「義高(市川染五郎)を討て」と頼朝(大泉洋)に命じられる義時(小栗旬)。
この命に義時は葛藤する。
恐怖・強権政治ですね。
「この鎌倉で頼朝に逆らって生きていけんのだ!」
「鎌倉は怖ろしい所だ……」
今のプーチン政権下のロシアもこんな感じなのだろう。
人は権力を持つと狂い始める。
万能感を持ち強権をふるうが、
同時に自分のまわりがすべて敵に見えて脅え始める。
完全に不信のかたまりになる。
それは清盛しかり、信長しかり、ヒトラーしかり、スターリンしかり、プーチンしかり。
そんな頼朝に政子(小池栄子)は言う。
「どうそ皆に信じる心をお示し下さい!」
頼朝には頼朝の論理がある。
「人の世を治めるには鬼にならねばならぬのだ」
「父を殺された武士の恨みは深いのだ」
実際、父・義仲(青木崇高)を殺された義高の恨みは深かった。
「私は鎌倉殿を許しはしない!」
そんな義高に対して義仲は遺言を遺した。
「鎌倉殿を仇と思うな」「源氏同士で荒そうな」「源氏の悲願の平家打倒を見届けよ」
大きな人物ですね、義仲は。
私怨よりも自分の理想や大局を見ている。
義時も手を汚してしまった。
冤罪で武田信義(八嶋智人)の嫡男・一条忠頼(前原滉)を殺害。結果、信義は頼朝に屈服した。
義高のクビを取った藤内光澄(長尾卓磨)を殺害。
不本意なことをしてしまった理由は「北条」のため「家族」のためだ。
「私にはここ(鎌倉)しかない」からだ。
さて、ここから義時はどう生きる?
ここで踏みとどまるか? 手枷が解けてどんどん謀略に荷担していくか?
そんな中、頼朝の従者・安達盛長(野添義弘)は正気を保っている。
義高を殺す頼朝に違和感を抱き、義時たちの企てを外から協力。
「冠者殿に生きのびてほしいのは私も同じ」
「これ以上、皆の心を鎌倉殿から離したくない」
協力したのは頼朝を思っての行動だったんですね。
恐怖政治はいずれ頼朝に跳ね返って来ることを盛長はわかっている。
政子は自分の言葉の重みを知った。
「断じて許しません!」という自分の言葉が藤内光澄の死を招いてしまった。
義時に『御台所の言葉の重さ』を諭される政子。
権力を持つ者の言葉は重いのだ。
何気なく発した言葉で下は動く。
森友事件をめぐる安倍晋三の言葉で財務省が公文書改ざんをおこない、赤木俊夫さんが自殺されたように。
そして義時は自分に言い聞かせるように、さらに政子に言った。
「我らはかつての我らではないのです」
これは哀しいですよね。
以前の普通の生活の方がどんなに楽しかったことか。
義時たちはこれを失ってしまった。
そして義経(菅田将暉)をめぐるフラグ。
「ひよどり越えの方が響きがいい。馬で駆け下りた方が絵になる。歴史はこうして作られる」
と絶好調の義経。
後白河法皇(西田敏行)から「京の安寧を任す」と言われて検非違使に。
これは頼朝の怒りを買いそうだ。
比企能員(佐藤二朗)は娘を義経に嫁がせて源氏の外戚になり、ポスト北条を画策。
しかし、義経は静御前(石橋静河[)に出会ってしまった。
これも火種になりそうだ。
……………………………
はあ……。
今回は盛りだくさんでしたね。
登場人物のさまざまな思いが交錯して、実に密度が濃かった。
権力を持つとはどういうことかも考えさせられた。
個人的には義高逃亡を見て見ぬふりをした安達盛長に救われた。
義高の殺害に関しても史実の行間を読んだ見事な作劇。
伊豆山権現への逃亡~政子は信じられるが義時は信じられない~単独で信濃への逃亡の流れはおそらく作家の創作だろう。
この命に義時は葛藤する。
恐怖・強権政治ですね。
「この鎌倉で頼朝に逆らって生きていけんのだ!」
「鎌倉は怖ろしい所だ……」
今のプーチン政権下のロシアもこんな感じなのだろう。
人は権力を持つと狂い始める。
万能感を持ち強権をふるうが、
同時に自分のまわりがすべて敵に見えて脅え始める。
完全に不信のかたまりになる。
