なかなか見応えのある政治ドラマでした。
「廃藩置県」を現代に当てはめると、
①既得権の打破~武士の持っている既得権を奪うこと。
②中央集権化~現代は逆で、中央集権→地方分権にしようとしていますが。
これだけの大改革を一気にやるのは相当な政治的エネルギーを要するだろう。
特に既得権者からの不満、反発は必至。
現代にたとえれば、
霞ヶ関の官僚は自分たちの持っている権限を守りたいので、地方分権に抵抗する。
電力会社を始めとする原子力ムラは原発がなくなればメシのタネがなくなるので、自然エネルギーの拡大を阻止しようとする。
こんなハードな改革を断行した大久保利通(瑛太)はたいした政治家だね。
今の政治家に原発ゼロを断行するような豪腕な人物はいない。
安倍シンゾーなどは消費税2%を上げるのにも右往左往し、改憲など急いでやらなくてもいいことに力を注いでいる。
だが、そんな大久保に抵抗勢力が立ちはだかる。
まずは島津久光(青木崇高)。
久光は政府に利用されるのを恐れて上京を拒否。
これに対して大久保は脅迫まがいに言い放つ。
「いつまで、そげなこと仰せられますか? ひとり時勢に取り残されますぞ。
国父様には新政府に席を用意しております。これが私の恩返しです。
失礼いたします、島津久光様」
大久保、完全にブラックになったな。
でもブラックにならなければ政治改革などおこなえない。
新政府内にも敵がいる。
木戸孝允(玉山鉄二)、江藤新平(迫田孝也)、板垣退助、大隈重信など、長州、土佐、肥前の面々と岩倉具視(笑福亭鶴瓶)などの公家衆だ。
木戸、江藤らは「廃藩置県」の必要性を理解しながらも、ゆっくり慎重にやって行こうとする穏健派。
だが、その背景には薩摩に新政府の実権を握らせまいとする権力闘争がある。
岩倉具視ら公家は、権力の美酒に酔っている感じ。
ブラック大久保はまず長州を味方にしようとする。
木戸を呼び出して、
「このままだと土佐と肥前がつけあがる」
と説得。
江藤、板垣、大隈が席を立った時は、それを良しとして切り捨てる。
大久保、孤独な戦いをしているな。
彼のやろうとしていることは20年後、30年後には評価されることなんだろうけど、周囲には理解されない。
意固地な所があるから、どうしても孤軍奮闘。
神経質でコーヒーを飲みながら沢庵をボリボリ。
人望のなさゆえ、信頼できる仲間もいない。
木戸は何とか説得したが、利益でつながっているだけの関係だ。
というわけで、クライマックスで主人公の西郷隆盛(鈴木亮平)が登場。
西郷には大久保のような政治的駆け引きや権謀術数はない。
ただ腹を割って話すのみ。
「俺たちの肩には戊申の役で死んだ八千の魂が乗っちゃっとぞ」
「こげなつまらん政府と思われてはいかん」
これで席に戻る江藤、板垣、大隈。
上手い作劇ですね。
大久保に孤軍奮闘させて、最後に主人公・西郷が助けに来るという図式だ。
そして大久保とはこんな会話。
「おいは間違っていたのだろうか?」
と問う大久保に西郷は答えて、
「おはんはそんでよか。
何年後かによかったと思える政事をやっているんじゃろう?
おはんが抱え切れんものは、おいが抱えてやる」
最後は友情物語でまとめた。
「美味い」と言ってふたりで食べたのも、豪華な洋食ではなく握り飯だ。
ふたりは依然として握り飯を食べていた頃の関係なんですね。
自分を理解して味方してくれる西郷に大久保は救われたことだろう。
鈴木亮平さんの西郷もいいが、瑛太さんの大久保もいいね。
前半は、西郷と斉彬の物語。
中盤は、西郷と徳川慶喜の物語。
そして後半は、西郷と大久保の物語になりそうだ。
「廃藩置県」を現代に当てはめると、
①既得権の打破~武士の持っている既得権を奪うこと。
②中央集権化~現代は逆で、中央集権→地方分権にしようとしていますが。
これだけの大改革を一気にやるのは相当な政治的エネルギーを要するだろう。
特に既得権者からの不満、反発は必至。
現代にたとえれば、
霞ヶ関の官僚は自分たちの持っている権限を守りたいので、地方分権に抵抗する。
電力会社を始めとする原子力ムラは原発がなくなればメシのタネがなくなるので、自然エネルギーの拡大を阻止しようとする。
こんなハードな改革を断行した大久保利通(瑛太)はたいした政治家だね。
今の政治家に原発ゼロを断行するような豪腕な人物はいない。
安倍シンゾーなどは消費税2%を上げるのにも右往左往し、改憲など急いでやらなくてもいいことに力を注いでいる。
だが、そんな大久保に抵抗勢力が立ちはだかる。
まずは島津久光(青木崇高)。
