連合の罪と罰<本澤二郎の「日本の風景」(3343)
<野党分裂を策すワルの元凶>
新聞記者を卒業する際、自民党派閥(ぴいぷる社)を出版して、当時の在京政治部長会の全メンバーを発起人になってもらって、日本記者クラブ10階の会見場で出版会を開いた。これで、雀の涙の退職金をカバーして生活費を調達した。この時、中島源太郎秘書の鈴木君が「面白い労働運動指導者がいる」といって紹介してくれた人物が、JR東労組やJR総連の松崎明さんだった。彼は生粋の平和労組・護憲のリーダーだった。
純粋の労働指導者を知って、悪しき連合の正体を活字にした。「連合の罪と罰」(データハウス)だ。日本の労働運動の右傾化の元凶として、衰退著しい連合だが、問題なのは、それによって野党分断の元凶ともなっている点である。その罪は重い。野党一本化を阻止、極右政権存続に手を貸す悪しき勢力とした、現在も断罪できるだろう。
<改憲軍拡の武器弾薬労組+原発推進労組=財閥の手先の労働貴族>
敗戦後の労働運動は、庶民大衆の味方として反戦平和の旗を高く掲げて、護憲の中心に居座り、日本政治のバランサーの役割を果たした。当時の労働組合の連合体の主流は、総評であって、彼らが社会党を支援して、自民党の右傾化阻止という大事な使命を果たしてきた。
右寄りの労働組合は同盟で、民社党を支持したものの、その政治力は弱かった。この総評と同盟が合体して連合になった途端、大衆と離反してしまった。今日の連合の政治的影響力はいかにも小さいのだが、野党分断という負の貢献をしていることには、何ら変わりない。
野党が一本化すれば、政権交代となるのだが、それを阻止している連合を解体するか、分裂させるか。日本政治の焦点の一つとなっている。
死の商人ともいえる武器弾薬製造の財閥労組は、安倍内閣の改憲軍拡政策のおかげで威勢がいいようである。連合の主導権を握って手放さない。もう一つが原発推進の財閥労組の存在である。311でも原発再稼働に底辺で推進役を果たしている労働組合の存在に、正直なところ、反吐が出る思いである。
この右翼・連合の中で、一人気を吐いているのがJR総連・JR東労組である。
悲しいかな、最近は分裂騒動で、松崎時代のような迫力がなくなっているようなのだ。
かくして連合は、財閥の手先・労働貴族として、大衆から離反して久しい。同じような事態が、信濃町で起きている。右翼勢力の傘下に入ってしまった公明党創価学会である。
池田大作路線を放棄してしまった信濃町の前途も危ういのだが、春秋の筆法をもってすれば、この連合と信濃町の変身が、安倍晋三という史上最低の内閣を温存させている元凶であると分析できる。
<国民に敵対する労組を斬れ!>
日本国民の生命財産は、日本国憲法によって間違いなく保護される。いかなる嵐が吹き荒れようが、戦争を禁じる平和憲法が、国民の生命財産を守ってくれる。
国際協調主義もまた、普遍的な原理として平和に貢献している。したがって破憲や加憲の勢力は、国民生活の安定を阻害する何物でもない。
護憲リベラルの宮澤喜一元首相に言わせると、核兵器の時代において、平和憲法は現実味を帯びてきたのである。石原慎太郎や安倍晋三がどうわめこうが、日本国憲法は21世紀の憲法・世界憲法なのである。
憲法は、日本の軍拡や原発を許さない。これらは国民に敵対するもので、断じて許してはならないのである。軍拡労組や原発労組のための連合は、不要である。労働貴族はいらない。
国民に敵対する勢力は、日本国憲法の名において許容できない。連合は解体するか、分裂して、すっきりとした連合体として出直すべきである。
<かつての総評の原点に戻れ!>
原点に戻れ、である。国民生活に寄り添う労働組合を、憲法も国民も期待してやまない。そうであるならば、総評の原点に戻るしかない。そうしてこそ政治分野で、大きな影響力を発揮できるだろう。
国民の支持も集まる。こぞって若者も組合に参加するだろう。
労働組合不在の事例は、3万人を雇用している医療の巨大グループ・徳洲会であるが、ここで問題が表面化している。労組不在による勤務体制の下での多発する医療事故である。
従来は、政治力や金力で事故をもみ消してきたが、ついに一角が崩壊した。人間の命を預けることができる病院といえるのかどうか、目下、厳しい追及が行われている。
36協定のない労組不在の徳洲会のような企業体に、ようやく連合も、覚醒してきたようだ。労使による健全な勤務時間ルールのない企業に、明日の展望はない。東芝病院にも36協定は存在しなかった可能性がある。この悪徳病院で、息子は殺されたようなものである。
財閥と連合に保護されたような、現在の日本企業体に明日はない。
2019年6月13日記(東京タイムズ元政治部長・政治評論家・日本記者クラブ会員)