「信長があれほど脆いとは思わなかったぞ」
「前代未聞のだらしなさでございますなぁ。もはや信長ごときは無用かと」
義昭(滝藤賢一)、どうやら摂津晴門(片岡鶴太郎)の毒がまわってしまったようだ。
光秀(長谷川博己)の言葉より摂津の言葉に耳を貸すようになっている。
まあ、光秀の言に従って摂津に参軍したら負けいくさだったし、信長(染谷将太)は分をわきまえぬ要求をしているようだし、こうなってしまうのは必然か。
確たる信念のない人物は付和雷同、まわりの言葉に流される。
目の前の出来事に目が行き、長期的にものを考えられない。
まあ、僕たちは歴史を知っているからこう言えるわけで、迷える不安な人物が目の前の事象に振りまわされてしまうのは仕方のないことなのだが。
摂津でのいくさの後、義昭は甲冑を脱いでふんどし姿の裸体を披露。
実に象徴的だ。
義昭はひ弱な僧から武士になりつつある。
…………………
信長包囲網を今回のように重層的に描いたのは初めてではあるまいか。
・三好が四国から襲来。
・これに力を貸す石山本願寺。
・これに呼応して浅井・朝倉が京に向かう。
・途中の近江で比叡山延暦寺が信長に反旗・警告。
・三河では武田信玄が侵攻してくる予兆。
今まで『点』で描かれていた個々の史実が、『線』となり『面』となっている。
その要にいるのが摂津晴門と朝倉義景(ユースケ・サンタマリア)、そして摂津に毒された義昭。
すべての史実は連動しているんですね。
その中で、義昭、信長、光秀、朝倉義景ら登場人物たちの心中を細かく描いているのは見応えがある。
コロナの休止期間で、脚本を練り直す時間があったから、このクォリティになったのかな?
そして、駒ちゃん(門脇麦)。
どんどん存在感・発言力を増している。
将軍・義昭と直に話すことができ、薬の販売で今井宗久(陣内孝則)の茶会にも招かれるような存在に。
これは面白い。
まさか駒ちゃんの出世物語を見られるとは!
今までの大河のオリジナルキャラクターと言えば、忍者くらいだったからな。
新登場の人物は筒井順慶(駿河太郎)。
さまざまな駆け引きのできる、したたかな人物として描かれている。
おそらく松永久秀(吉田剛太郎)の関わるドラマに絡んで来るんだろうけど、
摂津晴門といい、今まで注目されなかった人物にスポットライトを当てているのはいいですね。
「前代未聞のだらしなさでございますなぁ。もはや信長ごときは無用かと」
義昭(滝藤賢一)、どうやら摂津晴門(片岡鶴太郎)の毒がまわってしまったようだ。
光秀(長谷川博己)の言葉より摂津の言葉に耳を貸すようになっている。
まあ、光秀の言に従って摂津に参軍したら負けいくさだったし、信長(染谷将太)は分をわきまえぬ要求をしているようだし、こうなってしまうのは必然か。
確たる信念のない人物は付和雷同、まわりの言葉に流される。
目の前の出来事に目が行き、長期的にものを考えられない。
まあ、僕たちは歴史を知っているからこう言えるわけで、迷える不安な人物が目の前の事象に振りまわされてしまうのは仕方のないことなのだが。
摂津でのいくさの後、義昭は甲冑を脱いでふんどし姿の裸体を披露。
実に象徴的だ。
義昭はひ弱な僧から武士になりつつある。
…………………
信長包囲網を今回のように重層的に描いたのは初めてではあるまいか。
・三好が四国から襲来。
・これに力を貸す石山本願寺。
・これに呼応して浅井・朝倉が京に向かう。
・途中の近江で比叡山延暦寺が信長に反旗・警告。
・三河では武田信玄が侵攻してくる予兆。
今まで『点』で描かれていた個々の史実が、『線』となり『面』となっている。
その要にいるのが摂津晴門と朝倉義景(ユースケ・サンタマリア)、そして摂津に毒された義昭。
すべての史実は連動しているんですね。
その中で、義昭、信長、光秀、朝倉義景ら登場人物たちの心中を細かく描いているのは見応えがある。
コロナの休止期間で、脚本を練り直す時間があったから、このクォリティになったのかな?
