第四章 構造改革のための二五のプログラム (P238-283)
第一節 官企業の全廃がもたらす経済の覚醒 (P238-255)
●プログラム六 都市基盤整備公団などは、民営化でなく解体する (P246-247)
都市基盤整備公団は、総資産の規模で民間最大手の三井不動産の八倍強であ
り、年間売り上げでは四倍もの巨大組織である。そのうえ、多数の子会社を有
している。
わが国の公的な不動産・建設事業機関としては、都市基盤整備公団のほか
に、雇用促進事業団の住宅事業部門があるし、民都機構や都道府県の住宅供給
公社、土地公社などもある。いずれも行政の天下りビジネスであり、その資本
規模を合わせると民間が占めるそれにほぼ匹敵する。道路公団、鉄建公団、地
域振興整備公団、緑資源公団、水資源開発公団等の不動産事業も少なくない。
これらすべてを廃止すべきである。住宅、不動産の行政企業が解体されれ
ば、膨大な仕事が直接市場のものとなり、しかも“仕事が仕事を生む”生きた
経済を創り出す。したがって一時的に職場を失う人々の何倍もの雇用が創出さ
れるのだ。
この際、公団などの「廃止」は決して民営への移行ではなく、あくまで清算
手続きを行うことが重要である。なぜなら、特殊法人は「設置法」などによっ
て行政ビジネスとして「政策遂行」を建て前に予算が投入されてきた既得権益
の一種である。市場の水には合わず「民営化」にそぐわない。げんに「設置
法」には廃止に際しては清算するよう謳(うた)われている。
都市基盤整備公団の清算・廃止に当たっては、いま、公団本体に四八三一
人、系列子会社等に三五九四人の合計八四二五人いる職員の雇用間道が生ず
る。系列会社等についても原則として廃止すべきであるが規模の縮小で存続で
きるものは雇用問題の観点から存続させてもよいと思われる。また公団の中で
も賃貸住宅については国の“政策”に従って入居した方々が多数存在している
のであるから、これには財務省が直接責任を持って今後とも別の形態(固有財
産管理として)で、その管理を継続しなければならない。このための人員とし
て一〇〇名程度が必要と考えられる。家賃収入は借金返済と高齢者福祉などの
財源にあてられる。
結局、整理対象となる人数は四七〇〇人くらいとなろう。雇用促進事業団の
住宅部門、民都機構、地方公社等の住宅・不動産関係の行政企業全体で二万人
ほどと考えられる。これについては道路公団の場合と同様の対策を考えなくて
はならない。