/200611050001/dc043/
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