それは清盛しかり、信長しかり、ヒトラーしかり、スターリンしかり、プーチンしかり。
そんな頼朝に政子(小池栄子)は言う。
「どうそ皆に信じる心をお示し下さい!」
頼朝には頼朝の論理がある。
「人の世を治めるには鬼にならねばならぬのだ」
「父を殺された武士の恨みは深いのだ」
実際、父・義仲(青木崇高)を殺された義高の恨みは深かった。
「私は鎌倉殿を許しはしない!」
そんな義高に対して義仲は遺言を遺した。
「鎌倉殿を仇と思うな」「源氏同士で荒そうな」「源氏の悲願の平家打倒を見届けよ」
大きな人物ですね、義仲は。
私怨よりも自分の理想や大局を見ている。
義時も手を汚してしまった。
冤罪で武田信義(八嶋智人)の嫡男・一条忠頼(前原滉)を殺害。結果、信義は頼朝に屈服した。
義高のクビを取った藤内光澄(長尾卓磨)を殺害。
不本意なことをしてしまった理由は「北条」のため「家族」のためだ。
「私にはここ(鎌倉)しかない」からだ。
さて、ここから義時はどう生きる?
ここで踏みとどまるか? 手枷が解けてどんどん謀略に荷担していくか?
そんな中、頼朝の従者・安達盛長(野添義弘)は正気を保っている。
義高を殺す頼朝に違和感を抱き、義時たちの企てを外から協力。
「冠者殿に生きのびてほしいのは私も同じ」
「これ以上、皆の心を鎌倉殿から離したくない」
協力したのは頼朝を思っての行動だったんですね。
恐怖政治はいずれ頼朝に跳ね返って来ることを盛長はわかっている。
政子は自分の言葉の重みを知った。
「断じて許しません!」という自分の言葉が藤内光澄の死を招いてしまった。
義時に『御台所の言葉の重さ』を諭される政子。
権力を持つ者の言葉は重いのだ。
何気なく発した言葉で下は動く。
森友事件をめぐる安倍晋三の言葉で財務省が公文書改ざんをおこない、赤木俊夫さんが自殺されたように。
そして義時は自分に言い聞かせるように、さらに政子に言った。
「我らはかつての我らではないのです」
これは哀しいですよね。
以前の普通の生活の方がどんなに楽しかったことか。
義時たちはこれを失ってしまった。
そして義経(菅田将暉)をめぐるフラグ。
「ひよどり越えの方が響きがいい。馬で駆け下りた方が絵になる。歴史はこうして作られる」
と絶好調の義経。
後白河法皇(西田敏行)から「京の安寧を任す」と言われて検非違使に。
これは頼朝の怒りを買いそうだ。
比企能員(佐藤二朗)は娘を義経に嫁がせて源氏の外戚になり、ポスト北条を画策。
しかし、義経は静御前(石橋静河[)に出会ってしまった。
これも火種になりそうだ。
……………………………
はあ……。
今回は盛りだくさんでしたね。
登場人物のさまざまな思いが交錯して、実に密度が濃かった。
権力を持つとはどういうことかも考えさせられた。
個人的には義高逃亡を見て見ぬふりをした安達盛長に救われた。
義高の殺害に関しても史実の行間を読んだ見事な作劇。
伊豆山権現への逃亡~政子は信じられるが義時は信じられない~単独で信濃への逃亡の流れはおそらく作家の創作だろう。
義高については、大姫が逃がそうと手配して女装して脱出するも、藤内光澄に討たれたこと、政子の怒りを買った藤内光澄が誅されたことが書かれています。
大抵の人物についてWikiを見ている私には「着地点」は見えてしまっているのですが、それでも、そこまでどう展開するのかについては「見せて」くれます。
いくら当時の青少年が早熟でも、「小学校1年生」に脱出の手配はさすがに無理で、政子や義時に近しい人々による共同作戦。
>伊豆山権現への逃亡~政子は信じられるが義時は信じられない~単独で信濃への逃亡の流れ
結局、義時を信じ切れなかった義高の自滅ということで、少なくとも義高に関しては、辛うじて義時は手を汚さず、同時に頼朝との関係にも破綻を来さずに収まっています。
