平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

映画「ゴールデンカムイ」~明治の社会に居場所のない男たちが北海道で暴れまわる! アイヌの少女・アシㇼパが魅力的!

2024年08月17日 | 邦画
 映画『ゴールデンカムイ』を観た。
 なるほど~、この方法があったか!
 日本だと、銃の撃ち合いはどうしてもウソっぽくなってしまう。
 でも、それが明治三十七年の日露戦争後で、舞台が北海道があれば、ほとんど違和感はない。
 主人公の杉元佐一(山﨑賢人)や敵は陸軍の軍服を着ているしね。

 物語はアイヌの金塊をめぐる戦い。
 脱走した死刑囚の背中に金塊の隠し場所を描いた入れ墨があり、それを集めていくというのが
 メインのストーリーラインだ。
 これにアイヌの少女アシㇼパ(山田杏奈)が関わり、主人公・杉元の人生観が変わっていく。
 敵は金塊を狙う陸軍第七師団の鶴見中尉(玉木宏)。
 それに土方歳三(舘ひろし)! 何と土方は箱館戦争で死なずに生きていた!
 自分の愛刀・和泉守兼定を取り戻すために襲撃したりする。
 こういう虚実皮膜な所が面白い。

 第七師団の鶴見や土方がアイヌの金塊を求める理由は、これを資金にして『北海道に独立国家』を
 つくること。
 土方はもちろんそうだが、鶴見も明治政府に反抗的な、はみ出しものなのだ。
 主人公の杉元もそうだ。
 そんな彼らがイキイキと生きられるのは、まだ政府の手が行き届いていない北海道。
 いいですね、この世界観。

 日本史では、昭和の時代に入って満州馬賊が登場するが、
 彼らも鶴見同様、日本社会の枠の中で安住できない男たちだった。

 一方、彼らとは別の価値観で行動する人物もいる。
 ヒロインでアイヌの少女のアシㇼパだ。
 アシㇼパを始めとするアイヌの生き方は、自然との共生、神との会話だ。
 彼らは生きるためにリスや熊を殺して食べるが限度を知っている。
 親のいない小熊や狼がいれば育てる。
 神の言葉を心に刻み、民族の慣習や自らの運命に従って素朴に生きている。
 彼らには節度があり、過剰な欲望はない。

 こんな彼らの姿勢に、観ている僕たちは心を洗われる。
 主人公・杉元佐一もそうだった。
 だから、これらを体現するヒロイン・アシㇼパが魅力的!
 アシㇼパは山田杏奈さんがやっているのか。
 純粋さと芯の強さをもったアシㇼパを見事に演じている。

 杉元とアシㇼパのやりとりも面白い。
 アシㇼパは杉元の所持している味噌を「オサマ(ウンコ)」だと思って口にしない。笑
 杉元は助けた小熊をアシㇼパに食われると思って懐に隠している。笑
 こういう人間同士の交流! 異文化交流!
 アイヌのサバイバル技術が杉元を助ける所も面白い。

 面白い作品を見せてもらいました。
 アニメ版も見てみようと思う。
 脚本は映画『キングダム』シリーズも書いた黒岩勉さん。
 やっぱ黒岩さんの漫画脚色は上手いな。


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4 コメント

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アイヌ文化 (2020-08-15 21:49)
2024-08-17 20:31:03
ゴールデンカムイは、連載で読んでいただけですが、雑誌連載の頃は、物語中のアイヌ文化の紹介もかなりきめ細かく、特集記事でアイヌ文化の紹介もあったりして、とても興味深かったです。

日本の愛国者の中には、アイヌの信仰は神道的ではないので、日本文化とは違うと考える人もいますが、二千年くらいさかのぼれば多分同じ系統でしょう。
たとえばアイヌの入れ墨ですが、魏志倭人伝の「入れ墨をする倭人」に似ています。

日本の愛国者は、本土と違う文化があることを認めず、アイヌや沖縄の文化を否定したがるような人も多いのですが、あまり賛成出来ません。
返信する
アイヌ文化は縄文系 (コウジ)
2024-08-18 10:09:55
2020-08-15 21:49さん

いつもありがとうございます。

狩猟などを中心にするアイヌ文化は縄文系なんでしょうね。
日本には縄文の文化の痕跡が多数存在しますが、ヤマト王権が成立し、大陸の弥生文化の浸透で縄文文化が北に追いやられていったというのが古代史の流れなのでしょう。

そしてこれは「古事記」「日本書紀」の解釈や天皇家のルーツにも関わる問題。
僕が古代史に興味を持っているのは、この点です。

劇中、杉元とアシㇼパは心を通わせ、異文化を理解していきますが、現実もこうなるといいですね。

ネトウヨさんに関して言えば、縄文系、大陸系の遺伝子が混ざっているはずなんですけどね……。
返信する
愛国者って… (2020-08-15 21:49)
2024-08-18 19:27:49
>日本には縄文の文化の痕跡が多数存在しますが、ヤマト王権が成立し、大陸の弥生文化の浸透で縄文文化が北に追いやられていったというのが古代史の流れなのでしょう。

>そしてこれは「古事記」「日本書紀」の解釈や天皇家のルーツにも関わる問題。
僕が古代史に興味を持っているのは、この点です。

上皇陛下が、かつて埼玉の高麗神社を詣でたことがあったそうですが、関東に定住した朝鮮渡来人ゆかりの神社ということで、韓国が嫌いなネット愛国者たちは「半島に媚びる反日天皇」というレッテル貼りをやってましたっけ。

アイヌが縄文系という見立てには賛成です。
ロシアの愛国者の中には、アイヌの見た目が白人に似ているので、アイヌはロシア系であるという説を唱えている人もいるようです。
ロシア人が極東に進出したのは清朝になってからで、時期的にまるで合わないんですが、愛国的な人にはどうもそういう冷静な視点がないようで、どこも同じようですね。
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遺伝子レベルで考えれば (コウジ)
2024-08-19 08:33:48
2020-08-15 21:49

>「半島に媚びる反日天皇」というレッテル貼り
何という不敬な!笑
インチキ右翼ですね。

前のコメントにも書きましたが、遺伝子的には縄文系、弥生・大陸系が入り交じっているのが、われわれ日本人なんですけどね。
遺伝子検査をして大陸系の遺伝子があった時、彼らはどんな反応をするのでしょうね。

アイヌに関しては、北米やシベリア側から入って来た方もいるでしょうね。
それは清朝といった有史の話ではなく、ホモサピエンスの移動という見地で。

何が言いたいかというと、遺伝子レベルでみれば、人はさまざまな遺伝子が入り交じっているということ。
遺伝子レベルで考えれば、国など存在しないということ。

核戦争などで滅びなければ、いずれ人類社会は「国のない社会」に行き着くと思いますが、それまでは戦争や争い事が続きそうです。

ロシアに関しては「アイヌはロシア系である」「虐げられているアイヌの同胞を救うために北海道に侵攻する」という論があるようですね。
戦争の大義はこうして作られていくんですよね。
返信する

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