米中貿易戦争の勃発して、各国で、被害が拡大しています。恩恵を受けるとされていた日本も例外ではありません。リスクオフ(市場が混乱し投資家がリスクをとりにくい状況)の場面では、リスクをとることに不安になった投資家はキャリー取引を手仕舞うケースが多くなり、低金利で流動性の高い通貨である円が買い戻され、円が急騰するのだ。円が急騰し、株価が下がる。中国や他国に金融危機・経済不安が起きれば、リスクオフの円高になり、日本経済も悪化する。ババを引かされ続けている状況です。
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香港を拠点にするアジアタイムズによると、国有企業の負債総額はGDP(国内総生産)の159%に達した(2017年末速報)。すでに約2100社の倒産が伝えられた。
ゾンビ企業の名前の通り、生き残りは難しいが死んでもお化けとなる。OECD(経済協力開発機構)報告に従うと、中国における国有企業は約5万1000社、29兆2000億ドル(約3263兆1000億円)の売り上げを誇り、従業員は2000万人以上と見積もられている。
マッキンゼー報告はもっと衝撃的だった。2007年から14年までの間に、中国の国有企業の負債は3・4兆ドル(約379兆9500億円)から、12兆5000億ドル(約1396兆8750億円)に急膨張していた。「中国の負債総額のうちの60%が国有企業のものである」(ディニー・マクマホン著『中国負債の万里の長城』、本邦未訳、ヒュートン・ミフィリン社、ロンドン)。
中国当局がいま打ち出している対策と手口は債務を株式化し、貸借対照表の帳面上を粉飾することだ。負債を資産に移し替えると帳面上、負債が資産になるという手品の一種だ。ただし、中央銀行は「この手口をゾンビ企業には適用しない」としている。
すでに石炭と鉄鋼産業において大量のレイオフが実施されているが、19年度までに、あと600万人の国有企業従業員を解雇し、そのための失業手当を230億ドル(約2兆5730億円)と見積もっている。しかし、中国がもっとも懸念するのは社会的擾乱の発生である。
「一帯一路」(シルクロード経済ベルト=BRI)構想は、まさにこのような過剰在庫と失業を処理するために、外国へプロジェクトを無理矢理に運び、在庫処分と失業者の輸出を断行することである。
筆者が数年前から指摘してきたことだが、最近、米国シンクタンク「ブルッキングス研究所」も同様な分析をするようになった。
現に、中国の甘言に乗って、BRIプロジェクトを推進している国々のうちで、89%が融資をしている中国企業の受注であり、7・6%が当該国の企業、3・4%が外国企業受注でしかない。宮崎正弘(みやざき・まさひろ)氏