TPPと緊急事態条項成立ならこの国は終わる
8月2日に閣議決定された経済対策は見かけ倒しである。
「総額28兆円」
と伝えられると、大型景気対策のように思われるかも知れないが、上げ底満載で正味量がとても小さい。
経済対策の規模は財政資金の直接投入量で測られる。
この直接投入量のことを「真水」という。
「真水」も国の分と地方の分に分かれるが、地方の「真水」は確定するものではない。
この「真水」が今回の対策では7.5兆円とされているが、そのうち3.5兆円は2017年度分なのだ。
2017年度というのは来年4月に始まる年度のことで、来年度分の景気対策が混入しているというのだから驚きというか、ほとんど詐欺のようなものだ。
今年度分の真水は、地方を含めて4兆円。
極めて小規模な景気対策なのだ。
そして、この景気対策。
具体化されるのは秋の臨時国会に提出される補正予算である。
臨時国会が召集されるのは9月26日が有力で、補正予算が成立するのは10月にずれ込むだろう。
実施されるのは年末以降ということになる。
安倍首相は今年の6月1日の衆院解散を断念した。
衆院任期は2018年12月まであるが、追い込まれ解散を防ぐために、ベストなタイミングで解散を打ってくると思われている。
その時期が今年の年末、あるいは来年初という見立てがあるのだが、景気対策を見るとその可能性は低い。
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景気対策には低所得者に1人15000円の現金給付というのが含まれている。
選挙との関連を考えれば、露骨な買収工作とも言える施策だが、この現金バラマキが来年秋になると見られている。
つまり、衆院解散は来年秋から年末というシナリオが描かれている可能性がある。
前置きが長くなった。
仮に解散が来年末までないとすると、これからの1年間のメインテーマは何になるのかという問題だ。
想定されるメインテーマが三つある。
第一は、自民党総裁任期延長の規約改定。
第二は、TPP批准。
第三は、憲法改定推進だ。
安倍氏は2020年の東京五輪の際に首相でいることを最優先課題に位置付けていると思われる。
「政治私物化」の象徴ともいえることがらだが、十分にあり得る想定だ。
安倍政権を支配しているのはハゲタカ資本であると見られるが、このハゲタカ資本が安倍首相に命令している最優先課題がTPP批准であると見られる。
TPPは日本の国民の利益にはまったくならないが、ハゲタカ資本にとっては垂涎の的だ。
米国でのTPP批准の雲行きが怪しくなっているため、事態を打開するために日本の批准を先行させる。
これがハゲタカ資本の判断で、ハゲタカ資本は安倍首相にTPP批准を必ず実行しろと命令していると判断される。
そして、安倍首相自身が狙っている最重要事項が憲法改定だ。
そして、その標的は「緊急事態条項」の加憲である。
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5月13日付のメルマガ記事に記述したが、これまで憲法改定に慎重姿勢を示してきた公明党がついに本性を表わしたと見える。
次の事実が伝えられている。
「公明党の北側一雄憲法調査会長(副代表)は(8月)13日までに共同通信のインタビューに応じ、憲法改正を巡り、大規模災害が国政選挙と重なった場合などに国会議員の任期延長を認める規定の新設が優先課題になるとの考えを明らかにした。」
何を意味しているのかと言うと、公明党が、憲法改定について、
「緊急事態条項の加憲が最優先であり、これに賛成する」
との意向を示したということだ。
極めて重大な情報である。
7月10日の参院選結果で、改憲勢力が衆参両院で3分の2以上の議席を占有した。
憲法改正発議が可能な状況が生まれた。
しかし、公明党がイエスと言わなければ憲法改定は実現しない。
この公明党が「緊急事態条項の加憲」で憲法改定にゴーサインを出したのだ。
安倍首相の狙いは9条改定ではなく、緊急事態条項加憲である。
極端な言い方をすれば、安倍氏は「緊急事態条項加憲」が実現すれば、それで「満貫」だと判断していると私は判断する。
「緊急事態条項」は「悪魔条項」と言ってよい。
この「悪魔条項」が加憲される危険が急激に高まっている。