そして、駒ちゃん(門脇麦)。
どんどん存在感・発言力を増している。
将軍・義昭と直に話すことができ、薬の販売で今井宗久(陣内孝則)の茶会にも招かれるような存在に。
これは面白い。
まさか駒ちゃんの出世物語を見られるとは!
今までの大河のオリジナルキャラクターと言えば、忍者くらいだったからな。
新登場の人物は筒井順慶(駿河太郎)。
さまざまな駆け引きのできる、したたかな人物として描かれている。
おそらく松永久秀(吉田剛太郎)の関わるドラマに絡んで来るんだろうけど、
摂津晴門といい、今まで注目されなかった人物にスポットライトを当てているのはいいですね。
情報通の秀吉にとって、駒は、すでにかつての「読み書きの手ほどきをしてくれた好もしい娘」ではなく、その人物像はしっかりと色づけられており、光秀に扱い方を忠告するまでになっている。
秀吉の史実像がいかに「女好き」であったとしても、この距離感はもう確定でしょう。
今後家康が駒とどう絡んでくるのかは、未だ未知数ですが。
それにしても、ヒロインと言えばヒーローの妻か恋人という固定観念を見事に打ち破っていますね。
そうした個人的な愛情関係については、「正妻一筋」という史実像に違わず、良妻熙子さんを中心に、可愛い娘たち、浪人生活も共にした左馬助や常に加え、伝五も合流した「明智ファミリー」の世界が堅固に存在しています。
しかし、劇中での彼らの存在意義はそれ以上でもそれ以下でもない。
今回は「信長様の戦は公方様の戦」ということで光秀と駒とは協力しあえていましたが、今後信長と義昭との離反が明らかになってからは二人の関係はどうなるのでしょうね。
駒の人柄から見て、今後義昭が没落しても、駒が義昭を見捨てることはないように思います。
前にも書いた通り、義昭は信長や光秀(「天海展開」が無いとして)よりも長生きします。
秀吉の御伽衆となった後も、義昭の側には駒が寄り添っているような気がします。
しかし、駒にとって光秀は初恋の人であり、光秀の父は命の恩人である「立派なお侍」ということで、光秀と明智一族への好意は生涯続くことでしょう。
「語り部」としては格好の立ち位置かもしれません。
こうした立場にヒロインを投入したという事実は、本作が「将軍側の視点」をいかに重視しているかを示していると言えましょう。
>信長包囲網を今回のように重層的に描いたのは初めてではあるまいか。
>義昭、信長、光秀、朝倉義景ら登場人物たちの心中を細かく描いているのは見応えがある。
信長視点、秀吉視点、さらには家康視点のドラマのいずれにも無かった掘り下げ方だと思います。
ところで、筒井順慶はあの「洞が峠」の筒井順慶です。
この順慶に光秀、秀吉が並んで初対面というのも演出ですね。
いつもありがとうございます。
そうそう、僕も秀吉と駒の距離感が気になりました。
秀吉なら駒に会ってもっと大喜びをしていいはずなのに、クールな対応。
背景にはTEPOさんがおっしゃるようなことがあって、秀吉は既に把握していたんですね。
駒は「語り部」。
なるほど~、光秀亡き後は、駒がその後の目撃者として描かれるんでしょうね。
徳川の世になって「光秀様、やっと麒麟がきましたよ」みたいなことを言う。
ドラマとしてはラストで「麒麟がきた世」を描かなければならないので、語り部としては適任です。
>筒井順慶はあの「洞が峠」の筒井順慶です。
確かに「洞が峠」がありましたね。
なかなかドラマチックな役まわりです。
子孫の作家・筒井康隆氏は「筒井順慶の日和見はウソだ」と言っているようですが、本作ではどう描かれるのでしょう?
生き残るために最善を尽くす人物のようなので、両者を天秤にかけて動くんでしょうね。