平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

鎌倉殿の13人 第1回「大いなる小競り合い」~ラストで源平時代のスターが総登場! 義経、義仲、清盛、ゴッシー!

2022年01月10日 | 大河ドラマ・時代劇
 頼朝(大泉洋)を助けて平家を打倒し、鎌倉幕府を作る北条家の物語である。

 伊東祐親(浅野和之)は平家派。平家の恩恵を受けている。
 北条家は伊東家の配下にあり、
 当主・時政(坂東彌十郎)は現状維持派。
 一方、長男・宗時(片岡愛之助)は平家の横暴に怒っている反平家。

 主人公・義時(小栗旬)はどちらかと言うと現状維持派で、間に入って振りまわされる役まわり。

 他にこの土地の豪族として、三浦氏がいる。

 これらの点を押さえておけば、今作を愉しめるだろう。

 では、なぜ北条家が主人公なのか?
 幕末は倒幕。
 戦国時代は信長・秀吉・家康の天下取り。
 今作は平家を打倒しての天下取り。
 脚本・三谷幸喜さんとしては「どうして源氏の天下取りの物語が大河ドラマ化されないのだろう?」という思いがあったのだろう。
 ……………………………………

 おおっ! と唸るシーンがふたつあった。

 ひとつは頼朝の描写。
「千鶴丸は死ぬ運命にあったのだ」
「天が私を生かしておくのは何故か?
 おそらく、この世でなすべきことが私にあるのだろう」
「立つか立たぬかは私にはわからない」
 これらのセリフだけを見ると、頼朝は「運命論者」なんですね。
 すべては運命の命じるまま。
 ただ流されて生きていくだけ。

 ところが、シーンが変わると──
「祐親を殺せ……! 伊東の祐親だけは絶対に許せん……!」
 頼朝は千鶴丸を殺されたことが許せなかったんですね。
「死ぬ運命にあったのだ」と言いながら、裏でははらわたが煮えくりかえっていた。
 この二面性!!
 実は頼朝には強い意思があった。
 これで頼朝というキャラが輝く。

 キャラの二面性は他にも。
 父・時政も頼朝をかくまっていたら伊東祐親に「首ちょんぱ」されるとうろたえながら、
 頼朝を寄こせと言って来た祐親に対し、
「わしがおらんと言えばおらんのだ!」

 ラストのシーンもよかったですね。
 おおっ! と唸ってしまった。

 ドラマの大半を使って、北条氏と伊藤氏の「小競り合い」を見せながら、
 ラストで平家打倒を狙う信濃源氏の棟梁・木曽義仲(青木崇高)を登場させ、
 平氏とは独立した勢力の奥州・平泉の藤原秀衡(田中泯)とそこに身を寄せる義経(菅田将暉)を登場させた。
 これで作品が「地方豪族の小競り合い」から「全国規模の物語」にヴァージョンアップした。
 源平時代のスター揃い踏みという感じ。
 清盛(松平健)、後白河法皇(西田敏行)という妖怪・ラスボスも登場した。

 さて、今後どんな平氏打倒の物語を見せてくれるのだろう?


※追記
 ラストの逃走シーンのBGMで、ドボルザークの「新世界」が使われていた。
 今後もクラシックが使われるのかな?


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
お久しぶりです (TEPO)
2022-01-10 16:11:03
コウジさん、お久しぶりです。
今回作には大いに期待しています。
まず、文句なしの「勝者のドラマ」であること。
私は基本的に「ハッピーエンド」好きであり、大河ドラマも娯楽性を打ち出してよいと思っているので、昨今の大河が「敗者の視点」ばかり追求する傾向が強かった点が不満でした。

しかし、「源平物」に関して誰が「勝者」かというと意外に難しい。
過去「義経視点」は何回かあったと思いますが、打倒平家までは良いとして、その後は没落が待っている。
では「頼朝視点」はどうかと言えば、頼朝にとっても義経、範頼との身内の確執は幸福とは言えず、また嫡流も三代で途絶えてしまうので「勝者」感が乏しい。
その点、「北条氏」なら高時の代まで続く文句なしの「勝者」です。
いわば「コロンブスの卵」なのですが、なぜ今まで北条氏が注目されなかったのか。

一つには、「源平物」―という表記を私も用いてしまいましたが―は「源氏」対「平家」の物語である、というステレオタイプ理解があったように思います。
その結果、平家打倒のヒーローは「義経」か「頼朝」か、ということになります。
このステレオタイプが強力だったため、「平清盛」の根本図式が「朝廷・公家」対「武家」の対立であって、清盛と義朝は盟友であり、頼朝は清盛の後継者である、という枠組みが一般には全く理解されなかったのだと思います。
その点、「源平の戦い」は実は「平氏対平氏」の戦いだった、と指摘する記事をFacebook上で目にしました。
北条氏のみならず「平家打倒」に立ち上がる「源氏」軍の武将たちの大半は血統的には忠盛・清盛ら伊勢平氏と同じ桓武平氏でした。
「源平の戦い」と呼ばれているものは、西国で力を付けて朝廷に接近した伊勢平氏と、坂東に土着した平氏との戦いだった、というわけです。