本作が描くのは血塗られた世界であることは最初から分かっており、その中で主人公義時には可能な限り手を汚させないように展開すると予想していましたが、実際そうなっていると思います。
一条忠頼は、父・武田信義と共に実際に義高を籠絡しようとしていたのであり、「冤罪」ではありません。
たしかに理不尽だったのは、自分が褒美に値する手柄を立てたと思っていた藤内光澄。
これはおっしゃるとおり、『御台所の言葉の重さ』の教訓。
ところで、八重さんが義高脱出計画に一役買っていたので、巻き込まれはしないかと心配していましたが、取り敢えず今回も無事だったので一安心しました。
先々週コウジさんからご紹介いただいた「女性自身」の記事も読みましたが、
>《撮影後も》『自分が思い描いていた以上の八重さんでした』
という三谷氏のコメントが紹介されていたのが気になりました。
最近の朝日新聞にも新垣結衣さん自身のインタビューが掲載されており、どうやら彼女はすでにクランクアップしている雰囲気が感じられます。
というわけで、準・架空人物化している八重の「退場」が気になっています。
先週の上総介広常殺害あたりから「ポンコツ家族のドタバタ喜劇」は影を潜め、「粛正の中でのサバイバル・ストーリー」本番へと雰囲気が一変しました。
義時も、極力「手を汚さない」ように描かれてはいるものの、やはりかつてとは顔つきも変わってきました。
そうした中で、心傷ついた義時の肩を黙ってそっと抱いていた八重の姿が印象的でした。
まあ~頼朝が義高を始末するのは頷けます。
源氏は同族殺しの一族ですし、棟梁は己だと示すには義高は生贄でしょう。
しかし、その代償で頼朝は娘大姫に一生恨まれて、彼の悲惨な末路の伏線ですな。
大姫が義高に惚れるのも無理はないですね。
自分の父と同じ軍事貴族の名家で気品があって優しい好青年、生涯の伴侶と決めるのも同感です。
史実だと義経の検非違使判官任命は頼朝の了解を得てるそうです。
義仲を倒した後の義経の仕事は都の復興と治安回復といった後方支援です。
まあ~吾妻鑑って北条得宗家が正統性を示す為に作られたプロパガンダですからね。
しかし、在京中に法皇や院の近臣たちと接触して義経は取り込まれたんでしょうな。
いつもありがとうございます。
おっしゃるとおり、義時が完全な悪者にならないように作劇されていますよね。
とはいえ、権力を持つとは自らの手を汚していくこと。
生きるということ、組織の中で生きるということはなかなか厄介です。
「平清盛」に拠れば、西行はそんな俗世が嫌で出家しましたが、西行の気持ちはよくわかります。
父上・時政もそんな鎌倉が嫌で、一時故郷へ帰りましたし、工藤祐経も鎌倉を去った。
この方が人としてマトモに生きていけるんでしょうね。
一方、義時は鎌倉に残った……。
八重に関して、僕も同じことを思いました。
逃亡に荷担したことで罪に問われて退場……。
でも違いました。
よかった! まだガッキーを見られる!笑
ラストで肩に手を添えるシーンはよかったですよね。
義時も救われたことでしょう。
一条忠頼は確かに義高に声をかけていましたね。
これは頼朝にしてみれば「謀反」。
勘違いしていました。
もっとも父・信義にしてみれば、信義らは頼朝の家人ではないので「謀反ではないわ!」
この信義のリアクション面白かったですね。
いつもありがとうございます。
>母方の実家が院の近臣でコネがあったのと保元の乱で信西がやり過ぎた処分を朝廷は不味いと判断したんですよ。
>史実だと義経の検非違使判官任命は頼朝の了解を得てるそうです。
相変わらずロギーさんは史実にお詳しい。
史実をどう脚色・フィクションにして面白くしていくかは作家の仕事ですが、ロギーさんの三谷幸喜作劇はどんな評価でしょうか?
大姫の件は僕も永井路子さんの小説を読んでいて知っていました!
本作ではどう描かれるんでしょうね?
さすがの頼朝も大姫には弱いようで、これが頼朝に暗い影を落としそうです。