久光は政府に利用されるのを恐れて上京を拒否。
これに対して大久保は脅迫まがいに言い放つ。
「いつまで、そげなこと仰せられますか? ひとり時勢に取り残されますぞ。
国父様には新政府に席を用意しております。これが私の恩返しです。
失礼いたします、島津久光様」
大久保、完全にブラックになったな。
でもブラックにならなければ政治改革などおこなえない。
新政府内にも敵がいる。
木戸孝允(玉山鉄二)、江藤新平(迫田孝也)、板垣退助、大隈重信など、長州、土佐、肥前の面々と岩倉具視(笑福亭鶴瓶)などの公家衆だ。
木戸、江藤らは「廃藩置県」の必要性を理解しながらも、ゆっくり慎重にやって行こうとする穏健派。
だが、その背景には薩摩に新政府の実権を握らせまいとする権力闘争がある。
岩倉具視ら公家は、権力の美酒に酔っている感じ。
ブラック大久保はまず長州を味方にしようとする。
木戸を呼び出して、
「このままだと土佐と肥前がつけあがる」
と説得。
江藤、板垣、大隈が席を立った時は、それを良しとして切り捨てる。
大久保、孤独な戦いをしているな。
彼のやろうとしていることは20年後、30年後には評価されることなんだろうけど、周囲には理解されない。
意固地な所があるから、どうしても孤軍奮闘。
神経質でコーヒーを飲みながら沢庵をボリボリ。
人望のなさゆえ、信頼できる仲間もいない。
木戸は何とか説得したが、利益でつながっているだけの関係だ。
というわけで、クライマックスで主人公の西郷隆盛(鈴木亮平)が登場。
西郷には大久保のような政治的駆け引きや権謀術数はない。
ただ腹を割って話すのみ。
「俺たちの肩には戊申の役で死んだ八千の魂が乗っちゃっとぞ」
「こげなつまらん政府と思われてはいかん」
これで席に戻る江藤、板垣、大隈。
上手い作劇ですね。
大久保に孤軍奮闘させて、最後に主人公・西郷が助けに来るという図式だ。
そして大久保とはこんな会話。
「おいは間違っていたのだろうか?」
と問う大久保に西郷は答えて、
「おはんはそんでよか。
何年後かによかったと思える政事をやっているんじゃろう?
おはんが抱え切れんものは、おいが抱えてやる」
最後は友情物語でまとめた。
「美味い」と言ってふたりで食べたのも、豪華な洋食ではなく握り飯だ。
ふたりは依然として握り飯を食べていた頃の関係なんですね。
自分を理解して味方してくれる西郷に大久保は救われたことだろう。
鈴木亮平さんの西郷もいいが、瑛太さんの大久保もいいね。
前半は、西郷と斉彬の物語。
中盤は、西郷と徳川慶喜の物語。
そして後半は、西郷と大久保の物語になりそうだ。
旧幕府の天領だけが財源ですから、日本全土を統治して近代化をなすには金が足りません。
廃藩置県は西郷隆盛と大久保利通の共同制作ですね。
正直言って江藤や大隈や後藤や板垣といった小物風情に悪戦苦闘する大久保をみて、精細が欠いてると思いました。
しかし、大久保は切れ者でも西郷の様にネームバリューとカリスマと討幕のでの目に見える実績がないですからね。
外務卿を務めていた小松帯刀が生きてれば、違ってたと思います(西郷と大久保の上司でしたからね)
個人的に小松帯刀と大村益次郎が後10年生きてれば、西郷と大久保の対立と長州閥の腐敗は抑えられた気がします。
私も大久保利通の功績は維新の三傑に恥じないと思います。
しかし、大久保利光の現実主義は落とし穴もあるんですよね。
詳しくは福永氏の感想をみてください。
https://ameblo.jp/hidekifukunaga/
私は大久保と西郷は共同で政務をやってこそバランスがとれたと思います。
本作でも「人望」型の西郷と「能吏」型の大久保という一般的イメージに即した形で人物造形がされているようです。
一般に能吏型の人間は孤立しがちであり、その地位は権力者の庇護あってのものであることは石田三成の例に明らかです。
それゆえ、これまで自分の庇護者であった久光との決別に際しての大久保の覚悟には並々ならぬものがあったのではないかと想像します。
無論、久光(島津家)から岩倉(朝廷)へと乗り換えたということでしょうが、いずれ敵に憎まれて暗殺されるところまで覚悟のうちだったのかもしれません。
私にとって印象的だったのは満寿の相変わらずの聡明ぶりでした。
彼女は大久保の愛人ゆうの存在を知っていたと同時に、大久保の覚悟のほども察していたように見えました。
>「美味い」と言ってふたりで食べたのも、豪華な洋食ではなく握り飯だ。
西郷は西郷で、やがて「人望」のゆえに死んでゆくのですね。