北条氏への着目を妨げてきたもう一つの要因は、ヒーローである北条義時が「承久の乱」で後鳥羽上皇らを流罪に処したことによる「悪役」イメージが考えられます。
「承久の乱」については、「乱」と表記するのか、「つくる会」の教科書などのように「変」と表記するのかについて、今日でもイデオロギー的な小競り合いがあるようです。
古典の「太平記」とは異なり、大河ドラマの「太平記」は尊氏視点のドラマでした。
皇国史観での「悪役」を主人公に据えるという挑戦という意味でも期待しています。

さて初回ドラマですが、主人公義時には家族たちからの「無茶振り」「丸投げ」「尻拭い」の嵐が襲っています。
直前の番宣番組で、北条家の中で義時だけが「まとも」で、他は皆「ポンコツ」だ、と言って出演者たちが笑っていました。
たしかに、「父上」時政は行き当たりばったり、「兄上」宗時は無鉄砲、「姉上」政子も頼朝に一目惚れしてからは恋に暴走と、皆無責任。
唯一「まともな人」が、苦労を重ねて成功してゆくという、まさに王道の物語が期待されます。

唯一気になったのが、登場人物たちの話し方が完全に現代風だったこと。
昭和の時代劇ファンとしては、ちょっと違和感があります。
返信する
お久しぶりです! (コウジ)
2022-01-10 19:37:17
TEPOさん

お久しぶりです。

TEPOさんは源平時代にお詳しいようですね。
僕は完全に頼朝以降のことは、ほとんど知識ゼロです。
承久の乱は義時が後鳥羽上皇を流罪にしたんですね。
おそらく歴史の教科書には載っていたのでしょうが、完全に抜けていました。

「平清盛」は、朝廷・公家と武家の争いでしたね。
そして清盛を引き継いだのが頼朝。
そうそう、思い出して来ました。

主人公がマトモで、まわりは変。
というのは「真田丸」でもそうでしたね。
まさに三谷幸喜作劇。
そのルーツは、チャップリンやバスター・キートンなどの古きアメリカ映画の喜劇。

言葉は現代風でしたね。
「首ちょんぱ」がツイッターのトレンドになっていました。
僕は素直なので当時の言葉に「首ちょんぱ」があったのかと思っていました。笑

あとは、
英語のタイトル。確か「13lords of shogun」
劇伴はドボルザークの「新世界」
新しい大河ドラマを狙っているんですかね?
返信する
Unknown (ロギー)
2022-05-13 17:23:40
大泉頼朝は小心者ので、ド屑のクソ野郎に見えるでしょうけど。
史実等を組み合わせると彼の言い分も解る気がします。
軍事貴族清和源氏の棟梁の嫡子として生を受けた彼にしてみれば、没落して流人となった現実を考慮すれば、八重や政子を妾にして地方の豪族として生き残りをかけるのは自然です。
しかし、祐親にしてみれば主筋で保護はして娘を嫁にして子供をもうけるのは問題は無くても、源氏の嫡男で坂東のルールを守らず自分の家を乗っ取ろうとする頼朝を抹殺するのも納得です。

頼朝にしてみれば、家来筋の伊東が主筋の自分と我が子を殺すなんてトラウマ物でしょうね。
親父の場合は戦に負けたし、現場を見てませんけど。
頼朝にしてみれば、何で俺と息子はこんな目に遭うんだよって感じに見えます。

頼朝は坂東に自分を頂点とした朝廷を作って、安穏に暮らせるための手段なんでしょうな。
酷い奴に見えますが、親父は清和源氏の棟梁で母親は院の近臣で、藤原氏南家という地方では途方もない貴種の血を引く頼朝にとって、自分の権利を主張してるだけなんですよね。
返信する
頼朝のトラウマ (コウジ)
2022-05-14 09:39:41
ロギーさん

いつもありがとうございます。

>頼朝にしてみれば、家来筋の伊東が主筋の自分と我が子を殺すなんてトラウマ物でしょうね。
なるほど~。
これが現在の頼朝の人格(=人を信じられない)をつくっているのかもしれませんね。

>頼朝は坂東に自分を頂点とした朝廷を作って、
頼朝の独創的な所はここですよね。
京ではなく、鎌倉で政権をつくったこと。
それは自分の御家人たちが板東武者だったからでしょうが、京育ちの頼朝が京に行かなかったことは、考えてみると面白いですよね。
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