長寿を手放しで喜ぶ時代は終わったようです。生活レベルや孫との関係を維持するために高齢者が平均貯蓄2200万円から取り崩しているお金は月額10万円だそうです。2200万円の預金を使いきるには18年4か月、対策をしなければ、孫が大学を卒業する頃には預金は底を尽きます。どうすればいいのか?赤字補填する為にも65歳以降も働いて収入を得ることが重要です。そうでなければ、孫と疎遠になり、生き長らえる生き方か、使い切りと当時にぽっくり死ぬか の選択になる可能性大です。お金がないと老いるにも覚悟が必要です。
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総務省の「家計調査」(2017年)によると、60代の貯蓄額は平均で2202万円です。また、高齢者夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみ)の1カ月の収支を見ると、実収入約21万円に対して、支出(食費・交通通信費・交際費・教養娯楽費など)が約26.5万円で毎月約5.5万円の赤字になっています。
▼うっかり100歳も生きてしまったら……
私の体感では、実際の毎月の赤字額は5.5万円より多い家計がほとんどです。シニア世代では、毎月の年金収入だけでは足りず、毎月8万~10万円を貯金などから取り崩している人が大半です。高齢者の暮らしには質素なイメージがありますが、今どきの高齢者は高コスト体質なのです。
65歳でリタイアして、月10万円赤字だとすれば、2200万円の貯金があっても、20年たらずで底をついてしまうのです。
7月20日、厚生労働省は日本人の平均寿命は男性が81.09歳(前年80.98歳)、女性が87.26歳(同87.14歳)で、ともに過去最高を更新したことを発表しました。着実に日本人は「寿命100歳」へと近づいています。
厚労省の「2016年簡易生命表」によれば、女性の4人に1人が95歳まで、男性の4人に1人が90歳まで生きるということです。今後は、真剣に「100歳まで生きる」と考えて、その対策を早いうちから考えておくべきでしょう。
「趣味」で老後を悠々生き延びる人転落する人
長くなった老後の生活費を工面する方法は、主に4つあります。
1)毎月の貯金額を増やすこと(現役時代に収入増と支出減の工夫をする)。
2)「iDeCo(個人型確定拠出年金)」や「企業型確定拠出年金」を利用して、年金の受給額を上乗せすること(iDeCoは、掛け金が所得控除されるので、節税効果もある)。
3)「つみたてNISA」などで資産運用。
4)65歳以降も働いて収入を得ること。
このうちいちばん確実なのは、65歳以降も働くことです。65歳からは年金が受け取れるため、フルタイムで働く必要はありません。年金や退職金を使いつつ、毎月の赤字分を補填できれば、十分なケースがほとんどです。
では、65歳以降でも働ける仕事はあるのでしょうか。私は仕事はあると考えています。
労働人口の減少を受けて、65歳以上の人にも働いてほしいと考える企業が増えています。内閣府の「高齢者白書」(2017年)によると、従業員31人以上の企業約15万社のうち、「高齢者雇用確保措置」(※)を実施した企業の割合は99.5%。ほとんどの会社で実施されています。また、希望者全員が65歳以上まで働ける企業の割合は74.1%でした。
各社の動きも相次いでいます。今年4月、サラダ店「RF1」を運営するロック・フィールドは、定年後の再雇用年齢を75歳まで引き上げることを発表。さらに今年6月には、化粧品大手のポーラが、再雇用制度の年齢制限を撤廃することを発表しました。こうした流れは今後も続くのではないでしょうか。
ただし、65歳以降の再雇用の際は、嘱託や契約となり、正社員だった現役時代に比べて給与は減るケースが多いので注意が必要です。
退職前後に起業する人も増えています。
経済産業省の「中小企業白書」(2017年)によれば、男性で起業した人のうち、35%が60歳以上の人でした。全ての世代の中でもっとも多くなっています。
日本政策金融公庫の「新規開業パネル調査」(2016年)における業種別廃業状況では、2001年から2015年の全業種廃業率が平均10.2%でした。廃業率ワースト5は、5位から順に「卸売業」(11.5%)、「教育・学習支援業」(12.5%)、「小売業」(14.5%)、「情報・通信業」(15.8%)、そして最も廃業率が高かったのが「飲食・宿泊業」(18.9%)でした。宿泊業も含めた数字ですが、全業種の中で、「飲食業」はもっとも高いリスクの仕事ということが言えます。
一般的に、飲食店は利益率が低いうえ、初期投資に多くのお金が要ります。メディアなどでは「退職して田舎で手打ちのそば屋をはじめた」「海の見える場所にレストランをひらいた」など、成功例が紹介されますが、実際の運営はなかなか厳しそうです。事前の準備をしっかり行い、最悪の場合を想定した事業計画を作る必要があります。