いずれにせよ、二人とも己れの利を求めず「百年先」を見据える(実際に見通しきれるかどうかは別として)志では共通していたということでしょう。
己れの任期の間しか見ることなく、自分自身のために虚名を追い求めるだけの現代の輩たちに爪の垢でも煎じて飲ませたいものです。
ところで、今回は縁側で父隆盛と佇む菊次郎少年の雰囲気が良かったと思いました。
今井悠貴君には愛加那を演じる二階堂ふみさんの面影に通じるものが感じられます。
幕末の時は弱る幕府が痛々しくて全然見る気がしませんでしたが、明治に入ってから面白くなってきましたね。やはり新政府と現代日本の腐敗が繋がって見えてしまう事と、それを鋭く指摘する西郷が素晴らしい。(実際のところは分かりませんが)
昔は幕末の方が好きだったんですけどね。
西郷が食事の席で自分は注文してないから握り飯に対して、周りはやたらと豪勢な食事に対しての一言が一番笑ってしまいましたね。
金が無いならまずは自分達が節制すれば良いと言った時に、他の連中が一様に固まったり、いやそれだけはみたいな反応をした時に、やっぱり権力を持ったら人間こうも堕落してしまうのかと。
まあ今も似たような政治家や官僚は腐る程いますけどね。
税金という名の人の金で飲む赤坂の酒はさぞかし美味いんでしょうね。お友達と食べる焼肉はさぞかし美味しいんでしょうね。小生のような庶民には分かりませんが。
これに対して大久保はこれも西洋列強に舐められ無いようにするためと言っていましたね。まあその極みがかの鹿鳴館外交なわけですが、西洋人から見たら結局は猿が俺たちの真似をしているだけだと馬鹿にされて失敗に終わりましたが。(コンドル作の美しい建物とか、この後社交界の華として陸奥宗光外交を支えた亮子夫人を生み出したという点もありますから、全くの無駄とは言いませんけども)
いつもありがとうございます。
江藤、大隈、後藤、板垣に対するロギーさんの評価は〝小者〟なんですね。
今作でも小者に描かれていたので、実際の歴史的評価はどうなんだろう? と思って見ていました。
急進派の大久保と穏健派の木戸たち。
まあ、既得権・生活基盤を奪われる武士の不満や不安を想像すると、穏健派の危惧もわからないではないですけどね。
僕も人間が保守的になってきたせいか、急ぎすぎる改革に抵抗感をもってしまいます。
ロギーさんの中で、小松帯刀と大村益次郎の評価は高いんですね。
僕は、今回をきっかけに大久保に関する本を読み始めたのですが、小松帯刀、江藤、大隈、後藤、板垣など、知りたいことがどんどん出て来てワクワクしています。
彼らのことをもっと深く理解したい。
こういう勉強は楽しいですよね。
徳永さんのブログもご紹介いただき、ありがとうございます。
いつもありがとうございます。
今回、大久保は非情になりましたね。
おっしゃるとおり、死を覚悟して腹をくくっている。
同時にこれは、慶喜を追い詰め、戊辰戦争を戦っていた時の西郷に通じるものがある。
・西郷の覚悟=大久保の覚悟。
深読みしすぎかもしれませんが、大久保は戊辰戦争の時の西郷を見て「今度は自分の番だ」と思ったのかもしれませんね。
大久保は常に西郷の背中を追いかけている。
満寿はもっと掘り下げてほしい女性ですよね。
夫が二度と鹿児島に戻ってこないことを理解している聡明さを持ち、愛人に関しては黙認している。
おそらく彼女の心の中では、激しい嵐が吹き荒れているのでしょうが、それがオモテに出ない所が不気味ですごいですよね。
彼女の本音を聞いてみたいです。
今作の女性たちはすべて抑制的な描き方をされていますよね。
今井悠貴君は本当に愛加那・二階堂ふみさんに面影がありますよね。
よくもまあ、こういう顔立ちの子を見つけてきたなと思って見ていました。
いつもありがとうございます。
贅沢な洋食と握り飯。
僕も、自分の持っている問題意識のせいか、現政権批判を想起してしまいました。
・自分たちは毎晩豪華な会食をしながら庶民の食卓には関心を抱かない現政権。
・外国の危機を感じ、日本を世界に誇る国にするために、さまざまな政策を打ち出すが、逆に庶民を苦しめているだけの現政府。
明治新政府と現政権の姿がどこかオーバーラップしてしまいます。
もし安倍晋三氏が今回の放送を見ていたら、自分を大久保と重ね合わせて、
「自分の改革も50年後には評価される」
「大久保利通のように反対があっても貫き通そう」
とか考えていそうですよね(笑)
安倍氏は先日、〝明治150年〟のイベントをおこないましたが、明治の持つ負の側面には目が行っていない気がします。